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日本文化を豊かにしてくれた中国の楽しくて面白い物語

滔天会 文化講演会 2020年2月1日(土)午後2-4時
としま産業振興プラザ(IKE・Biz) 多目的ホール
司会 段躍中  講師 加藤徹
最新の更新2020-2-1   最初の公開 2020-2-1

 講演概要
 日本の漫画やアニメは世界中で大人気です。日本のアニメの成功作品には、中国の古典的な物語の趣向を採り入れたものが少なくありません。
 昔、東映の大川博社長は「東洋のディズニーになる」と宣言し、海外輸出を念頭に、日本初の長編カラーアニメ映画『白蛇伝』(1958年)を制作しました。『白蛇伝』は中国人なら誰でも知っている有名な昔話です。大川氏が日本文化の海外輸出のコンテンツとして『白蛇伝』を選んだ理由とは?
 アニメの世界的巨匠・宮崎駿氏は、高校時代に東映の『白蛇伝』を見て感激し、この道に入りました。宮崎氏らのスタジオ・ジブリのアニメに受け継がれた『白蛇伝』のDNAとは?
 この他、日本の漫画やアニメのヒット作には『西遊記』『三国志演義』『水滸伝』など、中国の面白い物語を下敷きにしたものが少なくありません。
 この講座では、日本の文化を豊かにしてくれた中国古典の物語の魅力と特徴について、映像を見ながら、わかりやすく解説します。
【キーワード】  世代累積型集団創作(世代累积型集体创作)
 ソフトパワー(软实力)
 キャラクター(角色)

加藤徹のYouTubeビデオ
 https://www.youtube.com/user/catotoru1963/videos

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 日本と中国の歴史の発展段階を比較
都会の盛り場:中国は北宋(960年-1127年)の首都・開封から。日本は江戸(1603年-1868年)から。
cf.日本の伝統芸能と寄席芸能
 日本では江戸時代から浄瑠璃、落語、歌舞伎などが勃興。中国では北宋時代から「講唱文芸」が発達。明(みん。1368年-1644年)の時代に誕生した白話小説の物語や、清(しん。1636年-1912年)の時代の京劇などの演目の物語の祖型は、宋の時代にできあがったものが多い。

 日本の庶民層は江戸時代から中国の物語の翻案を楽しむようになった
 江戸時代、寄席や貸本屋などが発達した。庶民層の客をひきつける面白くてわかりやすくて楽しいコンテンツは、在来の日本文芸には少なかった。そこで江戸時代の創作者は、笑い話や怪談なども含めて、中国の物語に取材した。
 cf.昭和30年代・40年代の日本のテレビ→アメリカのドラマやアニメなども多かった。

 中国の物語の特長
〇江戸時代から現在まで日本で人気の物語。
三国志(三国志演義):英雄豪傑たちが知恵と友情で戦う天下取りの物語。
西遊記:仏教色を取り入れた課題達成型ファンタジー。
水滸伝:庶民と等身大のヒーローが活躍する世直しの物語。
白蛇伝:三角関係の世界を異類婚姻譚(いるいこんいんたん)として描く。

三国志→吉川英治の小説『三国志』はじめ、翻案作品・派生作品多数。
西遊記→「宇宙戦艦ヤマト」の設定の土台に。
水滸伝→滝沢馬琴『南総里見八犬伝』に影響。
白蛇伝→上田秋成『雨月物語』や宮崎駿のアニメ『崖の上のポニョ』にも影響。

〇日本では流行しなかった中国の物語。
楊家将演義:日本にはすでに楠木正成の物語があった。
紅楼夢:日本にはすでに源氏物語があるので、必要なかった。
金瓶梅:内容がアダルトなので、こっそりと流行した。
封神演義:中国色が強すぎて、日本では流行しなかった。


内部リンク
  1. 京劇演目のニッチの例
  2. 白蛇伝 授業用メモ
  3. 『三国志』 自己研鑽しない英雄たち
  4. 初心者にもわかる「三国志」の世界
  5. 『西遊記』 なぜ中国人は予定調和の世界を好むのか
  6. 京劇 西遊記2019 〜旅のはじまり 上海京劇院

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