アメリカ合衆国の「1998年スレミング禁止法改正法」

(仮訳)

(1998/06/01改訂版)

翻訳:夏井高人


これは,アメリカ合衆国の通信法一部改正法であり,いわゆるインターネット上の電子メールによるスパムに対抗するための世界で最初の立法例である「スレミング禁止法改正法案」[S.1618]を大急ぎで仮訳したものです。誤訳もあるかもしれません。この点,ご注意ください。
この仮訳は,
19985月12日上院通過当時の法案の仮訳です(5月14日に下院に送付された後の法案番号は,[H.R.3888]です。)。なお,この法案のオリジナル・テキストは,

http://thomas.loc.gov/home/c105query.html

でキーワード検索(キーワード:internet slamming)することにより入手することができます。


SECTION 1. SHORT TITLE.

TITLE I--SLAMMING

SEC. 101. IMPROVED PROTECTION FOR CONSUMERS.

Sec. 2328. Slamming

SEC. 102. ADDITIONAL ENFORCEMENT AUTHORITY.

SEC. 103. OBLIGATIONS OF BILLING AGENTS.

SEC. 231. OBLIGATIONS OF TELEPHONE BILLING AGENTS.

SEC. 104. FCC JURISDICTION OVER BILLING SERVICE PROVIDERS.

SEC. 277. JURISDICTION OVER BILLING SERVICE PROVIDERS.

SEC. 105. REPORT; STUDY.

SEC. 106. DISCLOSURE OF CERTAIN RECORDS FOR INVESTIGATIONS OF TELEMARKETING FRAUD.

TITLE II--SWITCHLESS RESELLERS

SEC. 201. REQUIREMENT FOR SURETY BONDS FROM TELECOMMUNICATIONS CARRIERS OPERATING AS SWITCHLESS RESELLERS.

SEC. 232. SURETY BONDS FROM TELECOMMUNICATIONS CARRIERS OPERATING AS SWITCHLESS RESELLERS.

TITLE III--SPAMMING

SEC. 301. REQUIREMENTS RELATING TO TRANSMISSIONS OF UNSOLICITED COMMERCIAL ELECTRONIC MAIL.

SEC. 302. FEDERAL OVERSIGHT OF UNSOLICITED COMMERCIAL ELECTRONIC MAIL.

SEC. 303. ACTIONS BY STATES.

SEC. 304. INTERACTIVE COMPUTER SERVICE PROVIDERS.

SEC. 305. RECEIPT OF TRANSMISSIONS BY PRIVATE PERSONS.

SEC. 306. DEFINITIONS.

TITLE IV--MISCELLANEOUS PROVISIONS

SEC. 401. ENFORCEMENT OF REGULATIONS REGARDING CITIZENS BAND RADIO EQUIPMENT.

SEC. 402. MODIFICATION OF EXCEPTION TO PROHIBITION ON INTERCEPTION OF COMMUNICATIONS.

SEC. 403. CONSUMER TRUTH IN BILLING DISCLOSURE ACT.


105議会第2セッション

S.1618

 

テレ・コミュニケーション・キャリアによる「スレミング(slamming)」に対する消費者保護を増進するために1934年通信法を改正し,その他の目的のための法律

 

SECTION 1. SHORT TITLE. 略 称

この法律は,「スレミング禁止法改正法(Anti-slamming Amendments Act」として引用することができる。

 

TITLE I

SLAMMING スレミング 

 

SEC. 101. IMPROVED PROTECTION FOR CONSUMERS. 消費者保護の増進

(a) 権限の確認 − 1934年通信法の258条(a)項(47 U.S.C. 258)は,次のとおり読み替えて改正される。

(a) 禁 止

(1) 一般規定

テレコミュニケーション・サービスのテレコミュニケーション・キャリアまたはリセラーは,本条及び委員会が設ける確認手続による場合を除き,電話交換サービスもしくは電話送信サービスの提供者についての加入者の選択を変更するように申し込み,または,その変更を実行してはならない。

(2) 確 認

(A) 一般規定 − 本条に基づく電話交換サービスもしくは電話送信サービスの提供者についての加入者の選択を確認するためには,テレコミュニケーション・キャリアまたはリセラーは,少なくとも,

(i) 加入者が,問題となる電話番号に対応するサービスの提供者を選択する権限を有していることを確認し,

(ii) その選択の結果として変更されるサービスのタイプを承認し,

(iii) 加入者が,そのサービスのプロバイダを選択する意志を持っていることを確認し,

(iv) そのプロバイダの選択が,そのサービスのプロバイダの変更を帰結することを承認し,かつ,

(v) 加入者の保護のために委員会が適当と考えるその他の情報を提供し

なければならない。

(B) 追加的な要件 − 加入者によるプロバイダ選択を確認するために委員会によって設けられる手続は,

(i) ネガティブなオプション・マーケティングの利用を排除し,

(ii) 電話交換サービスもしくは電話送信サービスの変更についての,口頭,書面または電子的な形式による確認(verification)の完全なコピーを提供し,

(iii) 委員会が適当と考える方法,形式及び期間,当該確認(verification)を保存することを要求し,

(iv) 変更が求められたときと同じ言語で(in the same language)確認(verification)がなされていることを求め

(v) 要望に応じて,その確認(verification)を加入者が加入者が利用できるようにし

なければならない。

(3) キャリアと無関係のリセラーによる訴訟

テレコミュニケーション・キャリアは,当該キャリアのサービスまたは装置と関係のないリセラーによる本条の違反行為のみを理由としては,本条の違反があるとされることはない。

(4) 保護されるフリーズ・オプション

委員会は,加入者から加入者の現在の電話交換サービス・プロバイダに対する明示かつ直接の連絡がない限り相互交換サービスのプロバイダについての加入者の選択の変更が有効とはならないことを要求するための,加入者の能力を制限または禁止するために,本条に基づく訴訟をすることはできない。

