明治大学理工学部物理学科 Department of Phisics, Meiji University

特色ある研究

素粒子論研究室

横山 大輔 専任講師
横山 大輔 専任講師
2008年 明治大学 理工学部 物理学科 卒業
2009年 サセックス大学(UK) 素粒子論専攻 博士前期課程 修了
2013年 東京工業大学大学院 基礎物理学専攻 博士後期課程 修了
博士(理学) 取得
2013年 - 2015年 ソウル国立大学(韓国) 理論物理学センター 研究員
2015年 - 2017年 キングス・カレッジ・ロンドン(UK) 数学科 研究員
2017年 - 2019年 復旦大学(中国) 物理学科 上級研究員
2019年 - 明治大学 理工学部 物理学科 専任講師
横山 大輔
素粒子理論を表すクイバー図(上)と理論に対応するブレーン配位(右下)、 理論に対応する空間を表すトーリック図(左下)

素粒子物理学は一言で言えば「この世界を構成する最小の“粒子”は何か?」という問いに答えるための学問です。 この一見シンプルな問いの背後には驚くほど豊潤な物理と数学が隠れています。 素粒子理論には様々な理論がありますが、中でも「この世界の最小単位は“粒子”ではなく“弦”である」という発想の転換から生まれてきたのが超弦理論です。 その他の理論では物質を構成する電子やクォーク、力を媒介する光子やグルーオンなどの様々な粒子を別個に考える必要がありますが、 超弦理論はこれら全ての粒子を弦によって統一的に記述する可能性を秘めています。 また、超弦理論は量子化が非常に難しいとされている重力をも含む量子論であり、 重力の量子効果が重要なブラックホールのエントロピーのミクロな起源を説明するという革新的な成果も上げています。 超弦理論は素粒子物理学だけにとどまらず、宇宙論・物性理論・数学・情報理論など様々な分野と混ざり合いながら現在も発展を続けている壮大な理論です。 皆さんもこの壮大な理論が描く世界へ足を踏み入れてみませんか!?

Q: そもそも素粒子理論とはどんなものですか?
A: 素粒子と素粒子に働く力を指定する理論を素粒子理論と呼びます。 現在までに実験的に確かめられた素粒子理論は標準理論と呼ばれ、 電磁気学を一般化したゲージ理論によって記述されています。

Q: 超弦理論とゲージ理論はどう関係するのですか?
A: 超弦理論の"弦"は非常に小さく、現在の我々の技術力ではその弦の"長さ"を見ることができないため、あたかも"粒子"のように見えてしまいます。 これを理論的に言えば、超弦理論に含まれる弦の長さを表すパラメータをゼロにすると超弦理論は素"粒子"を記述するゲージ理論に帰着します。 つまり、ゲージ理論は超弦理論に含まれており、前述の(弦の長さをゼロにする)極限において有効な理論になっています。

Q: 研究室ではどんなことをしていますか?
A: 学生は場の理論(ゲージ理論を含むより広義の理論体系)や超弦理論の教科書・文献を読み込み、議論することでその内容を身に着けていきます。 そして、身につけた理論を駆使し自分で計算を行っていくことで最先端の研究に貢献できるようにしています。

現在の研究内容

(1)超弦理論を用いた超対称ゲージ理論と幾何学的空間の対応関係
(2)超対称ゲージ理論の厳密な分配関数
(3)重力理論の分配関数