明治大学理工学部物理学科 Department of Phisics, Meiji University

特色ある研究

原子核物理実験研究室

元素の起源と原子核の限界を,実験で探る

庭瀬 暁隆 専任講師
庭瀬 暁隆 専任講師
2016年 東京理科大学 理学部第一部 物理学科 卒業
2018年 九州大学 理学府 物理学専攻 修士課程修了
2021年 九州大学 理学府 物理学専攻 博士課程修了 博士(理学)
2021 - 2022年 日本学術振興会 特別研究員(PD)
2022 - 2023年 高エネルギー加速器研究機構 和光原子核科学センター 博士研究員
2023 - 2026年 九州大学 理学研究院 物理学部門 助教
2026年 - 明治大学 理工学部 物理学科 専任講師
庭瀬 暁隆
原子核の質量を1ppm以下の高精度で測定する,多重反射型飛行時間測定式質量分光器MRTOF

原子核物理実験研究室では,原子核の実験的研究を通して、元素の成り立ちと原子核の限界に迫る研究を行っています。主なテーマは,新元素探索,安定の島への挑戦,そして天体での元素合成過程の解明です。 日本では,埼玉県和光市にある理化学研究所において113番元素「ニホニウム」が発見され,アジアで初めて命名権を獲得した元素として周期表に刻まれました。これは,日本の原子核物理学が世界の最前線で新元素探索に挑んできた成果の一つです。私たちの研究室では,その流れを受け継ぎ,さらに重い元素や未知の原子核の性質を明らかにすることを目指しています。 非常に重い原子核は,多くの場合すぐに壊れてしまいます。しかし理論的には,さらに重い原子核の中に,比較的長く存在できる領域――「安定の島」――があると考えられています。この安定の島にたどり着き,超重元素がどのような構造を持つのかを明らかにすることは,原子核物理学における大きな挑戦です。 一方で,私たちの身の回りにある元素が,宇宙のどこで,どのように作られたのかも重要な研究テーマです。鉄より重い元素の多くは,超新星爆発や中性子星合体のような激しい天体現象の中で作られたと考えられています。しかし,その詳しい生成過程はまだ十分には分かっておらず,「重元素は宇宙でどのように作られたのか」という問いは,現代物理学における未解決問題の一つです。 この謎を解くためには,地球上にはほとんど存在しない,非常に中性子の多い原子核の性質を調べる必要があります。私たちの研究室では,加速器を用いてこのような珍しい原子核を人工的に作り出し,その質量や崩壊の様子を精密に測定します。これにより,天体の中で元素がどのように作られていくのかを理解するための手がかりを得ることができます。 私たちの研究は,元素周期表の先に何があるのか,そして私たちの身の回りにある元素が,宇宙のどこでどのように生まれたのかを明らかにすることを目指しています。大学では検出器開発やデータ解析を行い,大規模な実験は理化学研究所や原子力機構などの大型加速器施設を用いて進めます。

Q: 新元素探索とは,具体的に何をする研究ですか?
A: 新元素探索とは,加速器を用いて原子核同士を衝突させ。ごくまれに生成される非常に重い原子核を探す研究です。「新しい元素」と聞くと化学の研究をイメージするかもしれませんが,ここで主役となるのは原子核です。陽子と中性子がどのように結びつき、どこまで重い原子核が存在できるのかを調べる,原子核物理学の研究です。113番元素ニホニウムの発見のように,新しい元素を作り出して確認することは,原子核物理学の大きな目標の一つです。また,新元素そのものだけでなく,その周辺にある重い原子核の性質を調べることも重要です。

Q: 宇宙の研究なのに,なぜ原子核を調べるのですか?
A: 宇宙で元素がどのように作られたかを理解するには,元素を構成する原子核の性質を知る必要があります。特に,鉄より重い元素の生成には,地球上ではほとんど存在しない中性子の多い原子核が関わっています。その質量や崩壊の性質を測定することで,天体での元素合成過程を理解する手がかりが得られます。

Q: どのような実験を行いますか?
A: 加速器を用いて珍しい原子核を作り出し,その質量や崩壊の様子を測定する実験を行います。大学内では検出器の開発,信号処理回路の設計,データ解析,シミュレーションなどを進め,大型実験は理化学研究所(埼玉県和光市)や原子力機構(茨城県東海村)などの加速器施設で行います。

研究の主なテーマ

(1)新元素の探索
(2)重元素の核構造研究,精密質量測定
(3)天体における元素合成過程の解明