(5) 無線への適用

本条は,商業モバイル・サービス(commercial mobile service)のプロバイダに対しては適用しない。

(b) 課金に対する責任

258条の(b)項は,次のとおり改正される。

(1) 「(b) 課金による責任 − テレコミュニケーション・キャリア」を削除し,次のとおり挿入する。

「(b) 課金による責任

(1) 一般規定 − テレコミュニケーション・サービスのテレコミュニケーション・キャリアまたはリセラー」

(2) 第2文を(3)項と変更し,その変更された項の最初に次のとおり挿入する。

「(3) 民事救済の解釈」

(3) そして,本項(1)号による変更後の(1)項に次のとおり挿入する。

「(2) 加入者支払オプション

(A) 一般規定

本条の規定もしくは(a)項に示す手続に違反して電話交換サービスまたは電話送信サービスの変更をされた加入者は,変更後のサービスについて,加入者から変更後のキャリアもしくはリセラーに対して支払うべき金額を完全に満足するように,加入者が変更前に選択したキャリアもしくはリセラーに支払うことを選ぶことができる。

(B) 支払レート

(A)に基づくサービスに対する支払いは,加入者によって変更前に選択されたキャリアまたはリセラーによって,サービスに対して課金されるレートでなければならない。

(c) 不服の解決 − 1934年通信法の258条(47 U.S.C. 258)は,その末尾に,次のとおり追加して改正される。

「(c) 加入者に対する通知

加入者が選択している電話交換サービスまたは電話送信サービスの変更があったときはいつでも,選択されているテレコミュニケーション・キャリアまたはリセラーは,テレコミュニケーション・キャリアまたはリセラーによって変更が処理されてから15日以内に,加入者に対し,

(1) 加入者の新たなキャリアまたはリセラー,及び

(2)  加入者が,その変更が同意された日付及びその変更を許可した者の氏名に関連する情報を要求することができること

を特定して明瞭に記載した通知をしなければならない。

(d) 苦情の解決

(1) 事前の解決策

(A) 一般規定

委員会は,加入者から加入者が選択している電話交換サービスまたは電話送信サービスのプロバイダの無権限変更に関する苦情を,テレコミュニケーション・キャリアまたはレセラーが加入者から苦情の通知を受けた日から120日以内に解決するように,テレコミュニケーション・キャリアまたはレセラーに対して,期間を指定することができる。加入者は,いつでも,州または地方自治体の行政機関もしくは司法機関のいずれかにおいて,委員会への苦情申立をすることができる。

(B) 解決できない苦情

もし,テレコミュニケーション・キャリアまたはリセラーが委員会から指定された期間内に苦情を解決するのに失敗したときは,その期間の最終日から10日以内に,そのテレコミュニケーション・キャリアまたはリセラーは,

(i) 加入者の委員会に対する苦情申立権及び本条に基づく加入者の権利及び民事救済を,書面で,加入者に通史をし,

(ii) その苦情申立につき委員会によって定められた手続を,書面で,加入者に知らせ,かつ,

(iii) 加入者の電話交換サービスまたは電話送信サービスのプロバイダが,(a)項に示された確認手続に従って申し込まれ,または,実行されたことを証明する証拠で,キャリアまたはリセラーが所持するもののコピーを,加入者に提供し

なければならない。

(2) 委員会による解決

(A) 違反の判定

委員会は,(1)号(B)に基づく苦情を解決するために,単純化された手続を提供しなければならない。単純化された手続は,尋問,供託,証拠開示,その他の手続に含まれる費用,形式性及び時間をだらだらと増加させてしまうような訴訟技術を排除しなければならない。委員会は,(a)項違反があったかどうかを判断し,可及的速やかに,遅くとも苦情受理の日から150日以内に,決定または命令を出さなければならない。

(B) 損害及び罰則に関する判断

(a)項違反があったと委員会が判断するときは,委員会は,可及的速やかに,遅くとも(A)に基づく決定または命令が出された日から90日以内に,損害の額及び処罰を定める決定または命令を出さなければならない。

(3) 委員会による損害賠償命令

委員会が(a)項の違反を発見したときは,委員会は,各違反行為につき,500ドルまたは現実の損害額のうち大きい額の損害賠償を命ずる。委員会は,この命令において,上記により可能な額の3倍を超えない範囲の額まで支払額を増加することができる。」

(e) 資格剥奪及び復権 Disqualification and Reinstatement-

(1) 有罪判決による特定の資格剥奪

(A) 自然人の資格剥奪

(C)に従うことを条件として,合衆国法典タイトル18の2328条に基づき有罪判決を受けた自然人は,同条に基づく罰金もしくは拘禁刑に加えて,214条によってカバーされる活動を実施することができない。

(B) 法人の資格剥奪

(C)に従うことを条件として,合衆国法典タイトル18の2328条に基づき有罪判決を受けた自然人によって実質的に支配されている法人は,同条に基づく罰金もしくは拘禁刑に加えて,214条によってカバーされる活動を実施することができない。

(C) 復 権

(i) 一般規定

委員会は,終了させることが公共の利益に適うと委員会が判断するときは,自然人に対する(A)の適用,法人に対する(B)の適用を終了させることができる。

(ii) 発効日

(i)に基づく自然人に対する(A)の適用の終了または法人に対する(B)の適用の終了は,関係する自然人もしくは法人に対する適用の日から5年以内は,その効力を発生させることができない。

(2)  証明の要求

(1)号(A)に示されている自然人または同号(B)に示されている法人であって,同号(C)の復権を受けていない者は,214条に基づく委員会への適用については,その自然人もしくは法人がそれぞれ(1)号(A)もしくは(B)に示される者であるということの証明を含むものでなければならない。

(f) 民事罰

(1) 一般規定

委員会が緩和すべき環境にあると判断しない限り,(a)項の違反は,初犯については40,000ドル以下の過料によって,累犯については150,000ドル以下の過料によって処罰される。

(2) (a)項違反として扱われる通知の失敗

テレコミュニケーション・キャリアまたはリセラーが(d)項(1)号(B)の要件の充足に失敗したときは,その失敗は,(a)項の違反として扱われなければならない。

(g) 徴 収 − 委員会は,

(1) 本条に基づき課された罰金を徴収するため,そして,

(2) 加入者の代わりに,本条に基づき加入者に支払われるべき損害額を徴収するため

必要な訴訟を提起することができる。

(h) 変更は選択の開始を含む

本条においては,テレコミュニケーション・キャリアまたはリセラーから加入者へのサービスの開始行為は,電話交換サービスもしくは電話送信サービスのプロバイダについての加入者の選択による変更として扱われなければならない。

