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2020年ベスト錯覚コンテスト優勝
「立体版シュレーダー階段図形」
Best Illusion of the Year Contest 2020 で立体錯視作品
「立体版シュレーダー階段図形」
が優勝を獲得しました。今回の作品は、立体の絵と本当の立体とを混在させると絵の部分も立体と見てしまう脳の振る舞いを調べる実験材料として作ったものです。シュレーダーの階段図形という150年以上前から知られている多義図形に手すりの立体を取り付けたものですが、元の図形とは違う多義性が生まれます。
「シュレーダーの階段図形」とは
左の図形が、シュレーダーの階段図形と呼ばれる絵です。この絵は、二つの解釈ができます。もっとも素直な解釈は、階段を斜め上から見下ろしたところというものです。これ以外に、階段を斜め下から見上げたところという解釈もできます。第2の解釈は、この図を上下反転させてみると素直に知覚できます。このように複数の解釈を持つ図形は多義図形と呼ばれます。シュレーダーの階段図形は、ドイツの自然科学者シュレーダーが1858年に発表したもので、代表的な多義図形です。
「シュレーダーの階段」を3次元立体にすると
今回優勝した立体作品は、このシュレーダー階段図形に手すりと支柱を付けたもので、やはり二つの解釈ができますが、その解釈は元のシュレーダー図形とは違うものです。二つの解釈は、どちらも上から階段を見下ろしたところです。そして、同じ姿勢の立体を見ていただけでは一つの解釈しかできません。第2の解釈は、反対側から見ると生まれます。反対側から見る代わりに、後ろに鏡を立てても見ることができます。鏡を使う代わりに、立体を垂直な軸の周りで180度回転したのが今回のビデオ作品です。
紙工作用展開図
立体工作のための展開図は
こちら にあります。非営利目的に限り自由に使っていただいて構いません。
工作するときは、階段部分は折らないで平らなまま使いますので、ご注意ください。