明治大学理工学部物理学科 Department of Phisics, Meiji University

卒業後の進路

大学院進学

大学院進学の勧め

原田知明
  • 原田知明

私は、博士後期課程でフェリチンというたんぱく質を鋳型として用いることにより、蛍光体ナノ粒子の作製をしています。蛍光体ナノ粒子は、ディスプレイ、LED、蛍光顕微鏡で使用する分子マーカーとしての応用が期待されています。フェリチンは、7 nmの空洞を持つ直径13 nmの球状たんぱく質で、金属イオンを取り込み、その空洞内に金属ナノ粒子を形成させる特徴をもっています。つまり、物理学科である私達が行っている研究は、たんぱく質という生物学と、化学反応という化学を主に使用しているため、物理学から離れているように思われます。しかし、この研究は、物理と切っても切れない関係にあります。例えば、私が扱っている蛍光という現象を知るためには物理が必要不可欠です。また、研究をするにあたり、蛍光を測定する装置や、ナノ粒子を観察する装置などにも授業で習ったことのある理論が用いられています。つまり、研究というものは、至る所で物理が使われていることを感じることができます。大学4年生での卒業研究で、今まで授業で培った物理学の知識を遺憾なく発揮してほしいと思います。また、大学院に進む方々は、4年間の物理学を幹にして、触れてこなかった学問を枝葉のように広げて、研究に生かしてほしいと思います。
 ところで、大学院へ進学するということは、研究成果を出すということももちろんですが、研究を通して自ら考え行動する力を養う場でもあります。学部生のときのように与えられたことをやるのではなく、自ら問題提起し、それを改善、打開する方法を自ら考えなければいけません。これがまさに大学院で勉強することの大きな意味です。大学院へ進学する人は、是非これらのことを胸に刻んでいただき、物理の知識を武器に自発的に行動して活躍してほしいと思います。この努力は,社会に出てから役に立つこと確実です。