明治大学理工学部物理学科 Department of Phisics, Meiji University

卒業後の進路

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明治大学 理工学部 物理学科を卒業された学生さんは、現在様々な分野でご活躍されています。このページでは、物理学科の卒業後の進路や卒業生からのメッセージを紹介します。 物理学科の卒業生の就職先に関しては「2022年度の卒業生の進路」をご覧ください。

物理学科を卒業して

宮原 駿太
  • 宮原 駿太(2014年学部卒)
  • 日本放送協会

私は現在、全国の放送局のマスター設備整備を担当しています。“マスター設備”とは地上デジタル放送およびラジオ放送の番組を送出するシステムです。放送スケジュールに基づき自動制御で放送局から送出する番組の切り替えを行い、必要な信号形式に変換して放送機に送ることで、放送サービスを提供しています。業務においては電波や音波について触れる機会も多く、物理学科で学んだ知識を生かすことができています。
また、初任配属された地域の放送局では、地域サービスを充実させたいとの思いから、“放送動画から30秒程度のPRのための要約動画をAIにより自動生成するシステム”を開発し、放送文化基金賞という名誉ある賞をいただくことにも繋がりました。開発にあたっては、専門外の分野のため、一からの勉強が必要になりましたが、物理学科で培った“課題に対して粘り強く取り組む姿勢”により乗り越えることができました。
物理学科で身につけた知識と粘り強さは、社会人になった今、大変役に立っています。

一粒の光子を求めて

久朗津 崇徳
  • 久朗津 崇徳(2000年学部卒)
  • 浜松ホトニクス(株)

浜松ホトニクス電子管事業部で光電子増倍管応用製品フォトンカウンティングモジ ュールの設計をしています。光電子増倍管に一粒の光子が入射したときに1パルスのデジタル信号を出力する検出器です。この光電子増倍管は、アインシュタインが光は粒子であると説明した光量子説の根拠となった外部光電効果により光電子放出を行い、光電子を増幅し電気信号として出力します。人間には見ることができない光の粒を見ることができるのです。微弱な生物発光、化学発光、医学、宇宙線検出、分光器を始めとする様々なフィールドで光検出デバイスとして使用されています。

明治大学在学中には、さまざまな物理現象についての基礎理論や物理実験への取り組み方法について学びました。ゼミナールでは分子の振る舞いについて知識を深め、実験をおこなうことで理解を深めました。半導体、バイオテクノロジー、もちろん光電子増倍管等の現代技術の基礎原理は物理学にあります。無限の可能性を持つみなさんも明治大学物理学科で、未知未踏の「物の性質」や「種の神秘」を模索してみてはどうでしょうか。私も世の中にない、物作りをしていきたいと思います。

物理を通して学んだ論理的な思考の大切さ

稲田 潤
  • 稲田潤 (1996年学部卒)
  • 2007年 Google入社、2014年より米国ピッツバーグオフィス勤務

物理が好きで物理学科に入ったわけですが、物理が好きな理由は二つありました。一つは身の回りに起こる全ての事象を説明できる学問だったからです。自動車が加速減速すること、ギターが鳴る仕組み、水が流れる仕組み、そのどれもが物理で説明できます。もう一つは物理が記憶よりも考え方が重要な科目だったからです。物理ほど暗記を必要としない科目もないですよね。

前職ではソフトウェアエンジニア、現在は人事を担当していますが、物理を通して学んだ思考は、卒業後にどの分野に進んでも価値のあるものとなっています。また、アメリカに住んでいても、物理を専攻していたというと、論理的な思考ができると一目置かれるようです。

大学時代こそ基礎が大切

高林 広通
  • 高林 広通(1995年学部卒)
  • 日本オラクル(株)

オラクルは、マイクロソフトに次ぐ世界第二位のコンピュータソフトウェア会社です。携帯サイトやインターネットバンキングなどに利用されるデータベースソフトを製造販売しています。

私は明治大学卒業後、システムエンジニアとして同社へ入社し、現在は『OracleDirect』という組織のマネージャーとして、お客様の課題解決のため、電話やインターネットを駆使した提案活動を行っています。

私が明治大学で物理学を学んで良かったことは、 まず物事の事象を原点から考察し、道筋を立てて解き明かす という考え方を学べたということです。実社会では常にこれが 正しいという答えはなく、常に前向きで柔軟な発想を持って、 人が今までやってこなかったことにチャレンジし、成果を上げ られる人材が必要とされています。大学時代こそ、小手先の技術を学ぶより、その土台を しっかりと身につけることが大切だと思います。

地道な取り組みが独自の技術に繋がる!

