明治大学理工学部物理学科 Department of Phisics, Meiji University

オンライン期間中の物理学科の取り組み

2020年度はコロナ禍のために、誠に残念ながらほとんどの授業はオンラインにより実施しています。オンライン期間中の様子を少しでもお伝えできるよう、学科の取り組みをご紹介します。

ホームルーム(新入生・オンライン)

1年次の科目はすべてオンライン実施のため、新入生は先生や同級生と気軽に話をする機会がありませんでした。
このため、Zoom(WEB会議システム)によるホームルームを実施しました。

教員は顔を出して自己紹介し、激励の言葉やアドバイスを送りました。
その後、Zoomの中の小部屋に分かれて学生にも顔を出してもらい、互いに自己紹介をしてもらい歓談の時を過ごしました。

互いに顔を見せて会話できたことを喜ぶ声が、学生・教員の双方から聞こえてきました。

ゼミ訪問会(新入生・対面とオンライン併用)

今年度の新入生は、大学へ立ち入ったことが無い人がほとんどです。そこで、各先生が数名の学生を担当し分散してゼミ訪問する会を実施しました。大学へ来ることができない学生には、Zoomにより参加してもらいました。

写真では緊張した面持ちですが、実験室ツアーや先輩達(ゼミ生)との歓談では新入生のみんなも表情が和らぎ、楽しんでくれている様子が伺えました。

*対面での飲食禁止は当然のことですが、大学のガイドラインを遵守して実施しました。


基礎物理学実験1(1年春学期・オンライン)

基礎物理学実験は理工学部の1年生が履修する実験科目です。
従来から使用している独自開発したデジタルコンテンツに加えて、新規に撮影した実験動画を組み合わせた実験教育を行いました。

少しでも実験の臨場感を伝えたくて、ビデオカメラをヘルメットに付けて、実験者目線の動画を撮影しました。解説しながらの撮影のため、音声も入った動画です。
全6回のレポートを提出してもらいましたが、レポートの書き方の作法や手書きレポートのPDF化の方法まで指導するとともに、提出レポートのミスを修正させて再提出する機会も与えました。


基礎物理学実験2(1年秋学期・オンライン)

理工学部必修科目のため履修者は1000名近くいますが、夏休み中に開発した実験キットを海外含めて履修者全員へ送ることができました。

左の写真は、実験キット用の銅線のカットと台紙への貼り付けを担当教員で手分けをして行っている様子です。
右の写真の黒い金具は、「単振り子の実験」と「光の回折実験」の両方に使えるよう工夫されています(銀色の金具は試作品(未塗装)です)。2テーマは自宅実験をしてもらっています。
「連成振動の実験」では、実験動画をもとに周期を測定してもらうことで、主体的に実験にかかわってもらえるよう工夫しました。


物理学実験1・2(2年 オンライン・対面併用)

「物理学実験1・2」は物理学科の2年生が履修する実験科目です。

今年度の春学期は新たに実験テーマを準備し、身の回りのものを用いて自宅でできる物理実験を実施しました。高度な測定機器を使う通常の実験に比べると実験の原理そのものは簡単になりますが、自分で測定方法を考案したり装置を自作したりする経験は貴重なものです。具体的なテーマは、「重力加速度の測定」、「ピンホールカメラと太陽の視直径」、「音のスペクトル」、「人間の仕事率」などです。学期の最後には、Zoomによる「レポート発表会」を行い、優れたレポートを紹介しながら書き方の要点を解説しました。

秋学期は、対面授業の希望者に対しては通常の実験テーマを、人数を3分の1にして密を避けながら実施しています。「素電荷の測定」、「等電位線」、「放射線とGM計数管」など、電磁気学や量子論的な現象にも迫ることができるのが、実験室での実験の強みです。一方、遠方に在住しているなどの理由から自宅実験を希望する学生には、パソコンで動作するオシロスコープなどを大学から送付して、6つの自宅実験のテーマに引き続き取り組んでもらっています。

実験室での実験、自宅実験いずれにおいても、自身が測定したデータに向き合ってそれを分析・考察する力を養うことが実験授業の目標です。物理学の進展に欠かせない「実験」の大切さを理解してもらえるように、様々な工夫をしながら指導しています。


物理学実験3・4(3年 オンライン・対面併用)

今年度の春学期は全面的にオンラインとして、実験装置や実験の原理に関することを学習した後、実際の実験データを配信して解析してもらいました。
テーマはX線回折、力学振動、誘電率測定、半導体の電気抵抗とHall効果、核磁気共鳴、光速度測定、走査型電子顕微鏡、示差熱測定でした。春学期にオンラインで実施したテーマのうち実際の装置を扱った方が望ましいと思われる実験は、夏休みに希望者に対して、対面での実験を実施しました。

専門的な装置を扱うことが多い3年生の実験では実際に装置にふれて実験することが大切だと考え、秋学期には定員を1/4に絞って対面授業を実施しています。テーマは超伝導、マイクロ波、シミュレーション、帰還と発振です。対面授業がないグループはオンラインで配信した実験動画をもとに学習することにしています。


オンライン授業:オンデマンド方式

主として、解説音声入りの動画ファイルを録画し、学生に共有する方法です。1回分の動画を作成するのに何日も時間をかけています。

学生は、理解できなかったところを繰り返し見ることができるメリットがあります。一方、いつでも閲覧できるということは、なまけてしまわないように自己管理も必要です。
このため教員は、Zoomによる質問時間を設けたり、小テストを行うなどの工夫をしています。


オンライン授業:リアルタイム方式

時間割通りの曜日時限に行います。
講義資料を共有して、Zoomによりリアルタイムで解説をします。
タブレットを使って板書代わりの手書き解説をする先生もいます。
また、対面との併用では講義の様子をライブ中継するケースもあります。

メリットは、毎週決まった時間に開講するため、学生は勉強のペースをつかみやすいことです。Zoomのチャット機能により、講義中の質問をしやすいこともあります。さらには、教員との距離が近く感じられたとの声もありました。