玄宗は 泣き泣き耳の 垢を掘り(誹風柳多留)
←唯将舊物表深情 鈿合金釵寄将去
一の富 何処かの者が 取りは取り(誹風柳多留・一五・11)
←乞食も御乳母日傘で育てられた金持ちの坊ちゃんだった
あの女房 すんでにおれが 持つところ(誹風柳多留・四・9)
愛想の よいをほれられたと思い(誹風柳多留・八・28)
通り抜け 無用で通り抜けが知れ(誹風柳多留・八・35) ←藪蛇
仲条は むごったらしい 蔵を建て(誹風柳多留・三・1) ←仲条は江戸の有名な堕胎医一族
←遊郭の少女(禿)の見聞
新田を 手に入れて立つ 馬喰町(誹風柳多留・初・5) ←→公事宿は馬喰町にあった
役人の骨っぽいのは ←堅物役人を落とすには遊里で饗応して篭絡する.猪牙:吉原へ行く小船
残念か いいか常盤は 泣いてさせ ←源義朝の後家の常盤御前は平清盛の意に従うことで3人の子供を救った.
小松殿 ←平清盛の嫡男小松内府重盛らは牛若(源義経)に滅ぼされた.
一門は 蟹と遊女に 名を残し ←平家一門は壇ノ浦で滅び平家蟹となる.生き残った官女は生活に困って遊女 となった.
西海のくろうも 水の泡となり ←源義経(九郎判官)は西海で平家を苦労して滅ぼしたが,奥州平泉で滅ぼされた.
おつむりと 下は違うと まさ子いい ←源頼朝は大頭だった.
親鸞は 世をひろく見て あなかしこ 弘法は裏 親鸞は表
手を握る ばかり志賀ない 老いの僧
← 高徳の老僧であって志賀寺の上人(しょうにん)が美女の京極の御息所
(みやすんどころ)に一目ぼれして,
三つのうち 目も歯もよくて 哀れなり
ひとりもの
おさしみの 前に土手をば ちょっとなで
歯は入れ歯 目はめがねにて 事たれど
遠くから 口説くを見れば 馬鹿なもの
むつかしい顔をうっちゃる袖の下
五右衛門は生煮えのとき一首よみ
蝿は逃げたのに静かに手を開き
神々も恵方果報の当り年 ←恵方=吉の方向,果報=賽銭
知れて居るものをかぞへるせんがく寺
こらへかねこらへかねての短慮なり
手を出した方が負けだと下馬で言ひ
天地の出合楊貴妃織女なり
させもせずしもせぬ二人名が高し ←二人=小野小町と武蔵坊弁慶
←瓜田に履(くつ)をいるるなかれ
忍ぶ夜の蚊はたたかれてそっと死に
痩せこけた 死骸があると わらび取り ←伯夷・叔斉
その手代 その下女 昼はもの言わず
←作兵衛=仮病人
居酒屋のねんごろぶりは立って飲み ←ねんごろぶり=常連のフリ
神代にもだます工面は酒が入り
盃のときに何んにもおっしゃんな
酔ったあす女房のまねるはづかしさ
本降りになって出て行く雨宿り
ちかづきを考えて居る雨宿り ←ちかづき=近所の知り合い
雨やどり
腹立って出る
←共同便所の肥取り代で餅をついた
末ながくいびる盃姑さし
嫁さえざえと牡丹餅を七つ喰い ←姑の四九日
牡丹餅を気の毒そうに晴れて喰い
死水を嫁にとられる残念さ
ねがはくは嫁の死水とる気なり
姑婆いびるがやむと寝糞をし
薮入りの戻ると来ぬですき(好き)がしれ(知れ)
医者衆は辞世をほめて立たれけり ←医者の偽善
にこにこと医者と出家がすれちがい
まま母とにらんで
つぶれ前 ←つぶれ前=破産寸前
嘘も少しはつきますと ←女郎の最大の武器は嘘
なでまわし五一の金をさしはじめ ←五一の金=五両に月一分の利息←将棋の指し手
座頭のを借りて座頭の鳴りをやめ ←座頭からの借金を座頭から借りて返す
家督公事目鼻がつくと座頭来る ←家督相続の訴訟(公事)にけりで借金取り
なきなきもよい方をとるかたみわけ
五分五分に枕をよせる旅戻り
業平を見逃しにする大社 ←人盛んにして神祟らず
