機械工学実験2 実験G(2020年度 春学期)

一次元定常熱伝導(反復計算)

非定常(時間と共に変化する)現象を取り扱う前に,最も簡単な一次元定常問題に取り組もう。 たとえば,金属の棒の一端を20℃,他端を0℃としたときの棒内の温度分布を考える。
一次元定常熱伝導を表す式は,次式で与えられる。

Eqn11
(11)

式(11)を差分化すると,

Eqn12
(12)

となる。 この式は,知りたい温度 Tin を,両隣の温度 Ti+1n, Ti-1n で表現できることを示しており,格子点における温度を表にすると,次の表のようなイメージとなる

・・・ i-1 i i+1 ・・・
Ti-1 Ti Ti+1

さっそくこの式をエクセルで計算してみよう。

  1. 定数の設定
    格子間隔を,セルB1に入力する。
  2. 座標の設定
    座標原点(0)を,セルB3に入力する。セルC3からセルG3に,原点と格子間隔を利用して座標を入力する。
  3. 境界条件の設定
    初期温度(20)を,セルB4に,(0)を,セルG4に入力する。
  4. 計算
    セルC4に差分化した式を入力し,この式をセルD4からセルF4までコピーする。
    =(B4+D4)/2
  5. 循環参照
    下の図のように,循環参照のエラーが出る。 これは,セルC4の値を求めるのにセルD4の値を用いるが,セルD4の値を求めるにはセルC4の値が必要となるためである。
    循環参照を解決するためには,反復計算を行う。
Fig3

反復計算

エクセルには,循環参照を解消するための反復計算の機能が備わっている。 反復計算の設定は,OS(WindowsかMACか)による。

Windowsの場合

【ファイル】タブから【オプション】を選択し,Excelのオプションダイアログを開き,【数式】の計算方法の設定を【自動】を選択し,【反復計算を行う】にチェックを入れる。

Fig4

MACの場合

メニューバー(画面一番上のバー)の【Excel】から【環境設定】を選択し,Excel環境設定ダイアログを開く。 【数式とリスト】の【計算】から計算方法の設定を【自動】を選択し,【反復計算を行う】にチェックを入れる。

ダイアログをとじると,反復計算が自動的に実行され解が求まる。 反復計算を通常は実行しない様に,確認が終わったらチェックを外しておこう。


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2020.06.17 更新