シェル・空間構造研究室

研究テーマ:空間構造物に用いる木材を用いた新しい座屈補剛形式の開発

研究背景

圧縮力を受ける部材において座屈は構造性能を左右する重要な課題であり,その防止・抑制のために従来から多様な座屈補剛形式が検討されてきた。従来は,圧縮材中央に直交補剛材を配置する方法や,テンション材による座屈モード拘束が一般的であった。

一方,「偏心圧縮材を用いた補剛形式」は,補剛材を主材に挟み込む形式であり,軸力を偏心圧縮力として負担させることで断面二次モーメントを擬似的に増加させ,座屈荷重を高める特徴を持つ。さらに,変形制御機構(バネやシザーズ構造など)を導入する試みも行われてきたが,接合部の複雑さや施工性に課題が残されていた。 この課題に対し,木材を補剛材として用いる手法が注目されている。接着剤を利用することで,既存鋼材に加工を施さずに耐震補強を実現でき,施工性や意匠性にも優れる。また,木材と鋼材を組み合わせた合成部材に関する研究はあるものの,木製補剛材にバネを組み込んだ変形制御機構の数値解析的な検討は十分に行われていない。

研究目的

本研究では,木材を用いた新しい座屈補剛形式を数値解析と実験設計の両面から検討し,施工性・意匠性・耐震性を兼ね備えた補強手法の可能性を示す。

空間構造物に用いる木材を用いた新しい座屈補剛形式モデルの写真

▲ 座屈補剛形式モデルの写真

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