市田研究室
市田優(ICHIDA Yu)
研究テーマ
解析系応用数学,力学系理論と微分方程式論,現象の数理解析, 防災数学 〜災いを防ぎ,未来を創造する数学〜
自然現象,社会現象における「なぜ」という疑問に論理的に説明できることを目指し,その表現方法として数学は古くから発展してきました.興味のある現象を数学的に知りたいと思ったとき,数理モデルを用いることは有力なアプローチの1つでしょう.すなわち,数理モデルを構築し,それを数学解析し,数値シミュレーションし,モデルの妥当性を検証し,必要に応じてモデルを修正し,解析し,比較検証することを繰り返すことです.これにより,現象の背後にあるメカニズムの理解,想定していない未来を予測し,それが実験的にも実証することができれば現象理解は大成功と言えることになります.つまり,現象を本当に理解したいと思ったとき数学だけの視点で理解するのは難しいでしょう.複雑な要因が絡み合う中でどの本質を捉えるためには分野横断による現象の理解が重要と考えます.しかし分野横断は言葉や定義,文化の違いがあり,まだまだ進んでいないことも現状です.そこで「広い意味での災い」を防ぐという意味で「防災」を掲げることは多くの分野が集まり議論する上での1つの軸となると私は考えています.
防災と聞くと地震や火事,台風といったスケールの大きな災害をイメージするかもしれません.しかし,身近に潜む災いという小さいスケールも込めて考えたときに,より豊かな人間生活の実現のためには,突然訪れる「災い」に対して,どのように備えるか考えなくてはいけません.しかし,上記で述べた現象理解の成功ができた暁には,毎日をもうちょっとハッピーに過ごせるかもしれません.市田は数学と日常をつなげる,数学と他分野との分野横断研究の実践へのキーワードとして「防災数学」を掲げ,数理モデルによる現実世界の記述と未来創造に取り組んでいます.特に,現象を数学的に理解することの強みは数式がもたらす普遍性,仮説・論理の提供,実験の効率化でしょう.数理モデル構築において現象のすべての要素を組み込むことは解析を困難にするため,本質を見抜き単純化して,いかに簡単な方程式で現象の一端を記述することができるかという点はモデルの“美しさ”に関わってくるでしょう.それゆえ,実験と数理の視点が複数に織りなす新しい双方向複眼的融合基盤研究を防災という共通点で創出することこそが防災数学であると言えます.市田は防災の形について数学から模索することで,実験と数理のそれぞれの発展と融合研究が新たな価値や深化を生み出すことを目指しています.
また,その基礎的な研究として,微分方程式の解構造や数理構造を理解するための手法の開発や応用も研究テーマとしています.多様な現象を数学的に記述する場合,原理・法則から導かれる微分方程式による表現がなされています.現象の多くは時間と空間の織りなす世界のもとで起こるものであり,偏微分方程式での記述が期待されます.現象理解のための偏微分方程式の解析において,偏微分方程式には一般的に解の公式なるものは存在しないため,解を既知関数によって表現することは期待できません.それは,特別な解に限ったとしても解のダイナミクスを含めた定性的諸性質を明らかにする研究に意味があるといえます.市田は力学系理論と幾何学的アプローチを組み合わせた手法を援用することで偏微分方程式の特殊解の分類(存在,形状に関する情報,無限遠方などの漸近形式)を得ることを目標としています.特に,“変な”挙動(特異性を有しているなど)を見てみたい,そしてそれがどのようにしてなぜ出現するかという機構の解明に興味を持っています.
ひとこと
本学数学科で私は数学を学び,使い,創り,そして教員となりました.
数式たちは防災している!
数学世界を根底から構築し,追体験し,そして挑戦と創造をともに!
数学科向け担当科目
- ゼミナールA
- 常微分方程式1
- 関数解析
