ロボット工学研究室(AMSL)を志望する学生達へ - Part 2

Last update: Feb.29.'08

 

大学院?自分とは関係ないと思っていませんか?いやいや.これは学部1年次の時から意識しておくべきことです.とにかく以下を読んでみてください.

 

大学院進学の勧め

研究をする「主戦場」は大学院です.大学院には博士前期課程(=修了すると修士号が取得できる)と博士後期課程(=同,博士号)があります.前期課程は通常,最短2年間,後期課程は3年間です.

学部の4年生で行う卒業研究は,初めて研究活動を行う場で,文献調査の仕方,研究の進め方,考え方,論文の書き方,プレゼンテーションの仕方などを習います.多くの場合,本格的な研究とは異なりますが,いわば,研究の練習です.ここで研究することが面白くなった人は※,是非とも大学院への進学を検討してください.

大学院における研究活動によって身に付く能力は,将来,社会に出たときに大変役立つものです.特にリーダーとして組織の上に立つ人にとっては必須といえる事柄,目標を定め,スケジュールを立て,人を組織してマネジメントし,目標達成のための手段を選び,環境を整え,日夜努力する,といった事柄が出来るようになります.これらは,残念ながら,学部までの講義では身につけることはできません.

ロボット工学研究室では,熱意と冷静な判断力を備えた (Hot & Cool) 大学院生を募集しています.我こそは,と思う学生は是非ともチャレンジしてください.学部の1,2年生でもかまいません.どんどん研究室にやって来て,研究が行われている現場を覗いて話をしていってください.きっと新しい発見があるでしょう.

また,4年次の卒業研究のテーマは,担当する学生が大学院に進学するかどうかにも左右されます.1年間で卒業してしまうのであれば,その期間内にある程度まとまるテーマ,小さくまとまったサブテーマなどである方が良いからです.

その一方で,大学院に進学する学生に与えられるテーマは必然的に,3年間を見据えた,チャレンジングでより大きなテーマになります.もちろん,研究のテーマとしてはこちらの方が断然面白いでしょう.

※しかしながら,昨今は就職活動の早期化により,4年生で研究活動を体験してから進路を決めることが出来なくなってしまいました.このため機械工学科では,2007年度より3年後期にゼミナールを設置して,研究活動の一部を垣間見られるようにします.

 

大学院進学を勧めない理由

上で大学院進学を勧めておいて,ここで勧めない理由を言うとは,妙に感じられるかも知れませんが,物事には必ず良い面,悪い面があるものです.大学院を勧めるだけではフェアではありません.勧めない理由も記しておきましょう.

大学院で研究をすることは,高校や大学の学部まででの講義に出席して勉強し,試験で良い成績を修めることとは全く異なります.研究をすることというのは,誰もやっていない,新しいことをすることです.従ってやり方や答えは教科書には載っていません.答えどころか,問題の定義すら書いてありません.

ですから,学部で良い成績だったからと言って,良い研究が出来るとは限りません.もちろん,成績は良いに超したことはありませんが,過去の経験から,良い研究が出来ることと,それまでの成績が良いこととは必ずしも一致しません.これは能力の問題というよりはむしろ,性格や興味,向き不向きの問題です.

どれだけストイックに研究に打ち込めるかが重要です.ただし,では勉強が出来なくても良いのだ,と安心してはいけません.過去に,学部の成績が悪かったのに,研究室に来て非常によく研究が出来た学生が何人かいました.彼らは,しかし,研究を始めてからその研究を行うために必要な勉強をそれはそれは必死にやっていました.最終的には,勉強が出来なければ良い研究は行えないことは確かです.

研究に向いていない人が,理解不足,知識不足のまま,単なる憧れで大学院に進学すると,これは不幸です.何をして良いのか分からず,焦るばかりで結果がでません.毎日の研究生活も面白くなくなってしまいます.この様な学生が一人でも研究室にいると,研究室全体の雰囲気も悪くなり,周りの人達にも大いに迷惑をかけることになります.

自分の将来のことです.それはすべて,自分に責任があります.これはある種運命共同体である研究室の人や(結果が出なければみんなが困るため),資金を提供してくれる親族に対する責任でもあります.大学院に進学するかどうかは自分の適性をよく考えた上で決めるようにしてください.