明治大学意識情報学研究所

Institute for Informatics of Consciousness, Meiji University


 明治大学意識情報学研究所は、いわゆる「超心理現象」や「変性意識状態」などと呼ばれてきた現象を、それらの現象が存在するかしないかということを初めから断定せず、中立的な立場から科学的に研究することを目的として、明治大学情報コミュニケーション学部のスタッフが中心となり設立された特定課題研究所(特定課題研究ユニット)です。

 「超」心理現象や「変」性意識状態といった用語自体に、普通ではない「変」な現象というニュアンスが含まれています。それゆえ、学術的にはまじめに取り上げられることの少ない分野でした。しかし一方でマスメディアなどによって興味本位にとりあげられることが多いのも現状であり、結果的に「超能力」からUFOにいたるまで、雑多な概念をひとまとめにして、十分な研究がおこなわれないままに、信じるとか信じないとかいった不毛な議論が展開されてきたのが実情です。

 そもそも、心理学自体が科学として成立してきた過程で、「心」や「魂」という、物質ではないものを近代的な物質科学に準じた方法論で解明しようとするために、「意識」という主観的な現象を直接扱うのを回避せざるをえなかったという歴史的経緯もあります。しかし、近年になって、認知科学が心や意識というものを情報処理のプロセスとしてとらえなおそうという新しい視点を導入し、それが意識研究や意識科学と呼ばれる、意識という現象を正面から扱おうとする分野へと発展してきました。この研究所で行われている研究も、基本的にはそのパラダイムの延長線上にあります。

 しかしながら、同時に、この研究所では特定の研究パラダイムにはとらわれずに、むしろ「心」や「意識」という現象をいかにして科学として扱えるのか、あるいは扱えないのかという方法論自体の研究も行っています。(ここに書いていることも、蛭川の考えであって、必ずしも研究員の総意ではありません。)たとえば、ひとくくりに「超常現象」とされる現象群の中にも、そこにはさまざまな、性質の異なる現象が混在しています。まず、それを整理しなければなりません。通常現象対超常現象、日常意識対変性意識、あるいは、超常現象信奉者対懐疑論者といった、従来のナイーブな分析の枠組み自体を見直すことで、新しいパラダイムを模索していきたいと考えています。そのためには、心理学や認知科学だけではなく、科学哲学・科学社会学や文化人類学、さらにはジャーナリズムといった、より広い視点も取り入れていかなければならないでしょう。また、ここ百年の間に、心理学が科学であろうと努力してきた一方で、物質科学の基礎である物理学自体が古典物理学から現代物理学へと根本的な変化を遂げたことも看過できません。

 世界的にみてもこの分野の研究は遅れており、とりわけ日本ではこの種の問題を情緒的にとらえる傾向があって、なかなか学術的研究の俎上に載らなかったのが現状です。しかし、逆に特定の宗教的権威などによる束縛が少なく、西洋的な思考と東洋的な思考が共存しているというのも日本という場所ならではの特徴です。そのような状況の中で、意識情報学研究所は、国内外における隣接分野の諸研究機関、諸学会等とも協力しつつ、将来的には日本におけるこの分野のひとつの研究センターとしての役割を担っていければと考えています。

明治大学意識情報学研究所 代表
明治大学情報コミュニケーション学部 准教授
蛭川 立


 研究員

蛭川 立 明治大学情報コミュニケーション学部准教授
石川幹人 明治大学情報コミュニケーション学部教授
岩淵 輝 明治大学情報コミュニケーション学部准教授
森 達也 明治大学情報コミュニケーション学部客員教授
渡辺恒夫 明治大学情報コミュニケーション学部兼任講師
小久保秀之 明治大学情報コミュニケーション学部兼任講師・国際総合研究機構研究部長
清水 武 明治大学情報コミュニケーション学部兼任講師
岩崎 美香 明治大学情報コミュニケーション学部助手

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過去の研究会の記録・今後の研究会の予定

西暦2008年度
西暦2009年度
西暦2010年度
西暦2011年度
西暦2012年度


関連情報

明治大学意識情報学研究所メーリングリスト
(研究員および関係者の情報交換のために使用しており、登録制です)

お問い合わせ、取材等の連絡は、下記蛭川宛メールアドレスにお願いいたします

「不思議な現象」の体験談なども募集しておりますが、臨床的な相談はお引き受けしかねます


※意識情報学研究所は、明治大学の特定課題研究所です。特定課題研究所とは、制度上、教員有志が集まってつくる研究プロジェクトで、その研究内容や方針は、明治大学全体とは直接関係がありません。また、本研究所は特定の宗教法人とはまったく関係がなく、資金援助等も受けていません。