「エンボス加工
これは「エンボス加工」と呼ばれるもので、3次元の浮き彫りのような効果が得られる処理です。
これも「ぼかし」や「シャープ化」と同様にフィルタ行列を使って簡単に作ることができます。
ここでも分かりやすくするために,まず一次元の配列で考えてみましょう。
-1 |
0 |
1 |
バイアス値・・128
上図のようなフィルタ行列を考えてみます。これを用いて下図のような配列を処理してとどうなるでしょうか。
ここで「バイアス」とは,スケール値を用いた計算結果に加える値です。
..... |
f[i-3] |
f[i-2] |
f[i-1] |
f[i] |
f[i+1] |
f[i+2] |
f[i+3] |
f[i+4] |
..... |
..... |
100 |
100 |
98 |
90 |
60 |
52 |
50 |
50 |
..... |
すると
90× 0 = 0
60× 1 = 60
バイアス:+128
以下同様に,すべての配列について計算すると
..... |
f[i-3] |
f[i-2] |
f[i-1] |
f[i] |
f[i+1] |
f[i+2] |
f[i+3] |
f[i+4] |
..... |
..... |
128 |
126 |
118 |
90 |
90 |
118 |
126 |
128 |
..... |
となります。これらをグラフ化して見てみます。グラフ化の文字をクリックしてください。
ピクセルの明るさの値で128はグレーを表します。
元の画像でピクセルの明るさの値が一様な場所は左右のピクセル値が同じので,上のフィルタをかけるとグレーになっています。
【実 習】
では実際に下に示す画像に対してエンボス加工をしてみましょう。
(risu1.jpg)
上の画像をコンピュータに取り込んでみてください。
エンボス加工のフィルタ例
下の(1)と(2)は、エンボス加工の原理をわかりやすくするために、処理を2つに分けてそれぞれの効果を示しています。(3)が実際のエンボス加工のフィルタの例です。エンボス加工のフィルタも様々なものが考えられ、またその効果も様々です。いろいろとフィルタを作成して試してみてください。
(1)
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
-1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
除数[1] |
||||
バイアス[128] |
まず中心のピクセルの左斜め上のピクセル値に-1を掛け,バイアス値128を加え,中心のピクセル値とします。このことによって反転画像が作られます。単に,-1をかけただけでは,画面は真っ黒になってしまいますが,バイアス値128という,階調値のちょうど半分の明るさをたしてやることによって,反転した画像になります.また,この反転画像は,元の画像より右斜め下に1ピクセル分だけずれた画像になります.
(2)
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
除数[1] |
||||
バイアス[0] |
中心のピクセルの右斜め下のピクセル値に1を掛け,中心のピクセル値とします。これは元の画像より,1ピクセル分だけ,左斜め上にずれた画像を意味します。
(3)
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
-1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
除数[1] |
||||
バイアス[128] |
上の2つの画像を重ね合わせることにより、エンボス加工された画像を作ることができます。
上記のフィルタ行列を見ると,係数の和が0になっているのがわかります。これでは同じ明るさの部分は黒になるはずですが,バイアスが128ですから,灰色になります.また,このフィルタでは中心から斜めに1ピクセルずらした画像を重ねていることになります.このずらし方がエンボス加工の浮き上がりの方向,すなわち光の方向になります.
1と−1の位置を変えることによって,光の方向を変えられます。
いろいろと試して確認してみましょう.