明治非線型数理セミナー

2011年度までRDSセミナーとして開催してきたセミナーを,2012年度は明治非線型数理セミナー(キックオフイヤー)として開催しました.2013年4月に総合数理学部現象数理学科が開設され,ここに,新たな気持ちで明治非線型数理セミナーをスタートしていきます.理工学部数学科と2学科協働で新たな非線型数理のあり方を模索しながら情報発信していく所存です.場所は,中野キャンパスと生田キャンパスの両方を使用予定です.

生田キャンパスへのアクセス (Access to Ikuta campus) / Ikuta campus map
中野キャンパスへのアクセス (Access to Nakano campus) / Nakano campus map

2017.7.13 (木) 16:00~18:10@中野キャンパス6階研究セミナー室3
2017年度第8-9回明治非線型数理セミナー
講演者1: 川上竜樹 (龍谷大学) 16:00-17:00
『外部領域における動的境界条件付き半線形楕円型方程式の可解性』
概要:本講演では境界に時間微分を含む動的境界条件下において,冪乗型の非線形項を有する半線形楕円型方程式を空間3次元以上の球の外部領域において考察する.ここでは領域が半空間の場合の結果と対比しながら,正値解の可解性と時間大域挙動について得られた結果を報告する.また時間局所可解性と時間大域可解性,さらに対応する定常問題の可解性との関係性についても触れる.本講演はMarek Fila氏(Comenius大学),石毛和弘氏(東北大学)との共同研究に基づく.
講演者2: 高村博之 (公立はこだて未来大学) 17:10-18:10
『劣シュトラウス指数をもった半線形消散波動方程式の解の爆発』
概要:時間変数を含む消散項付き半線形波動方程式の小さい初期値をもつ初期値問題を考える.消散項の時間減衰が1次より弱いときは,熱方程式と同じ藤田指数が時間大域存在と非存在を分ける臨界指数になることはよく知られている.逆に1次より強いときには何も結果がなかったが,本講演では波動方程式の臨界指数であるシュトラウス指数より低い指数をもった全てのベキに対して解の爆発が起こることを紹介する.シュトラウス指数は藤田指数より大きいことに注意する.これは未知関数の全空間での積分量の導関数に,ある特殊な変換を施すことによって半線形波動方程式の解析手法を適用できたことによる.この方法は時間減衰がちょうど1次のスケール不変と呼ばれる状況にも適用でき,以前導出した熱と波動の中間的な結果も示すことができる包括的な証明方法になっている.本講演の内容は,Lai Ning-An氏(Lishui Univ. China)との共同研究に基づくものである.


2017.6.6 (火) 16:00〜18:10@中野キャンパス6階研究セミナー室3
2017年度第6-7回明治非線型数理セミナー
講演者1: 梶原直人 (東京大学) 16:00-17:00
『放物型発展方程式の立場から見るバイドメイン方程式について』
概要:バイドメイン方程式は心臓の膜電位の伝播を表す方程式であり,細胞内電位と細胞外電位の影響も方程式の構造に取り入れている所が特徴的である. 本講演では従来知られていた楕円型作用素の調和平均として定義されるバイドメイン作用素を有界領域で再定義し, 本来の連立系であったバイドメイン方程式を単独方程式へ変換する. この作用素の階数は4階/2階として考えられるため,摂動論による解析は困難である. そこでL^∞空間でのレゾルベント評価を膨らまし法と呼ばれる背理法的手法で示し, L^2空間との補間及び双対性によりバイドメイン作用素がL^p空間(1<p≦∞)で解析半群を生成する事を示す. こうしてバイドメイン方程式が放物型発展方程式の枠組みに入る事を紹介する.(東京大学 儀我美一先生との共同研究) またDa Prato-Grisvard型の実補間空間での最大正則性定理を周期的な設定に拡張する事で, バイドメイン方程式が時間周期解を持つことも示す.(Darmstadt工科大学 Matthias Hieber先生,Klaus Kress氏,Patrick Tolksdorf氏との共同研究)
講演者2: 村田美帆 (神奈川大学) 17:10-18:10
『Navier-Stokes-Korteweg systemに対する時間大域解の一意存在性について』
概要:本講演では相転移を伴う現象を記述したモデルとして知られる Navier-Stokes-Korteweg system を全空間で考察する. 全空間は非有界領域であるため指数減衰する解の存在は期待できない. そこで線形化問題に対する$L_p$-$L_q$最大正則性と半群を用いた$L_p$-$L_q$減衰評価を組み合わせることにより, 十分小さい初期値に対する時間大域解の一意存在性を証明する.本研究は柴田良弘氏(早稲田大学)との共同研究に基づく結果である.
2017.5.19 (金) 17:40〜19:20@中野キャンパス6階研究セミナー室3
2017年度第4-5回明治非線型数理セミナー
注: 16:30〜17:30に同部屋で第22回ダイナミクス研究会中野(講演者:宮武勇登氏)が開催されます.
講演者1: 井上雅世 (明治大学) 17:40-18:25
『ネットワーク構造のデザイン原理と構成要素の応答性』
概要:生命システムは一般的に複雑な構造をもっていることが知られている. 複雑なシステムであることのメリットについては多く調べられている(ロバスト性など)が, そもそもなぜ複雑である必要があるのかという点についてはあまり分かっていない. 我々は遺伝子発現制御ネットワークモデルを用い, 最適なシステム(ネットワーク)構造は要素(遺伝子)の性質に応じて変化することを見出した. その対応関係や,各システム構造ごとの特徴について報告する.本研究は金子邦彦氏(東京大学)との共同研究である.
講演者2: 佐々木多希子 (明治大学) 18:35-19:20
『Regularity of the blow-up curve for a nonlinear wave equation with a derivative nonlinearity』
概要:本講演では非線形項に未知関数の導関数を含む波動方程式の爆発曲線を考え, 十分滑らかで大きな初期値をとった場合,爆発曲線が連続微分可能になることを示す. 非線形項が$u^p$である場合に,Caffarelli-Friedmanにより, 適切な初期値のもとで爆発曲線が滑らかになることが示されていた. しかし,非線形項に微分を含む場合は,ある限られた状況に関するものしか知られていなかった. 本講演では,非線形項が$|u_t|^p$である場合にもCaffarelli-Friedmanと類似の結果が得られたので, それについて言及する.また,その数値例についても触れたい.

