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コンサーティーナ入門 FAQ

最初の公開2011-10-23 最新の更新2017/8/15

【問】例えば数万円のコンサーティーナと、数十万円のコンサーティーナでは、性能が10倍違うのですか?
【答】楽器は機械ではないです。嗜好品なので「性能」は単純に測れません。
 料理も、10倍値段が高ければ10倍おいしい、とは単純に言えないのと同じです。
 また、初心者が簡単な曲を弾く場合は、楽器の「性能差」を実感することは、そんなにありません。
 比喩的に言うと、数万円台のママチャリの自転車と、数十万円のスポーツ用のロードバイク型の自転車の差です。
 200kmの距離をビュンビュン飛ばして走ると、両者の性能差を実感します
 というより、安いママチャリで1日200kmも走ると足腰が疲れて、痛くなります。ロードバイクでないと、一日200kmは無理でしょう。
 またママチャリで平均時速30kmで走るのは、きついです。ロードでないと、巡航速度30km毎時をキープするのは辛いです。
 しかし、サンダル履きで、ご近所のスーパーまで買い物に行く場合は、どうでしょう?
 ロードでもママチャリでも、性能差はあまり実感しません。というか、買い物カゴやスタンドがついている買い物用のママチャリのほうが、ロードバイクの自転車より便利なくらいです。
 コンサーティーナも自転車と同じです。
 一万円台の安物はすぐ壊れます。数万円台なら、それなりに長く使えます。数十万円以上のコンサーティーナでないと弾きにくい曲とか音楽のジャンルもありますが、そんなに性能差を感じさせない曲もたくさんあります。
 もちろん、一般的に高価な楽器のほうが、作りは丁寧です。具体的には、ボタンのタッチも軽く、レスポンスも機敏で、リードの響きも気持ちが良いです。特に速い曲、装飾音の多い楽曲などを弾くときは、高級品のほうが弾いてて気持ちよいです。
 まあ、ギターでもピアノでも、高価な楽器のほうが良い音がするのは、当たり前のことですが。
 数十万円以上の高級品のコンサーティーナ(お金持ちは「これが標準だ」とうそぶくかもしれませんが)の新品は、価格もさることながら、職人の手作りのため、注文してから数年間待たされることもあるなど、入手が難しいです。

 ここで思い出されるのが、金子万久先生の言葉です。
 以下『アコーディオン愉し』より引用。
p.65 <貧乏人のピアノ>って唄知ってるかね? この時代のアコーディオンって本当に安くて手軽で易しく弾けたんだ。田舎でもどこの家庭にも小型のアコーディオンがころがってるようなこの楽器のいわばルーツに少しぐらい戻したいよ・・・アコ普及協会会長としてはね。
p.67 だからよく聞かれる「アコーディオンに当たりはずれってありますか?」に「ない」と言ったら嘘になるだろうが、 前々からあまり鳴りのよくない楽器と思っていたのを、たまたま外人の奏者に貸して演奏を聴き、その楽器を見なおしたことがある。
 その時、昔先生から言われた言葉「アコーディオンて、あまり楽器にばかり厳しい要求(注文)をつける必要はない。」を想い出した。
 ただ、コンサーティーナの場合、アコーディオンと違うのは、タイプごとに「設計思想」が違うことです。例えば、同じアングロ・コンサーティーナでも、9万円の40ボタンと、27万円の30ボタンがあった場合、どちらが「高性能」か? 一概には言えません。例えばもし「ようこそジャパリパークへ」のようなアニソンを和音伴奏も含めて独奏したければ、値段やグレード以前の問題として、40ボタンでないと難しいです。
 値段の安い「アコーディオンリード」のコンサーティーナと、値段が高い「コンサーティーナリード」のコンサーティーナでは、もちろん後者の甲虫の羽音のようなブーンという音色のほうが本物ですが、音色の個性が強すぎて「普通の曲」を弾くとき鼻についてしまうこともあります。
 料理でたとえていうと、安いカニカマと高価なカニのようなものです。後者のほうが本物ですが、料理のレシピによっては、カニカマを使ったほうが美味しいものはたくさんあります。
 お酒でたとえると、ホッピーとビールの関係でしょうか。
 楽器も食材も、高価なものは、だてに値段が高いだけではなく、人の心を豊かにしてくれます。でも、安価な楽器や食材のほうがかえってよい曲やレシピも、たくさんあるのです。ここが、楽器の面白いところです。

【参考】cocoさんの「メロディオン・ノオトブック Melodeon Notebook」の中の「コンサーティーナについて About Concertinas」には、高級品と廉価品の内部構造の違いの写真もアップされてます。

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