(d) 刑 罰

(1) 一般規定 − 合衆国法典タイトル18の113A章は,その末尾に次のとおり追加して改正される。

Sec. 2328. Slamming スレミング

1934年通信法258条(47 U.S.C. 258)または同法258条(a)項に基づく手続に故意に違反して,加入者が許可していないのに,電話交換サービスもしくは電話送信サービスのプロバイダの交換を申し込み,または,これを実行した者は,

(A) 本タイトルに定める罰金もしくは1年以下の拘禁刑,または,その両方の刑に処するが,

(B) 違反行為の時点の前に本法によって処罰されている場合には,当該再犯である違反行為につき,本タイトルに定める罰金もしくは5年以下の拘禁刑,または,その両方の刑に処する。」

(2) 形式的改正

合衆国法典タイトル18の113A章の章目録は,その末尾に次のとおり追加して改正される。

「2328. Slamming」

(e) 州の訴訟権限 − (c)項による改正後の1934年通信法の258条(47 U.S.C. 258)は,その末尾に,次のとおり追加して改正される。

(i) 州による訴訟

(1) 一般規定 − 州の司法長官,または,州によって指定された公務員もしくは代理人は,

(A) 州民に代わって,(d)項(3)号に基づく州民の損害を回復するために,民事訴訟を提起することができる。

(B) 合衆国法典(United States Code)タイトル18の2328条に基づき,本条を執行するための公訴を提起することができる。そして,

(C) (f)項に基づく民事罰を請求するための民事訴訟を提起することができ,この民事訴訟においては,(d)項(3)号及び(f)項(1)号は,「裁判所」の代わりに「委員会」によって適用されなければならない。

(2) 連邦裁判所の専属的裁判管轄権

合衆国の地方裁判所,領土内の合衆国裁判所及びコロンビア特別区合衆国地方裁判所は,本条に基づいて提起されるすべての訴訟について専属的な裁判管轄権を有する。本条に基づいて州が訴訟を提起するときは,その訴訟が提起される裁判所は,その州の法に基づいてなされる苦情について,未決裁判管轄権(pendant jurisdiction)を有する。上記の管轄権の適用に基づき,当該裁判所は,被告が当該違反の危険を除去するのに必要な行為をすることの要求を含め,本条の規定もしくは本条に基づいて設けられる規則の規定従うように被告に対して命ずる職務執行命令(writs of mandamus)その他の救済命令類似の命令を発付するための裁判管轄権を有する。適切な証明があったときは,永久的もしくは一時的な差止命令または禁止命令は,担保なしで発付されなければならない。

(3) 委員会の権利

事前通知を利用できない場合を除き(この場合,州は,訴訟の提起後直ちにその通知を送付しなければならない。),州は,委員会に対し,民事訴訟についての書面による事前通知を送付し,かつ,苦情申立書のコピーを委員会に提供しなければならない。委員会は,

(A) 訴訟に参加し,

(B) その訴訟参加に基づき,そこで起きるすべての事柄について弁論をし,そして,

(C) 判決に控訴するための

権利を有する。

(4) 裁判管轄;訴訟の提起

本項に基づき合衆国地方裁判所に提起される民事訴訟は,加入者もしくは被告を見出すことができ,その住所があり,または,その業務を行っている地に対応する裁判管轄地区,違反行為がなされ,または,なされつつある地に対応する裁判管轄地区において提起することができ,かつ,当該事件の訴訟手続は,被告が住所を有する地または被告を見出すことができる地に対応する裁判管轄地区において受けることができる。

(5) 調査権限

本稿に基づく民事訴訟の提起においては,本条の規定は,調査活動をし,宣誓を助け,証人の添付,書証の作成その他の証拠を強制することに関し,州の法律によって州の司法長官もしくはその公務員に認められている権限を,州の司法長官または州によって指定された公務員もしくは代理人が行使することを妨げるものではない。

(j) 影響を受けない州法

(1) 一般規定

本条の規定または本条に基づいて設けられる規則の規定は,加入者が選択している電話交換サービスもしくは電話送信サービスのプロバイダの変更について,本条において課されている以上に厳しい要件,規則,損害,訴訟費用,または,罰則を課す州法を排除するものではない。

(2) 州裁判所への訴訟提起に対する影響

本条に含まれるいかなる規定といえども,州の一般民事法及び刑事法の違反,または,本条によって排除されていない州の特別民事法及び特別刑事法の違反を理由として州裁判所に訴訟を提起することについて,州政府の権限を禁止するものと解釈されてはならない。

(3) 制 限

本条で示されている規則違反を含む苦情申立が委員会に係属している場合においては,州は,当該苦情申立が係属中は,その苦情を申し立てている加入者に影響を及ぼす違反行為の苦情の相手方となっている当事者を被告として,民事訴訟を提起することができない。

(k) 苦情の報告

(1) 報告の必要

テレコミュニケーション・キャリアまたはリセラーは,年4回,加入者からキャリアまたはリセラーに申し込まれた電話交換サービスもしくは電話送信サービスのプロバイダの無権限変更に関する苦情の数について,報告書を提出しなければならない。各報告書には,苦情のあったプロバイダ及び当該プロバイダに関連する苦情の数を特定して記載しなければならない。

(2) 範囲の制限

委員会は,(1)号に基づく報告書中の情報として,同号の第2文で指定される情報以外のものを要求することができない。

(3) 利 用

委員会は,電話交換サービスもしくは電話送信サービスのプロバイダの無権限変更のパターン及び業務に従事するテレコミュニケーション・キャリアまたはリセラーを解くって意するために(1)号に基づく報告書中で提供される情報を利用しなければならない。

(l) 定 義 − 本条においては,

(1) 司法長官

司法長官(attorney general」とは,州の司法長官を意味する。

(2) 加入者

加入者(subscriber」という用語は,広告文もしくは請求書上に氏名の記載がある者,または,電話交換サービスもしくは電話送信サービスのプロバイダ変更の権限を有する者を意味する。

(f) 無権限で電話サービスの変更を実行するキャリアに関する報告

(1) 報告書

遅くとも1998年10月31日までに,連邦通信委員会(the Federal Communications Commission)は,議会に対し,電話交換サービスまたは電話送信サービスのプロバイダに関する加入者の選択の無権限変更に関する報告書を提出しなければならない。

