京劇俳優座公演ミニレクチャー
最初の公開2011-9-21 最新の更新2011-9-26
この頁は、東京の俳優座劇場で行われた
日本京劇研究会・中国国家京劇院合同公演
2011.9.21〜9.25
http://www.kyogeki.com/
で、加藤徹が担当した京劇ミニレクチャーの内容を、自分の備忘用にまとめたものである。
同公演の全9ステージでは、毎回、最初の25分ていど「京劇ミニレクチャー」を行った。
加藤徹が担当したのは、9月21日夜、22日夜、24日昼の3ステージ。
残りの回は、波多野眞矢氏、平林宣和氏がそれぞれ3回ずつ担当した。
ここに掲げるのは、加藤徹の担当ぶんのメモである。画像の解像度は、実際に映写したものより大幅に落としてある。
以下、工事中
- まず、あいさつをする。「本日はあいにくの天気の中、わざわざ…(以下、略)」
- 「これは、本公演のスーパーバイザー、殷秋瑞氏が、京劇の関羽に扮した写真です。この写真を見て、みなさんは
どうお感じになりますか? 一言で言うと、コワイですね。なぜコワイかと言うと(以下、略)」
京劇の特徴:高いテンション、大音量、猛烈な動き・・・ < 存在感
- 昔の中国の劇場
「昔の中国人は、世界演劇史上、最低最悪の観客であると同時に、最高の批評家でもありました。具体的に言うと、例えばこの絵の…(以下、略)」
昔の中国の劇場 京劇の原風景 喧噪、混乱、猥雑…
魯迅(宮芝居)、芥川龍之介、映画「さらば、わが愛」「花の生涯」「北京オペラブルース」…
過酷な演劇環境 > 大音量、オーバーアクション、後付けの理屈の数々「四大行当」「四功五法」「程式」「虚擬性」「写意」…
- 京劇俳優 形式知<暗黙知 例:京劇界のことわざ
「それらしくなきゃ芝居じゃない。そのまんまなら、芸じゃない」
「芝居は3割のモヤモヤ感を残せ」
Aプロ「秋江」の川舟、Bプロ「拾玉鐲」の家屋・刺繍、孫悟空「御馬監」の乗馬、・・・
- この人は誰?
- 正解は「梅蘭芳」(メイランファン)。「芸、芸人」から「世界的な名優」「芸術大師」へ
1956年7月13日、改築前の俳優座で実演レクチャー。
- 梅蘭芳の代表作の一つ「天女散花」。
「本公演のCプロ「天女散花」で、特別友情出演の袁英明さんは、梅蘭芳の息子の弟子、つまり孫弟子です。」
- 現代ものの新作京劇も創作した。
- この人は、誰?
ヒント。ドイツ人。
-
正解はブレヒト。劇作家、演出家、演劇理論家。
ブレヒトは1935年、モスクワで梅蘭芳の京劇を見て、驚愕。
1937年に論文「中国の俳優術の異化的効果」を書く。
ブレヒトの「叙事的演劇」「異化効果」など独自の演劇理論の構築に、京劇の暗黙知的な「芸」がヒントになった。
- ブレヒトの演劇が目指したもの
→ 観客を含めた全世界の相対化・「演劇」化。
いわば「宇宙の缶詰(蟹缶)」(赤瀬川原平氏の作品)の演劇芸術版。
- この人、誰?
ヒント。俳優座劇場の入口右手の階段に、この人の写真と銅像が飾ってある。
- 正解は、千田是也。
千田先生は、ブレヒトの演劇を、日本に紹介。
ブレヒト研究を通じて京劇に独自の視点をもち、京劇俳優とも親交を結ぶ。
1956年7月13日、ここ俳優座劇場(改築前)の舞台に、来日した梅蘭芳の京劇団を招き、実演レクチャーをしてもらった。
来日した梅蘭芳は、「もし千田さんが京劇俳優なら、すばらしい趙雲を演じられる」と激賞した。
- この人、誰?
- 正解は、木村鈴吉。生前の愛称は「ベルさん」。俳優座演出部員。
千田是也先生といっしょにブレヒトの研究、上演を進めた。1986年没。
ブレヒト研究の延長で、「日本語による京劇上演」を行う。「京劇研究会」の源流。
この写真は、岩手県の陸前高田市での公演の時のもの。
- 木村鈴吉とブレヒト/京劇研究を進めていた俳優たち。
Aプロ「秋江」(木村鈴吉訳。日本語京劇)を演ずる二人の今の顔。
- 木村先生はガンを病んだ。1985年、自称「生前追悼公演」のチラシ。クリックすると拡大。
演劇の源流を求めて◆演出家・木村鈴吉の仕事◆
1985.4.13―4.14 千田スタジオアクト飯倉
- 26年前、1985年の出演者の写真。
セリフ「若っ!……(舞台の袖に向かって)あっ、今も若いですヨ!」(会場、笑い)
「照明の小池さんには、今日のこの舞台も、照らしていただいてます。ありがとうございます。」(照明に向かって一礼)
-
俳優座劇場を作った一人、千田是也先生が翻訳したブレヒトの論文。
- 「で、木村鈴吉先生が亡くなったあと、志を受け継ぎ、京劇研究会は、ここ港区を中心に、地道に日本語京劇を上演してきました。
この写真は、伝統的な京劇演目の日本語京劇です。詳しくは、ロビーで売ってる800円のパンフレットをどうぞ。」
- 京劇風教育劇「イエスマン、ノーマン」。ブレヒト作。
- 「水簾洞・御馬監」の主役を演ずる石山雄太氏(中国国家京劇院)の紹介。
「今まで述べてきた、ブレヒト研究の系譜とは別に、中国の京劇に魅かれた日本人もいます」
「石山さんは、孫悟空の演技を、名優の王鳴仲から習ったことがある。王鳴仲は、1956年に梅蘭芳とともに来日し、この俳優座の舞台にも立ちました(以下略)」
その後、本日の演目のあらすじと、見所を解説。
突如、舞台の袖から京劇風の咳払いの声)
「エッヘン!」by 殷秋瑞氏
- 「あ、神の声が。もうこんな時間ですね。
今の声は、スーパーバイザーをつとめる京劇俳優の殷秋瑞さんの声です。」
(舞台の袖をチラリと見て、上の写真の目の部分を急拡大する)
「あ、殷秋瑞さんが、こんな目で、私をにらんでます。では最後に、会場の皆様と、好(ハオ)、のかけ声の練習をしましょう。」
(叫好の練習。2分間ていど)
「では皆様、次は55年後にまたこの俳優座劇場でお会いしましょう。」
(椅子とマイクを手で抱え、逃げるように退場。暗転。そのまま演目開始)
おまけ
京劇レクチャー終了後は、舞台の袖で、字幕担当のMさんの脇でお手伝い(中国語脚本を、なぞる)
パソコンをクリックすると、舞台の両脇の電光掲示板に字幕が映る。映写する絶妙のタイミングが、職人芸の見せどころ。写ってる手は、Mさんの手。