地球を旅する楽器 ルーツ・ミュージックの世界 |
一口に「文化」と言っても、高尚なものばかりではなく、通俗的なものもある。 また「文化交流」が起きる原因も、平和友好ばかりではない。現実の世界では、戦争や植民地化、貧困による移民などが「文化交流」を引き起こす原動力となることが多い。 例えば、日本の「演歌」の誕生は、朝鮮半島の植民地化と密接な関係がある。 アメリカの「ロック」音楽の源流は、かつて奴隷として強制連行されてきたアフリカ系が持ち込んだビート感と、かつて二級市民と見なされたアイリッシュ系が持ち込んだケルト音楽にある。 この回では「文化交流」の一例として、ルーツ・ミュージック(roots music) と通俗音楽の関係を取り上げる。 |
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ヴィブラートは不可欠のテクニックである。音色は華々しく力強い。弓使いは「縫い目」のないがごとくで、特別な効果をねらう時以外は、弓を返す時にアクセントをつけない。左手は指板の高いポジションまでくることもある。 |
ヴィブラートは使わない。音色は華々しいというより、むしろ、くつろいだものである。弓を端から端まで一杯に使って演奏することはまれである。弓を返す時は、アクセントがつく。弦を押さえる左手は基本位置に置かれている。 |
音色は金属質で、きれいな音がする。息継ぎは、それとわからず取るのを理想とする。音域は三オクターヴである。 | 音色は木質で、しわがれた音さえする。息継ぎはしばしば、意図的に強調される。音域は二オクターヴである。 |
ヴィブラートや劇的でダイナミックな表現を使う。歌詞に歌われたさまざまな感情は、顔の表情で強調される。胸声で歌われ、鼻にかかった声は使わない。歌の最後は、華やかに終わる。 |
ヴィブラートや劇的でダイナミックな表現は使わない。顔の表情で何かを表現することは少ない。頭声で歌われ、時に鼻にかかった声がする。歌の最後はさりげなく終わる。 |
アイルランドの伝統音楽において、クレッシェンドやデクレッシェンドといった概念がまったく縁のないものであるということも、一般的には事実である。 私は今までに、クラシック音楽の演奏家やリスナーたちが、伝統音楽では楽器の潜在能力を充分には生かしていない、と言うのを聞かされてきた。これは誤解である。楽器というのは、単に何かを表現するための手段に過ぎない。またある人は、ソネットという詩の形式はたった十四行しかないから可能性の限られたものだ、と言うかもしれない。逆に、アイルランドの伝統音楽の演奏家にしてみれば、クラシック音楽の演奏(特に彼らが伝統音楽を演奏しようとする時)は、大げさで、芝居じみていて、下品に聴こえる。 つまり、クラシック音楽の訓練は伝統音楽の演奏家にとって邪魔になる恐れがある。 |
・ウマの歩様(gaits)とリズムの関係 walk <amble <trot <pace <canter <gallop
馬の歩様の名称 | 英語 | リズム | 蹄音の擬音語 |
常歩(なみあし) | walk, amble | 4拍子 | ポックラ、ポックラ、・・・ |
速歩(はやあし) | trot, pace | 2拍子 | トントン、トントン、・・・ |
駆歩(かけあし) | canter | 3拍子 | タカタッ、タカタッ、・・・ |
襲歩(しゅうほ) | gallop | 4拍子 | タタタタ、・・・ |
重心の移動 | アクセント | 手 | 足 | 身体感覚 | |
日本の踊り | 水平志向 (横ノリ系) | 平板 | 動 | すり足 | 安定感 |
アイリッシュ・ダンス | 垂直志向 (縦ノリ系) | 強弱 | 静 | 跳躍 | 躍動感 |
十二音音階 | ド | bレ | レ | bミ | ミ | ファ | #ファ | ソ | bラ | ラ | bシ | シ | ド |
長音階 | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド | |||||
ヨナヌキ長音階 | ド | レ | ミ | ソ | ラ | ド | |||||||
自然的短音階 | ラ | シ | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | |||||
ヨナヌキ短音階 | ラ | シ | ド | ミ | ファ | ラ | |||||||
商調式音階 | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド | レ | |||||
沖縄音階 | ド | ミ | ファ | ソ | シ | ド | |||||||
わらべ歌音階 | ド | bミ | ファ | ソ | bシ | ド | |||||||
律音階 | ド | レ | ファ | ソ | ラ | ド | |||||||
都音階 | ド | bレ | ファ | ソ | bラ | ド |