(2) 要 件

報告書は,次のものを含めなければならない。

(A) 報告書の日付前1年間に,加入者が選択する電話交換サービスまたは電話送信サービスのプロバイダの無権限変更を行ったとの苦情があった数が最も多い順に,そのキャリアまたはリセラーが有する加入者の数と比較して,上位10のテレコミュニケーション・キャリアまたはリセラーのリスト

(B) 個々の罰金の額及びその罰金が裁判所の判断もしくは委員会の命令により課されたものであるか,または,該当法令が遵守されたかを含め,同期間内に,((d)項による追加後の)1934年通信法の258条(f)項に基づく罰金を課せられたテレコミュニケーション・キャリアまたはリセラー

SEC. 102. ADDITIONAL ENFORCEMENT AUTHORITY. 追加的な執行権限

1934年通信法504条(47 U.S.C. 504)は,その末尾に「上記罰則にかかわらず,258条(a)項違反により科された罰金を支払わない者は,その者の214条または312条に基づくオペレーション権限の取消,拒否または制限の根拠とすることができる。」を追加して改正される。

SEC. 103. OBLIGATIONS OF BILLING AGENTS. 広告代理人の義務

(a) 一般規定

1934年通信法タイトルIIのパートI(47 U.S.C. 201 et seq)は,その末尾に次のとおり追加して改正される。

SEC. 231. OBLIGATIONS OF TELEPHONE BILLING AGENTS. 電話広告代理人の義務

(a) 一般規定 − テレコミュニケーション・キャリアもしくはリセラーを含む広告代理人で,加入者に対し,電話交換サービスまたは電話送信サービスのための広告をする者は,

(1) その広告上に,

(A) 加入者の電話交換サービス及び電話送信サービスのテレコミュニケーション・キャリアもしくはリセラーの氏名及びフリー電話の番号

(B) 上記キャリアまたはリセラーの同一性,及び,

(C) 広告期間中の各キャリアもしくはリセラーによるテレコミュニケーションの提供に対する課金(charges

を表示し,

(2) (1)号に示す以外のサービスについては,異なるページ上に

(A) 加入者宛広告上にその課金が反映されている会社の名称

(B) 会社によって加入者が課金されるサービス

(C) 広告期間中の会社によるサービス提供に対する課金

(D) 会社による課金について加入者が異議を申し立てるためのフリー電話の番号,及び

(E) 会社による課金に対する異議によっては,電話交換サービスもしくは電話送信サービスが解約されることはないこと

を表示し,そして,

(3) テレコミュニケーション・キャリアもしくはリセラーのメール・アドレスまたはその課金が広告上に反映される会社のメール・アドレスを示さなければならない。

(b) 故意による無権限課金または不正課金の禁止

加入者が課金を認めていないこと,その他課金が不正であることを広告代理人が知り,または,そのことを知るべきであったときは,広告代理人は,加入者に対するテレコミュニケーション・サービスその他のサービスについて課金を申し込むことができない。」

(b) 発効日

(a)項によりなされた改正は,本法の成立の日から60日以降に加入者に対して送信されたテレコミュニケーション・サービスのための加入者に対する広告について適用する。

SEC. 104. FCC JURISDICTION OVER BILLING SERVICE PROVIDERS.

1934年通信法タイトルIIのパートIIIは,その末尾に次のとおり追加して改正される。

SEC. 277. JURISDICTION OVER BILLING SERVICE PROVIDERS. 広告サービス・プロバイダの裁判管轄

委員会は,当該組織がテレコミュニケーション・サービスの提供の規定のために,もしくは,テレコミュニケーション・サービスのための加入者の電話番号上に現れているテレコミュニケーション・サービス以外のサービスのために広告サービスを提供するものである限りにおいて,テレコミュニケーション・キャリアもしくはリセラーではない組織に対する本法のタイトルVに基づくすべての処罰を見直しまたは回復するための裁判管轄権を有する。しかし,委員会は,当該組織が故意に本法またはその他の委員会規則もしくは委員会命令の規定に違反したときに限り,その処罰を見直しまたは回復することができる。」

SEC. 105. REPORT; STUDY. 報告;調査

(a) 一般規定

連邦通信委員会(The Federal Communications Commission)は,本法の成立後180日以内に,加入者の電話交換サービスもしくは電話送信サービスのプロバイダを変更するために,テレコミュニケーション・キャリアもしくはリセラーまたはその代理人もしくは従業員によって用いられるテレ・マーケティングその他の請求業務について,調査し,報告しなければならない。

(b) 特定の調査

(a)項に基づく報告の一部分として,委員会は,

(1) 電話交換サービスまたは電話送信サービスのプロバイダについての加入者の選択を許可なく変更したテレマーケティング業者に対してなされる罰則の範囲 

(2) サード・パーティに対して,加入者の選択する当該プロバイダの変更を確認すること,及び,指示された相互交換キャリアの変更について独立したサード・パーティが管理することを要求するための規則の必要性;及び

(3) 1934年通信法258条(47 U.S.C. 258)により課されている義務の免除を継続すべきワイヤレス・キャリアかどうか

に関する検討結果を含まなければならない。

(c) 規則の制定

もし委員会が特定のテレ・マーケティングその他の請求業務が加入者を誤らせ(mislead),欺き(deceive),もしくは,混乱(confuse)させる意図で利用されていると判断し,または,加入者を誤らせ,欺き,もしくは,混乱させるのと同然であると判断するときは,委員会は,その報告書の完成後120日以内に,当該業務の利用を禁止するための規則の制定を開始しなければならない。

SEC. 106. DISCLOSURE OF CERTAIN RECORDS FOR INVESTIGATIONS OF TELEMARKETING FRAUD.

合衆国法典タイトル18の2703条(c)項(1)号(B)は,次のとおり改正される。

(1) (ii)の末尾の「または」を削除する。

(2) (iii)の末尾のピリオドを削除し,「または」を挿入する。

(3) 末尾に次のとおり追加する。

(iv) 加入者もしくは顧客が(本タイトルの2325条の用語としての)テレ・マーケティングにかかわっている場合における当該プロバイダの加入者もしくは顧客の氏名,住所及び業務地についてのテレマーケティング詐欺(telemarketing fraud)に関する調査を要求する法律に適合する一定の書面による請求をする

 

TITLE II

SWITCHLESS RESELLERS スイッチレス・リセラー

 

SEC. 201. REQUIREMENT FOR SURETY BONDS FROM TELECOMMUNICATIONS CARRIERS OPERATING AS SWITCHLESS RESELLERS.