杉の木は寝耳へ釘を打込まれ ←丑の時参り
かよう遊ばせと ←鶺鴒=神への性の教え鳥
も一つの伝授
教えられたもうと 橋がみっしみし ←鶺鴒が教えたのは「天の浮橋」の上だっ
た(『日本書紀』)
あれいっそ 神去りますと 橋の上
朕はもう 崩御崩御と のたまえり
人化かす狐も土の団子喰い ←稲荷へあげる土団子
暮の関越せぬは 暮の関(=借金),←持参金目当て
出家でもうけたを医者で遣いすて ←生臭坊主が医者に化けて花街へ
昼は釈迦夜は神農の弟子となり
学者虚して曰く
仲人はあばたの数をかぞえて来 ←あばたの数で持参金が上昇
仲人は小姑一人殺すなり ←小姑の数を減らして仲人口
けちな医者さて ←犀角=犀の角の漢方薬
貧の病いに
ああ腎が少ない哉と
日を呑んで月を流すは恋の道 ←日=朔日丸=避妊薬・堕胎薬,月=月経
越しかたを思ふ涙は耳に入り
恋の
叱られて娘は櫛の歯をかぞへ
まくら絵を高らかに読み叱られる
我が好いた男の前をかけぬける
あたり見廻し絵の所娘あけ
十三と十六ただの年でなし
十六の春から稗をまいたやう
娘もういくのの道も承知なり ←大江山生野の道の遠ければ,まだふみもみず天の橋立(小式部)
くどかれてあたりを見るは承知なり
よしなあの低いは少し出来かかり
だんだんにそんならの出る面白さ
髪を結ふ時に女は目がすわり
男ならすぐに汲うに水鏡
相性は聞きたし年は隠したし
させたいとしたいは
いひなずけたがひちがひに風邪をひき
くどかれて娘は猫にものを言ひ
お妾の昼間はしごく無口なり
マミムメモ今宵はじめてサシスセソ
ラリルレロこそタチツテトかな
箱入りのあったら金に嫁を添え ←親は箱入りと思っても持参金なしでは売れず
ひる過ぎの娘は琴の弟子も取り ←ひるすぎの娘=行き遅れ
抱いた子にたたかせてみる惚れた人
ふところに抱いてゐたのに滅ぼされ ←常盤御前の抱いていた頼朝と義経が平家
を滅ぼした
腹の立つ裾へかけるも女房也
病み上り女房ひやひやものでさせ
いけんきく息子の胸に女あり
ふみの来るたんびに息子ちえがつき
ひと塩すると実体の息子なり ←ひと塩=道楽息子を銚子へ勘当,実体=実直
春や昔のと調子から文通い ←月やあらぬ春やむかしの春ならぬわが身ひとつはもとの身にして(伊勢物語)
我がすかぬ男の文は母に見せ
逃げしなにおぼえてゐろは負けたやつ
心中はほめてやるのが手向けなり
死に切って嬉しさうなる顔二つ
首くくり富の札などもってゐる
書置はめっかり安いとこへおき
夏草や野良者共の出合あと ←夏草やつわものどもの夢の跡(芭蕉) ←出合=村出合=村の男女の密会
出合する上をひばりは舞って居る
村出合させもが露にぬれるなり ←契りおきしさせもが露を命にてあわれことしの秋もいぬめり(千載集)
村社氏子ふやしにくる出合
仲人にかけては至極名医なり ←藪医者
させにくい祝言などと恩にかけ ←仲人の恩着せ
仲人の舌はぬかるる覚悟也 ←仲人口
芝居にて見合い濡れ場が教え鳥
逃げのびた腰元前をよく合わせ
姑死に嫁片腕を継いだよう
持参金さあ出されれば出してみな
お土産をもって来るから持って来る ←お土産=お土産っ子
きりょうよい持参をと母女なり ←欲深い母
金箔のつかぬは木地のいい娘 ←持参金なしでよいのは器量良し
入聟はわが物までに事をかき
女房だと思うが聟の不覚也
番頭も外ではおもしろい男
菅笠も夜は重なる夫婦旅
二人とも帯をしやれと大家いひ
寝てとけば帯ほど長いものはなし
昼みれば夜ばひ律儀なをとこなり
見つかって椎の実ほどにして逃げる
