特色ある研究
光物性研究室
光を操り、物質を操る
鈴木 隆行 准教授 | |
---|---|
2006年 | 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 修了 博士(理学) |
2006年 - 2009年 | 電気通信大学 博士研究員 |
2009年 - 2014年 | 東京農工大学工学府物理システム工学科 助教 |
2011年 - 2012年 | ハーバード大学 客員研究員 |
2014年 - | 明治大学理工学部物理学科 准教授 |
分子は、構成する核の位置を周期的に変える「分子振動」と呼ばれる高速な振動運動をします。この分子振動は、構成する核の種類やその配置によって様々な周波数をもちます。適切な波形や周波数をもつレーザー光を照射すると、特定の分子に対して分子振動を励振したり抑制したりすることが可能です。 分子の振動を励振することの第一の応用は、「観測」です。 分子種固有の振動周波数を観測することを通して観測領域に存在する分子種の同定を可能とします。 第二の応用は物性の制御です。 分子振動は過渡的な分子の形状変化です。 分子が歪んだその瞬間を舞台として、新たな化学反応の誘発や、光機能の発現を目指します。 このように過渡的な分子の瞬間の状況を利用して観測や制御に応用することを目的とします。
Q: そもそも分子ごとに振動周波数が違う理由がよくわかりません
A: 原子核同士は電気的な斥力により通常反発しあいます。ところが周囲を取り巻く電子が核同士をつなぎとめるばねの働きをします。ばねの働きをする電子の状態は核の種類やその位置によって異なるため、分子の種類や形状によって分子振動の周波数が異なるのです。
Q: 光をあてるだけで分子が振動する理由がわかりません
A: 分子の結合は、上の回答の通り電気力に依っています。このため電場と磁場の波である光が影響を及ぼすことができるのです。
Q: 「高速な振動運動」とはどのくらいの速さ?
A: 通常の分子の振動周波数はおよそ10^12から10^14 Hzのテラヘルツと呼ばれる周波数領域です。これを周期に換算すると1ピコ秒から10フェムト秒程度となり、日常では知覚できないほどの短時間となります。フェムト秒領域の光パルスは超短パルスとも呼ばれ、これを用いた分野は光科学の一大分野ともなっています。
現在の研究内容
(1)位相変調をベースとしたパルス光源の開発(2)超短パルスレーザーを用いた薬剤分子の生体内同定
(3)分子のコヒーレント制御