明治大学 非営利・公共経営研究所

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研究の目的

■社会的企業による条件不利者(*)の就労支援モデルの開発、普及

■ソーシャル・キャピタル(*)的ネットワーク構築に焦点をあて、社会基盤整備の方策について提案

 本研究の目的の第1は、社会的企業による条件不利者の就労支援モデルの有効性と現状での課題を、国内外の先行事例の検証を通じて明らかにし、就労支援と福祉的支援双方のハイブリッド的活用を通じた条件不利者の社会的包摂・自立支援のより有効なモデルを開発し、普及することにある。
 第2に、条件不利者の就労支援に取り組む社会的企業が発展していくための社会基盤整備について、関係する専門機関・専門家、類似事業者の連携、市民との関係構築など、ソーシャル・キャピタル的なネットワーク構築に焦点をあてて、社会基盤整備のための方策について提案していく。

*「条件不利者」とは労働市場における条件不利にある人々という意味で、障がい者に限定されず、麻薬依存や刑務所出所者、ニート、引きこもりなどの通常の雇用機会へのアクセスが困難な人々も含まれる。
*「ソーシャル・キャピタル」とは、人々が作る社会組織の中に存在する社会的ネットワーク、信頼、規範であり、ネットワークに属する人々の協力を促進し、互換の利益の実現に貢献するもの。社会的つながりや信頼。

研究の概要

■労働市場における条件不利者の就労支援に取り組む社会的企業の事例を研究するとともに、事例発掘のための調査も行う

■上記の社会的企業と行政との連携の効果、および課題について検証する

 条件不利者の就労は、自立した生活を確保するうえで一番の問題であるが、競争原理の中で福祉的施策に頼らざるを得ず、十分にはニーズに答えられていない中で、社会的企業による就労支援の活動が注目されている。本研究では、日本の事例を中心に、イギリスの先進事例の有効性、日本への応用可能性を検証し、その活動、支援のあり方を明らかにするとともに、効果的、持続的モデルを提起する。
  また、これらの活動を行っている組織の多くは、収益事業に関与することで雇用を創出するという企業家的機能と、メンタルケアや職業訓練サポート、生活相談サービスの提供など、社会貢献的・福祉的機能を併せ持つ「ハイブリッド型組織」である。条件不利者の社会的排除・貧困状態からの脱却を支援し、社会的包摂と自立を促していくには、このような支援モデルが有効と考えられるが、その活動・役割への社会的認知度は低い状況にある。社会的企業の活動と、行政を含む他の機関、市民との間でのソーシャル・キャピタルの形成こそが社会基盤整備における緊要の課題であると考え、ソーシャル・キャピタル的ネットワーク構築に焦点を当てた社会基盤整備の方策を提案したい。

研究者紹介

代表研究者塚本 一郎明治大学経営学部教授
実施担当者・関係スタッフ西村 万里子明治学院大学法学部教授
服部 篤子CAC-社会起業家ネットワーク代表

研究報告

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