本法103条による改正後の1934年通信法タイトルIIのパートI(47 U.S.C. 201 et seq)は,その末尾に次のとおり追加して改正される。

SEC. 232. SURETY BONDS FROM TELECOMMUNICATIONS CARRIERS OPERATING AS SWITCHLESS RESELLERS. スイッチレス・リセラーとしてのテレコミュニケーション・キャリアの営業による保証金

(a) 要 件

委員会が制定すべき規則に基づき,スイッチレス・リセラーとして営業し,または,そのような営業をしようとするテレコミュニケーション・キャリアは,委員会に対し,本条の目的が十分に達成すべく委員会が決定する形式及び額の保証を提供しなければならない。

(b) 保 証

本条により提供されるべき保証は,合衆国法典(United States Code)タイトル31の9304条に規定する要件に適合する保証会社によって発行されなければならない。

(c) 保証金支払請求

本条により提供されるべき保証は,以下の支払を可能とするものでなければならない。

(1) スイッチレス・リセラーとしての業務関連して,(加入者の選択するテレコミュニケーション・キャリアの無権限変更に関する)258条の規定違反の結果としてキャリアに科せられる罰金または刑罰

(2) 本条に基づきキャリアに対して課せられる罰則

(3) 本法に基づきキャリアに対して科せられる罰金を含むその他の罰金または刑罰

(d) 所在代理人

合衆国内に住所を有しないスイッチレス・リセラーとして業務を行うテレコミュニケーション・キャリアは,召喚状(subpoenas)の送達を含む司法手続または行政手続き上の送達を合衆国内において受けるための所在代理人を指定しなければならない。

(e) 罰 則

(1) 権利の停止

委員会は,

(A) (a)項により求められる保証の提供をしないこと,または,これを維持しないこと,

(B) (d)項により要求される代理人を指定しないこと,または,

(C) スイッチレス・リセラーとして活動中に258条に違反したこと

を理由として,テレコミュニケーション・キャリアがスイッチレス・リセラーとして活動する権利を停止することができる。

(2) 追加的な罰則

(1)号に基づく権利の停止に加えて,本条に基づく保証の提供またはその維持をしないでスイッチレス・リセラーとして活動しているテレコミュニケーション・キャリアは,503条または504条に基づく罰金を科せられる。

(f) 無保証のスイッチレス・リセラーのためのサービス開始

(1) 禁 止

いかなるコモン・キャリアもしくは広告代理人といえども,

(A) (a)項によりなされるべき保証を提供し,かつ,

(B) 合衆国に住所地を有しないスイッチレス・リセラーの場合には,(d)項に基づき代理人に指示をした

スイッチレス・リセラーでない限り,スイッチレス・リセラーにより提供されるサービスのために広告サービスを提供してはならない。

(2) 罰 則

(A) 罰 則

(1)号の規定に違反するスイッチレス・リセラーに対し,故意に,広告サービスを提供したコモン・キャリアまたは広告代理人は,民事罰として,合衆国に対し,50,000ドル以下を支払う義務を負わなければならない。

(B) 適用可能性

(A)においては,(1)項に違反する特定のリセラーに対するサービス提供は,同号とは別の違反を構成する。

(3) 罰則を課し徴収するための委員会の権限

委員会は,(1)の違反についての委員会の判断に基づいて本号によりなされる罰則を課し,これを徴収する権限を有する。

(g) 保証の返還

(1) 調 査

(A) 一般規定

委員会は,本条に基づく保証を維持すべきかどうかを決定するために,本条に基づいて保証を提供したテレコミュニケーション・キャリアの活動を適時(from time to time)調査することができる。

(B) 調査基準

委員会は,本号に基づく活動調査について適用すべき基準を策定しなければならない。

(C) 調査の開始

委員会は,キャリアが本条に関連する保証を提供した日から3年を経過する日までは,(A)に基づいてキャリアに対する調査を開始することができない。

(2) 返 還

委員会は,本項に基づく調査結果に従い,保証を返還することができる。

(h) 定 義

本条においては,

(1) 広告代理人

広告代理人(billing agent」という用語は,テレコミュニケーション・キャリアによって提供されるサービスのために広告サービスを提供する(テレコミュニケーション・キャリア以外の)者であって,テレコミュニケーション・サービスの加入宛広告の上に当該サービスが表示されている場合を意味する。

(2) スイッチレス・リセラー

スイッチレス・リセラー(switchless reseller」という用語は,その所有権もしくは管理権に基づく装置のスイッチングを利用することなしに,他のテレコミュニケーション・キャリアの付け替えられた(switched)テレコミュニケーション・サービスを再販する者を意味する。

(i) 影響を受けない関税免除権限

本条の規定は,非関税化を許容することが公共の利益,便宜及び必要を与えるものであると委員会が判断する場合において,長距離電話会社の非関税化の許容のための規則を委員会が採択することを禁じようとするものではない。

 

TITLE III

SPAMMING スパミング

 

SEC. 301. REQUIREMENTS RELATING TO TRANSMISSIONS OF UNSOLICITED COMMERCIAL ELECTRONIC MAIL. 頼みもしない商業電子メールの送信に関する要件

(a) 送信に含まれるべき情報

(1) 一般規定

頼みもしない商業電子メール・メッセージ(an unsolicited commercial electronic mail message)を送信する者は,その電子メール・メッセージの中に,(2)号に示す情報を表示しなければならない。

(2) カバーされる情報

頼みもしない商業電子メール・メッセージの本文の冒頭に,次の情報を表示しなければならない。

(A) メッセージの送信をする者の氏名,現実の住所,電子メール・アドレス,電話番号

(B) メッセージの内容を作成した者が(A)の者と異なるときは,作成者の氏名,現実の住所,電子メール・アドレス,電話番号

(C) サブジェクト欄(subject line)に「削除せよ(remove)」という言葉を書いて,最初のメール・アドレス宛に返信を送信することによって,頼みもしない商業電子メール・メッセージを送信した者から受信者へのそれ以降のメッセージ配信を,無償で終了させることができる。

(b) ルーティング情報

(a)項に示す電子メール・メッセージの範囲内に含まれ,または,これに付随するすべてのインターネット・ルーティング情報(Internet routing information)は,インターネット上のプロトコルとして通用している基準に厳格に従って正確でなければならず,かつ,メッセージのルーティングを正確に反映するものでなければならない。

