幾何学セミナー

場所:明治大学生田キャンパス
世話係:吉田尚彦


Last updated 18 June, 2015

7月9日(木)16:30 -18:00, 第二校舎6号館6706

黒木 慎太郎 氏(東京大学)

The root system of torus graphs

概要: The notion of torus graph is introduced by Maeda-Masuda-Panov as the GKM graph analogue of torus manifolds. Here, a torus manifold is an even dimensional manifold which has a half dimensional torus action with fixed points. In this talk, I introduce the root system of torus graphs combinatorially and characterize when a torus manifold has an extended action. If time permits, I also introduce some classification results of combinatorial types of torus graphs with the root system.

6月25日(木)16:30 -18:00, 第二校舎6号館6706

國川 慶太 氏(東北大学)

一般余次元平均曲率流のトランスレーティングソリトン

概要: 一般に,平均曲率流は有限時間で特異点を持つ.特異点はその第二基本形式のノルムの発散の仕方でタイプIとタイプIIに分類されている.これらの特異点を調べるためには特異点周辺でスケール変換を施した後に現れるモデルとなる部分多様体を調べることが有効である.タイプI特異点のモデルは自己縮小解と呼ばれ,球面や円柱などを代表例にもつ.一方でタイプII特異点のモデルとなっているのが本講演の主題であるトランスレーティングソリトンである.トランスレーティングソリトンは平均曲率流のもとで, 形を変えず定速で平行移動する特殊な解でもある.

超曲面の場合の平均曲率流の研究は1984年のHuiskenによる仕事以来盛んに行われてきた. ラグランジュ平均曲率流など, 余次元の高い状況での研究も重要であるが, 超曲面の場合に比べて未解明のことが多い. 特に, 一般余次元トランスレーティングソリトンの研究は自己縮小解に比べてもほとんど進められていない.

本講演では, まず一般余次元トランスレーティングソリトンに関する非存在定理であるベルンシュタイン型定理を述べる.続いて非自明なトランスレーティングソリトンを大量に構成する方法を説明する. これは超曲面の場合とは著しく異なる状況であり, 余次元が高くなった場合の特徴である. 最後に,一般余次元の完備なトランスレーティングソリトンがある条件下で1次元のトランスレーティングソリトンと極小部分多様体に分裂することを説明する. 講演では証明の詳細よりも,具体例をたくさん紹介することで直感的に理解していただける内容にする予定である.


2014年度の幾何セミナーの記録