特色ある研究
地球内部物理研究室
物理をつかって地球を学ぶ/地球をつかって物理を学ぶ

新名 良介 准教授 | |
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2005年 | 東京工業大学 理学部 地球惑星科学科 卒業 |
2007年 | 東京工業大学大学院 地球惑星科学専攻 修士課程 修了 |
2010年 | 東京工業大学大学院 地球惑星科学専攻 博士課程 修了 博士(理学) |
2010年 - 2015年 | Bayerisches Geoinstitut, Universität Bayreuth, ポストドクトラル研究員 |
2011年 - 2014年 | Bayerisches Geoinstitut, Universität Bayreuth, Humboldt Research Fellowship for Postdoctoral Researchers |
2015年 - 2017年 | 東京工業大学 地球生命研究所 特任助教(Project Assistant Professor)兼ラボマネージャー(Lab manager) |
2017年 - 2019年 | 東京大学 理学系研究科 地球惑星科学専攻 特任准教授 |
2019年 - | 明治大学 理工学部 物理学科 准教授 |

地球形成から46億年間、地球内部物質はダイナミックに相互作用し合いながら化学的・熱的に進化し、現在の形へと姿を変えていきました。地球内部活動はしばしば表層環境にカタストロフィックな影響を与えますので、地球内部の構造とその進化を理解することは、生命の進化や持続可能性を考える上でも大きな意義を持ちます。しかしながら地球の内部は深さ最大約6400 kmである一方、これまでで最も深い掘削坑でも地表から深さわずか約10 kmに留まります。それよりも深い地球内部の構造はどうなっているのでしょうか?地球内部はかつてどのような構造で、どのような過程を経て現在の生命を宿す地球へと進化していったのでしょうか?そういった疑問に答えるためには、観測や地質調査と、地球内部を再現する高温高圧実験を組み合わせる手法が大変有力です。私は地球内部の構造とその進化をより詳細に理解するため、地球核やマントル物質、あるいは流体の物理的性質と化学的性質を、地球内部に相当する高温高圧下において実験的に調べています。
Q: 地球内部物理とはどんな学問でしょうか?
A: 地球内部で起こる様々な現象を、物理学的手法に基づいて解明しようとする研究分野です。力学、電磁気学、流体力学、レオロジー、素粒子理論など、様々な物理分野の知識が応用されています。とりわけ、地球内部は大まかにいって酸化物(地殻・マントル)と金属(内核・外核)ですので、固体物性物理分野の知識が地球内部の謎を解き明かす上で非常に有力なツールになります。
Q: 研究室ではどんなことをしていますか?
A: 地球内部を再現する高温高圧実験を主に行っています。世界中でまだ誰もやったことのない実験をすることが目標です。めげずに挑戦する能力がある人を歓迎しています。
Q: どれくらいの高圧力を発生させますか?危なくないですか?
A: 実験室では最大300 GPa程度(1気圧のおよそ300万倍)の圧力を発生させています。大まかに言うと300 GPaとは、1平方センチメートルの領域に体重6トンのゾウが500頭乗ったときにかかる圧力です。ただし高圧力発生領域は極微小(数10μm程度のスケール)ですので、例え実験に失敗しても危険はありません。
現在の研究内容
(1)地球内部物質の物理・化学的性質の解明(2)高温高圧実験手法の開発
(3)高圧力を用いた新たな物質の合成