(c) 発効日

本条の要件は,本法の成立の日から30日後に発効する。

SEC. 302. FEDERAL OVERSIGHT OF UNSOLICITED COMMERCIAL ELECTRONIC MAIL. 頼みもしない電子メールに対する連邦の監督

(a) 送信(transmission

(1) 一般規定

301条または305条の規定に違反する電子メールの受領者からの連絡に基づき,委員会は,

(A) 当該電子メールが当該条項に違反するものであるかどうかを判断するための調査活動をすることができ,

(B) もし,委員会が,当該メールは当該条項に違反するものであると判断するときは,

(i) 送信者に対し,15,000ドル以下の過料(a civil fine)を課すことができ,

(ii) 連邦地方裁判所において,送信をしている者を相手方として,15,000ドル以下の民事罰(a civil penalty)の支払を求める民事訴訟を提起することができ,

(iii) 連邦地方裁判所において,差止命令の発付を求める民事訴訟を提起することができ,または,

(iv) (i),(ii)及び(iii)に規定する権限を組み合わせて執行することができる。

(2) 提訴期間

委員会は,送信の日から2年以上を経過した電子メールの送信に関しては,(1)号(B)に基づく訴訟を提起することができない。

(b) 施策(administration

(1) 電子的手段による告知

委員会は,(a)項に基づく連絡を受領する電子メール・アドレスを持つインターネットWebサイトを開設しなければならない。

(2) 執行に関する情報

委員会は,(1)号に基づいて開設するインターネットWebサイトを介して,(a)項(1)号(B)に基づく訴訟に関する情報を提供することができる。

(3) 連邦の他の機関の補佐

連邦の他の機関(Other Federal agencies)は,本条に基づく義務の遂行について,委員会を補佐することができる。

SEC. 303. ACTIONS BY STATES. 州による訴訟

(a) 一般規定

州の司法長官が,301条または305条の規定に違反する電子メール送信のパターンもしくは業務(practice)に従事していることによって,州民の利益が侵害され,もしくは,重大な影響を受けていると信ずべき根拠を有するときは,州は,州の父として(as parens patriae),当該送信を受けた住民に代わって民事訴訟を提起し,当該条項に従うべきことを強制し,州民の代わりに損害賠償その他の弁償を受け,裁判所が適当だと考えるその他の救済を受けることができる。

(b) 委員会に対する通知

(1) 通 知

州が事前通知をすることができない場合を除き,州は,委員会に対し,本条に基づく訴訟についての書面による事前通知をし,また,委員会に対し,申立書のコピーを提供しなければならず,事前通知ができないときは,州は,訴訟提起後直ちに書面による通知をしなければならない。

(2) 委員会の権限

(1)号に基づく民事訴訟の通知の受領したときは,委員会は,

(A) 訴訟に参加し,

(B) 訴訟参加に基づき,そこで起きる出来事すべての事柄について弁論をし,そして,

(C) 判決に控訴するための

権限を有する。

(c) 委員会による訴訟

301条もしくは305条の規定違反を理由とする民事訴訟が委員会によって提起され,または,委員会の代わりに提起されたときは,州は,当該訴訟が係属中は,当該規定違反を理由とする訴訟において,申立書中で被告として記載されている者を相手方とする本条に基づく民事訴訟を提起することはできない。

(d) 解 釈

(a)項に基づく民事訴訟の提起においては,本条の規定は,調査活動をし,宣誓を助け,証人の添付,書証の作成その他の証拠を強制することに関し,州法によって司法長官に認められている権限を司法長官が行使することを妨げるものではない。

(e) 裁判管轄:訴訟の提起

(a)項に基づき合衆国地方裁判所に提起する民事訴訟は,被告を見出し得る地もしくは双方向コンピュータ・サービス・プロバイダの住所,居所もしくは業務地,または,合衆国法典(United States Code)タイトル28の1391条に基づいて認められる裁判管轄に対応する裁判管轄地区(district)において提起することができる。当該訴訟手続は,被告が居住し,または,被告を見出し得る地に対応する裁判管轄地区(district)において開始することができる。

(f) 州の他の期間による訴訟

本条の規定は,州の権限を有する機関に対し,関連する州の民事法規または刑罰法規の侵害を理由として州裁判所で訴訟手続をすることを禁止するものとして解釈してはならない。

(g) 定 義

本条においては,

(1) 司法長官

司法長官(attorney general」という用語は,州の司法長官(the chief legal officer of a State)を意味する。

(2) 州

州(State」という用語は,合衆国の州,コロンビア区,プエルト・リコ,グアム,北マリアナ諸島,マーシャル諸島,ミクロネシア連邦,パラオ及び合衆国の地位を意味する。

SEC. 304. INTERACTIVE COMPUTER SERVICE PROVIDERS. 双方向コンピュータ・サービス・プロバイダ

(a) 特定の送信の適用除外

(1) 適用除外

301条または305条は,

(A) 送信を行うプロバイダ,または,

(B) 送信が自分の顧客に対してなされたのではない場合

以外は,双方向コンピュータ・サービス・プロバイダによる電子メールの送信については適用しない。

(2) 解 釈

本条の規定は,双方向コンピュータ・サービス・プロバイダに対し,電子メール・メッセージの送信その他の配付を要求するものと解釈してはならない。

(b) 双方向コンピュータ・サービス・プロバイダによる訴訟

(1) 一般規定

他の法律に基づいて利用可能な救済手段に加えて,301条もしくは305条の違反によって重大な影響を受けた双方向コンピュータ・サービス・プロバイダは,違反行為を発見した時から1年以内に,当該規定の違反行為をした者を相手方として,合衆国地方裁判所に民事訴訟を提起することができる。この訴訟は,違反行為の禁止を求め,これらの規定の遵守を強制し,損害賠償の支払を求め,裁判所が適切と考えるその他の救済を求めるために提起することができる。

