明治大学理工学部物理学科 Department of Phisics, Meiji University

特色ある研究

生物物理第三研究室

生物に学ぶナノテクノロジー

吉村 英恭 教授
吉村 英恭 教授
1982年 理学博士
1983-1984年 理化学研究所
1984-1995年 日本電子(株)
1995-2000年 明治大学理工学部助教授
2000年より現職
シリコン基板上に配列させたインジウムのナノ粒子(走査顕微鏡による2次電子像を立体的に表現)

この研究室では生物の構造と機能を調べ、その能力を様々な応用に利用することを考えています。生物は地球上に誕生してから数十億年かけてDNAと蛋白質を使った効率的なシステムを作り上げてきました。その特徴は均一で制御された高分子の生成と自己組織化で、数ナノメートルの分子の世界から数メートルの多細胞生物の個体まで実に巧みに組み立てられています。この幅広い制御システムを、現在使われている物理的、化学的手法と併用すれば、今まで不可能であった素材の生成や加工、組み立てができると考えています。図はインジウムのナノ粒子をフェリチンと呼ばれる蛋白質を使って作らせ、シリコン基板上にきれいに配列させたものです。

Q: 生物物理学ってどんな学問ですか?
A: 物理学は「自然現象の原理を考える学問」なので、対象は自然にあるものなら何でもいいのです。しかし、ちょっと昔までは「生命」はリンゴが落ちるような自然現象とは違うと考える人が多く、物理学の対象から外されていました。生物物理学は「生命」を自然現象と考え「物理学」のセンスで研究する学問です。

Q: どんな研究設備がありますか?
A: 主に蛋白質を精製する装置、蛋白質やナノ粒子を観察する各種顕微鏡があります。また、他大の研究室、NTT物性基礎研究所、海洋開発研究機構、松下電器先端研などと共同研究を積極的に行いテーマに広がりを持たせています。

現在の研究内容

(1)蛋白質を使ったナノ粒子の生成と機能素子への応用
(2)高分解能X線顕微鏡の開発
(3)蛋白質でできたべん毛モーターの構造と力学的性質の研究
(4)100気圧以上の圧力下で生きる深海生物の謎の解明