間男を切れろと亭主惚れている
女房の留守もなかなか乙なもの
女房をこわがる奴は金が出来
またしても前の仏でこぜりあい ←死んだ先妻
さわらねばなお祟りあり山の神
色男ちとそろばんはにちゅう也 ←にちゅう=未熟
傾城の尾羽打ちからすいい男 ←傾城が騙されるような色男
居候いつもせんべいかしわ餅 ←せんべい=煎餅布団,かしわ餅=1枚の煎餅布団にくるまる寝方
居候よんどころなく子ぼんのう
掛人寝言にいふがほんのこと ←掛人=居候
口がるく尻のおもたい居候
恥ずかしさ知って女の苦のはじめ
ほれたとは女のやぶれかぶれなり
月夜と知らず提灯へ弓を張り ←提灯=老人の陽物
毛が少し見えたで雲をふみはずし ←久米仙人
雲となり雨となったで月を見ず ←雲雨=男女の営み,月=妊娠
弁天を大黒にして布袋にし ←弁天=美人,大黒=生臭坊主の隠し妻,布袋=妊婦
国の母生まれた文を抱き歩き ←江戸へ嫁いだ娘に子が生まれた喜び
赤い名を黒くしたがる里の母 ←赤い名=娘の嫁入り先の姑 ←黒=後家になって戒名を赤で書き,本当に死ぬと黒に書く
日傘をば買うにも御宰下駄をはき
天知る地知る二人知る御用知る ←天知,地知,我知,汝知:密事はばれる
出替りの乳母は寝顔にいとま乞い ←出替り=奉公人の交代
品川の客偏のあるとなし ←偏がある=侍,偏がない=寺=生臭坊主
野暮と化物品川に入りびたり ←野暮=田舎侍,化物=僧侶
←四書=大学,中庸,論語,孟子,細見=遊里の案内記
四つ手駕月の都をさして駈け ←四つ手駕=辻駕,月の都=八月一五夜と九月十三夜=吉原の紋日
光陰の矢よりも早い四つ手駕
孝行も四つ手不孝も四つ手なり ←孝行=親の借金返済のための身売娘,不孝=道楽息子
吉原は拍子木までが嘘をつき ←四つの拍子木=吉原の四つは十二時,日常の四つは十時
出すまじき所で浅黄武士を出し ←遊里で田舎侍が刀を抜く野暮
人は武士なぜ傾城にいやがられ
あまっ子のやうなにはまる浅黄裏
もてぬやつかんらかんらとうちわらひ
果し状泣くな泣くなと墨をすり
しんかんとして褌のしらみを見
馬鹿らしゅうありんす国の面白さ ←ありんす国=吉原
太鼓持ありんす国の通辞なり
年々歳々玉菊は客を呼ぶ ←玉菊=若死にした大夫玉菊の追善供養に灯籠をあげる吉原の祭り
灯籠の灯にとんで入る若盛り
月の前かこち顔なる売れのこり ←嘆けとて月やは物を思わするかこち顔なる我涙かな
月の嘘天にいつわりなきものを ←「いや,うたがいは人間にあり,天に偽りなきものを」『羽衣』
勘当はのの様を二度喰った奴 ←ののさま=月
突出しの親人参をたんと飲み ←突出し=初見世の遊女,人参=病気の親に人参を飲ますための身売り
傾城の義理はちょっちょと風をひき ←特別の客や間夫(愛人)への義理立てに嘘の風邪で見世を休む(身揚がり)
売家と唐様で書く三代目
身揚りの部屋に村の名書いた笠
箸一ぜんの主となる面白さ ←小料理屋の常連扱いで自惚れる馬鹿
口偏に空おそろしい
←口偏に空=嘘の別字
水にする起請もかたい紙へ書き ←水にする=水に流すつもりの嘘起請
目がさめて今は仇なれ入れぼくろ ←入れぼくろ=女の名の刺青
命なりけり小夜ふけて ←年たけて又こゆべしと思いきや命なりけり小夜の中山(西行) ←艾の香=艾で前の情夫の名の刺青を焼き消す
太えあま腕に火葬が二つ三つ ←火葬=捨てた愛人の名の刺青を艾で焼き消す
月の前かこち顔なる売れのこり ←嘆けとて月やは物を思わするかこち顔なる我涙かな
かるたの絵 わが敷島の 道ならで ←『百人一首』
鶯も 蛙も鳴かぬ 小倉山 ←『小倉百人一首』