(2) 損害賠償額

(A) 一般規定

本項に基づく(1)項に示す違反を理由とする訴訟における損害額は,1回の違反行為毎に15,000ドルを超えてはならない。

(B) 他の損害賠償との関係

本項に基づく違反を理由とする損害賠償には,他の法律に基づく違反を理由とする損害賠償を追加することができる。

(C) 訴訟費用及び弁護士費用

裁判所は,(1)号に基づいて提起された訴訟における最終判断をする場合において,勝訴当事者のために,訴訟費用,訴訟サービスを入手するための合理的な範囲内の費用,合理的な範囲内の弁護士費用及び専門家証人の報酬の支払を命ずることができる。

(3) 裁判管轄:訴訟の提起

(1)号に基づき合衆国地方裁判所に提起する民事訴訟は,被告もしくは双方向コンピュータ・サービス・プロバイダの住所,居所もしくは業務地,または,合衆国法典(United States Code)タイトル28の1391条に基づいて認められる裁判管轄に対応する裁判管轄地区(district)において提起することができる。当該訴訟手続は,被告が居住し,または,被告を見出し得る地に対応する裁判管轄地区(district)において開始することができる。

(c) 定 義

本条においては,「双方向コンピュータ・サービス・プロバイダ(interactive computer service provider」という用語は,1934年通信法230条(e)項(2)号における「双方向コンピュータ・サービス(interactive computer service)」という用語に与えられているのと同じ意味を持つ。

SEC. 305. RECEIPT OF TRANSMISSIONS BY PRIVATE PERSONS. 私人による送信の受領

(a) 送信の終了

以後の商業電子メールの送信の終了を要求する電子メールを第三者から受信した者は,その要求をする者に対する以後のメールの送信を終了しなければならない。

(b) 送信を是認する権限

(1) 一般規定

(2)号に従うことを条件として,私人は,他の者に対し,頼みもしない商業電子メールを自分に送信する権限を与えることができる。

(2) 終了の可能性

(1)号のに基づく電子メール送信をする者は,同号に基づく送信の権限を与えた者に対する当該メールの各送信毎に,301条(a)項(2)号(C)に示す情報を入れて送信しなければならない。

(c)  送信に関する権限の解釈

(1) 一般規定

(2)号及び(3)号に従うことを条件として,頼みもしない商業電子メールの送信中の申し込みについて,財貨もしくはサービスを保障し,または,その他の電子的な応答をする者は,送信をする者からの頼みもしない電子メールの送信をすることの権限を受けた者であると推定する。

(2) 終了要求は権限を授与しない

(a)項に基づいて以後の電子メールの送信の終了を要求する電子メールは,本項に基づく以後の電子メールの送信の権限を授与するものであると解釈してはならない。

(3) 終了可能性

(1)号に基づく電子メールの送信をする者は,同号に基づく送信の権限を与えた者に対する当該メールの各送信毎に,301条(a)項(2)号(C)に示す情報を入れて送信しなければならない。

(d) 送信終了要求に関する規定の発効日

(a)項,(b)項(2)号及び(c)項(3)号は,本法の成立の日から30日後に発効する。

SEC. 306. DEFINITIONS. 定 義

本タイトルにおいては,

(1) 商業電子メール

商業電子メール(commercial electronic mail」 という用語は,

(A) 製品またはサービスの販売のための宣伝(advertisement)を含み,

(B) 電話番号の利用,製品もしくはサービスの販売または宣伝をする者もしくはそのサービスとユーザとを結びつけるものの利用の勧誘(solicitation)を含み,あるいは,

(C) (A)に示す宣伝または(B)に示す勧誘を含む1以上のインターネット・サイトのリストの使用を勧め,または,それを含む

すべての電子メールを意味する。

(2) 委員会

委員会(Commission」という用語は,連邦取引委員会(the Federal Trade Commission)を意味する。

(3) 電子メールのメッセージの場合における「送信を始める(initiate the transmission」とは,電子メールのメッセージを創ること(originate)を意味するが,介在する双方向コンピュータサービスのプロバイダが301条もしくは305条に違反して電子メールを故意に再送するのでなければ,電子メールのメッセージの中継(relay),処理(handle)その他の再送(retransmit)のために用いられたかもしれないような設備を持つ双方向コンピュータ・サービスを包含するものではない。

 

TITLE IV

MISCELLANEOUS PROVISIONS

 

SEC. 401. ENFORCEMENT OF REGULATIONS REGARDING CITIZENS BAND RADIO EQUIPMENT. 市民バンド・ラジオ装置に関する執行及び規則

1934年通信法の302条は,その末尾に次のとおり追加して改正される。

「(f)

(1) (2)に規定する場合を除き,州または地方自治体は,本条に基づく委員会の次の各規則を執行することができる。

(A) 委員会によって認可されていない市民バンド・ラジオ装置の使用を禁止する規則

(B) 24MHzから35MHzまでの間の周波数による市民バンド・ラジオ装置の無権限操作を禁止する規則

(2) ラジオ局の開局ライセンスの発行のための301条に従って委員会によって発行された開局ライセンスがあっても,本項に基づいて州もしくは地方自治体政府が訴訟を提起することが妨げられてはならない。

(3) 委員会は,(1)号に示される規則の違反の発見及び判定に関して,州及び地方自治体に対する技術的ガイドラインを提供しなければならない。

(4)

(A) 法律によって認められる他の民事救済に加え,(1)号に基づく規則を執行する州政府または地方自治体の決定によって影響を受けた者は,委員会に対し,州政府または地方自治体が本項で授与された権限外の行為をしているかもしれないということを理由にして,不服の申立をすることができる。

(B) 州政府または地方自治体の決定に対して委員会への不服申立をする者は,州政府または地方自治体の決定がなされた日から30日以内に不服申立をしなければならない。

(C) 委員会は,(B)に基づいて受理した不服申立について,その受理から180日以内に決定をしなければならない。

(D) (C)に基づき,州政府または地方自治体が規則の執行についてその権限外の行為をしていると判断するときは,委員会は,規則の執行を取り消す決定をしなければならない。

(5) (1)号に基づき州または地方自治体によって特定の事件に関してなされる規則の執行は,その事件について委員会が並行的に執行権限を有することを排除しない。

(6) 本項の規定は,ラジオ通信に干渉する能力をもった装置に対する本条に基づく委員会の裁判管轄権を減少させ,または,これに影響を与えるものとして解釈されてはならない。」