鈴木 理人
  • 鈴木 理人(基礎理工学専攻(物理系)博士前期/2009年修了)
  • 東芝メモリ(株)

私は現在、次世代3Dメモリのインテグレーション技術を担当しています。インテグレーション技術とは成膜、リソグラフィ、加工、検査、設計、各技術を組み合わせ最適な3Dメモリ製造フローを構築する業務です。各工程が細分化し複雑化する3Dメモリの製造工程を広く、深く、理解する必要があるがゆえに難解な仕事で、非常にやりがいを感じています。生産技術に興味があったこと、働く先輩の雰囲気がよかったこと、から私は現在の会社を選びました。大学、大学院時代の氷結晶の研究も、はじめは結晶を作る事が出来ませんでしたが、地道に失敗の原因を予測し、検証していくことで、結果をまとめ論文を書くことが出来ました。このような地道に原理原則を解明する経験は現職でも非常に役立っています。ものづくりに隠れる物理法則を解明し、その法則に基づく製造フローを実現し、世を驚かせる。それが私の夢であり、実現のための土台を育ててくれたのが明大物理です。

自然科学のおもしろさを感じる心を育みたい!

猪股 七菜子(写真右)
  • 猪股 七菜子(写真右/2005年修士卒)
  • (株)ベネッセコーポレーション

高校時代から物理が好きで、もっと学びたい、面白さを子供たちにも広めたいという思いから、入学を決めました。

授業や教職課程の取り組み、研究活動を通して、仲間と共に学ぶことの楽しさ、試行錯誤を繰り返し研究がうまくいった時の喜びを知りました。また、私が行っていた研究をヒントに、「夏休み科学教室~雪や氷の世界を体験しよう~」の企画を行ったことも自信につながっています。小学生の子供たちが、目を輝かせて実験に取り組む姿、笑顔でおうちの方に一生懸命説明していた姿がしっかりと胸に刻まれています。これらの経験によって、子供たちに自然科学のおもしろさを伝えたいという想いがますます強くなっていきました。

現在は、小学生向けの教材を担当しています。物理学科で学んできたことを強みに、「科学を感じてワクワクする心」を育てていけるような教材を作っていきたいと思っています。

電車も物理で動いています

岩本 光倫(2000年学部卒)
  • 岩本 光倫(2002年度大学院博士前期課程修了)
  • JR東日本

こんにちは。2002年度に明治大学大学院理工学研究科基礎理工学専攻を修了した岩本です。
大学院では超音波物理研究室に在籍し、光を使って音を測る光偏向法の研究を行なっていました。

修了後に入社した会社では鉄道輸送に関わるフィールドで仕事をしています。
大学での研究と全く違った分野で仕事をしていますが、明治大学で培った人間力と、研究室の教授はもちろん学科の全ての先生に磨いていただいた課題解決力は、仕事に取り組む上で大きな力になっています。
これからは、技術的にも、精神的にもさらに向上を図り、新しいことにも積極的に挑んで行きたいと思っています。

大学時代のあらゆる経験が、いまの仕事にいきている

丸 晶子
  • 丸 晶子(2001年理工学研究科基礎理工学専攻修了)
  • キヤノン(株)

現在、インクジェットプリンターの設計を担当し、お客様が写真を写したときの気持ちを鮮明に思い出せるようなプリント技術を実現したいと日々考えています。ものづくりの仕事に携わる中で、大学時代に得たあらゆる知識や経験がいきていると感じます。たとえば、本体に安定してインクを供給する仕組みには力学や物理学、機器内の空気の挙動を把握するためには流体力学など、役立つ知識は多岐にわたります。
物理学はすべての科学分野の原理であり、対象は生物から宇宙まで広範囲におよびます。この宇宙のすべてをシンプルな数式で表そうとしたりもします。とても魅力的ですが、就職後にこうした研究に取り組むのは容易ではありません。いま興味をもっている方は、ぜひ大学時代に物理の世界へ飛び込むことをおすすめします。物理学科の先生方はフレンドリーで、親切に、丁寧に指導してくれることでしょう。

物理学科で頂いた"気持ち"

菊池 健悟(写真右)
  • 菊池 健悟(写真右/2005年博士課程修了)
  • アンリツ(株)

私は、先輩方に指導を頂きながら高周波計測器でのデジタル信号処理部を担当しています。〝ものづくり″の世界では、良い物を作り上げたい、という気持ちがとても重要だと考えており、その気持ちを裏付けるべく仕事を行っています。

〝良い物″の定義はその環境で変わるものですが、〝技術の中に、美しさがひそんでいるもの、人の心に訴えるもの″を挙げることはできないでしょうか。明治大学物理学科では、自然の美しさ、不思議さ、を自身に強く問い続ける気持ちを教えて頂いたと思っています。

恩師の先生、物理学科の先生方からは、論理的思考と、現象から物事の本質を抽出する楽しさを、研究室の先輩方からは、同じ目的に対して議論することの楽しさを教えて頂いたと思っています。