2017.4.18 (火) 16:00〜17:00@中野キャンパス6階研究セミナー室3
2017年度第3回明治非線型数理セミナー
講演者: Chao-Nien Chen (National Tsing Hua University)
『Traveling pulse solutions to FitzHugh-Nagumo equations』
概要:Particle-like structures are commonly observed in physical, chemical and biological systems. Depending on the system parameters and initial conditions, localized dissipative structures may stay at rest or propagate with a dynamically stabilized velocity. In this talk we give an existence result for the traveling pulse solutions to FitzHugh-Nagumo equations.

2017.4.11 (火) 15:30〜17:45@中野キャンパス6階研究セミナー室3
2017年度第1-2回明治非線型数理セミナー
講演者1: 小林俊介 (明治大学) 15:30〜16:30
『積分項つき反応拡散系に現れる振動解とカオティックな解』
概要:本講演では,積分項をもつ反応拡散系に対する分岐解析の結果を報告する. 特に自明解からの局所分岐を調べることで,非自明解から振動解やカオティックな振る舞いをみせる解が分岐しうることが分かる. 平衡点同士を繋ぐ軌道がカオスの発生に深い関わりをもつことはよく知られているが, そのような軌道を線形化作用素が多重に0固有値をもつパラメータに着目することで探し出すことが可能であることを紹介したい. これらは空間1次元における結果であるが,空間2次元における分岐解析結果も紹介したい. 本研究は坂元孝志氏(明治大学)との共同研究に基づくものである.
講演者2: 榎本翔太 (明治大学) 16:45〜17:45
『Slip境界条件における圧縮性Navier-Stokes方程式の解の安定性について』
概要:圧縮性流体の運動を記述する圧縮性Navier-Stokes方程式は準線形双曲-放物型方程式であり, その解もまた双曲-放物型の性質を有している.本講演では2次元無限層状領域における圧縮性Navier-Stokes方程式の静止定常解の安定性をslip境界条件下で考察する. このとき,静止定常解の周りの解が1次元の熱核と同じ減衰率で減衰し, その漸近的主要部は時間無限大で1次元の粘性Burgers方程式の自己相似解の重ね合わせによって記述されることを示す. この結果によってslip境界条件下では解の漸近挙動として双曲型の性質が現れることを示す. 本講演は隠居良行氏(九州大学)及びAblizi Aihaiti氏(九州大学)との共同研究に基づく.

前年度までの明治非線型数理セミナー


このセミナーは,
・科研費基盤研究(B)「反応拡散系および自由境界問題の解のパターンダイナミクスの解明」(研究代表者:二宮広和)
・科研費基盤研究(B)「不整脈および除細動のための数学的基盤整備」(研究代表者:二宮広和)
・科研費基盤研究(B)「均質化法と連鎖反応理論による電気化学触媒反応の数理モデル構築」(研究代表者:小川知之)
・科研費基盤研究(B)「雪氷現象に現れる移動境界問題の数理解析」(研究代表者:矢崎成俊)
の補助を受けています.


世話人
 榎本翔太,山本宏子 (明治大学先端数理科学インスティテュート)
組織委員
 名和範人,坂元孝志,佐々木多希子,渡辺浩,矢崎成俊 (明治大学理工学部数学科)
 Elliott Ginder,二宮広和,小川知之 (明治大学総合数理学部現象数理学科)