SEC. 402. MODIFICATION OF EXCEPTION TO PROHIBITION ON INTERCEPTION OF COMMUNICATIONS. 通信傍受禁止の例外の修正

(a) 修 正

合衆国法典(United States Code)タイトル18の2511条は,その末尾に次のとおり追加して改正される。

「上記規定にかかわらず,本章においっては,健康保険者もしくは健康プランと当該保険者もしくはプランの加入者との間,または,健康ケア・プロバイダと患者との間の電話,口頭もしくは電子的なコミュニケーションを傍受することは,コミュニケーションの当事者全員が当該傍受について事前かつ明示の同意をするのでない限り,法の本質に基づいて行動しない者として違法である。上記規定においては,「健康保険者(health care provider」とは,という用語は,1974年退職者収入確保法(the Employee Retirement Income Security Act of 1974 (29 U.S.C. 1191b))の733条の用語として与えられている意味を有し,「健康プラン(health plan」という用語は,1974年退職者収入確保法(the Employee Retirement Income Security Act of 1974 (29 U.S.C. 1191b))の733条に規定するグループ健康プラン(a group health plan),個人保険健康プランまたは自己保険健康プラン(an individual or self-insured health plan),社会保険法(the Social Security Act (42 U.S.C. 1395 et seq.))タイトルXVIIIに基づく医療プログラム(the medicare program),同法タイトルXIXに基づく医療プログラム,同法タイトルXXIに基づく州児童健康保険プログラム,及び,合衆国法典(United States Code)タイトル10第55章に基づく標準的サービスの民間健康及び医療プログラムを意味し,「健康ケア・プロバイダ(health care provider」という用語は,医師(physician)その他の健康ケアの専門家を意味する。」

(b) 健康保険に関連する通信の記録及びモニタリング

(1) 記録及びモニタリングなしの通信

他の法律の規定にかかわらず,当該顧客との間の通信の記録もしくはモニタリングをするつもりであることを顧客に告知する健康保険者,健康プラン,または,健康ケア・プロバイダは,顧客に対し,健康保険者,健康プラン,健康ケア・プロバイダによって記録され,または,モニタリングされることなしに通信をするためのオプションを提供しなければならない。

(2) 定 義 − 本項においては,

(A) 健康ケア・プロバイダ

健康ケア・プロバイダ(health care provider」という用語は,医師(physician)その他の健康ケアの専門家を意味する。

(B) 健康保険者

健康保険者(health insurance issuer)」という用語は,1974年退職者収入確保法(the Employee Retirement Income Security Act of 1974 (29 U.S.C. 1191b))の733条の用語として与えられている意味を有する。

(C)  健康プラン

健康プラン(health plan」という用語は,

(i) 1974年退職者収入確保法(the Employee Retirement Income Security Act of 1974 (29 U.S.C. 1191b))の733条に規定するグループ健康プラン(a group health plan

(ii) 個人保険健康プランまたは自己保険健康プラン(an individual or self-insured health plan

(iii) 社会保険法(the Social Security Act (42 U.S.C. 1395 et seq.))タイトルXVIIIに基づく医療プログラム(the medicare program

(iv) 同法タイトルXIXに基づく医療プログラム

(v) 同法タイトルXXIに基づく州児童健康保険プログラム

(vi) 合衆国法典(United States Code)タイトル10第55章に基づく標準的サービスの民間健康及び医療プログラム

を意味する。

SEC. 403. CONSUMER TRUTH IN BILLING DISCLOSURE ACT.

(a) 調査結果

議会は,次のとおりに答申する。

(1) テレコミュニケーション・キャリアによる広告業務は,付加的なテレコミュニケーション・サービスのコスト及び根拠,並びに,1996年テレコミュニケーション法(the Telecommunications Act of 1996 (Public Law 104-104))及び同法の立法に伴い制定されたその他連邦規則の立法によって消費者が受ける利益を正確に反映するものとは限らない。

(2) 1996年テレコミュニケーション法は,テレコミュニケーション・サービスのプロバイダに対し,接続サービスまたは提供されるサービスのコストを顧客に対して不正確に伝えることを許容するものではない。

(3) 幾つかのテレコミュニケーション・サービス・プロバイダは,一般に「ライン・アイテム・チャージ(line-item charges)」として知られる顧客広告のための新たな特別の課金方法を開発した。

(4)  幾つかのテレコミュニケーション・サービス・プロバイダは,そのような課金方法を「連邦ユニバーサル・サービス料金」またはそれと同様の料金であると述べている。

(5) そのような課金は,ユニバーサル・サービスの範囲及びユニバーサル・サービスに関連する料金の本質に関して,消費者に対し,大きな混乱を発生させている。

(6) ニュー・ヨーク州は,1996年テレコミュニケーション法(the Telecommunications Act of 1996 (Public Law 104-104))及び同法の立法に伴い制定されたその他の連邦規則の立法の結果として生じるすべてのクラスの顧客毎の料金の増減をその広告の中に完全に開示することをテレコミュニケーション・キャリアに対して要求することによって,消費者を保護する立法を考慮中である。

(7) 全米規制効果委員会協会(The National Association of Regulatory Utility Commissioners)は,1998年2月,全米のテレコミュニケーションによるコスト表示と広告業務の正確性を確保することによって,テレコミュニケーション・サービスの消費者を保護するために,連邦通信委員会(the Federal Communications Commission)及び連邦取引委員会(the Federal Trade Commission)による活動を支持する決議を採択した。

(b) 要 件

連邦規則の制定によって変更を受けるテレコミュニケーション・キャリアは,その広告の中において,

(1) 連邦規則の立法の結果として生じるすべてのクラスの顧客(国内基本サービスの顧客,他の国内サービスの顧客,スモール・ビジネスの顧客,その他のビジネスの顧客を含む。)毎の料金または課金の減額

(2) 各クラスの顧客(国内基本サービスの顧客,他の国内サービスの顧客,スモール・ビジネスの顧客,その他のビジネスの顧客を含む。)毎の,月額料金,使用料金,割合料金並びにプレミアムの全額

を特定し,

(3) 消費者に対し,現行の課金の変更前の,または,新たな課金がなされる前の1広告サイクルを通知し,及び,

(4) 申出に応じて,各クラスの顧客(国内基本サービスの顧客,他の国内サービスの顧客,スモール・ビジネスの顧客,その他のビジネスの顧客を含む。)毎の,月額料金,使用料金,割合料金並びにプレミアムの全額について開示し

なければならない。

 


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最終更新日:Jun/02/1998

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