夏来にけらし 白妙のところてん ←春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣乾すてふ 天の香具山『百人一首』
しだり尾の 長屋長屋に 菖蒲かな ←あし曳きの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を『百人一首』
すり鉢は みそひともじで ほめ足らず ←田子の浦に 打ち出でて見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ『百人一首』
吉原は もみぢ踏み分け ゆく所 ←奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋はかなしき『百人一首』
出し月かもと 銚子の浜で見る ←天の原 降りさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出し月かも『百人一首』
禿頭を垂れて古里を思ふ ←頭を挙げて山月を望み 頭を低れて故郷を思ふ(李白)
花の色は 美しけれど 実はならず ←花の色は 移りにけりな いたずらに 我が身世にふる 眺めせし間に『百人一首』
気強いと 気の長いのが 九十九夜 ←小野小町・深草少将
もうしめた もうしめたと九十五六夜目 ←小野小町・深草少将
労して功なし 深草の行きだおれ ←小野小町・深草少将
黒主は そっと照る照る法師をし ←小野小町の雨乞い踊りと大伴黒主の対立
黒主は 武玉川から 盗み出し ←小野小町の雨乞い踊りと大伴黒主の対立
花の色 身のいたづらは せぬ女 ←花の色は 移りにけりな いたずらに 我が身世にふる 眺めせし間に『百人一首』
蝶花を ながめせしまに 娘ふけ ←花の色は 移りにけりな いたずらに 我が身世にふる 眺めせし間に『百人一首』
語るなと 詠んだで落ちた ことが知れ ←僧正遍昭の落馬(名に愛でて折れるばかりぞ女郎花吾落ちにきと人に語るな)
親のため 我落ちにきと 女郎花 ←借金の身売り
恋ぞつもりて 扶持となる 妾が兄 ←築波根の 峯より落つる水無の川 恋ぞつもりて 淵となりぬる『百人一首』
しのぶずり召し 傾城に乱れそめ ←陸奥の 忍ぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れ初めにし 我ならなくに『百人一首』
しのぶずりよりも 高尾はしまを好き ←高尾太夫・島田重三郎・仙台侯伊達綱宗
うぬがため 春の野に出る ←君がため 春の野に出て 若菜摘む 我が衣手に 雪は降りつつ『百人一首』
面白く雨風にあふ中納言 ←在原行平の須磨謹慎での松風村雨姉妹の寵愛
また流されておいでよと二人泣き ←在原行平の須磨謹慎での松風村雨姉妹の寵愛
芥川神代もきかぬ不埒なり ←ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 唐紅に 水くぐるとは『百人一首』
恋の重荷は芥川桂川 ←在原業平(芥川)・お半長右衛門(桂川)
問ふ人が ただの人なら ただの鳥 ←名にし負はば いざ事問わん 都鳥 我が思ふ人は ありやなしやと(在原業平)
翌る日は いざこざ聞かん 都鳥 ←名にし負はば いざ事問わん 都鳥 我が思ふ人は ありやなしやと(在原業平)
侘びぬれば 今はたおなじご借金 ←わびぬれば 今はた同じ 難波なる みをつくしても逢はむとぞ思ふ『百人一首』
座敷牢 千々にものこそ悲しけれ ←月見れば 千々に物こそ 悲しけれ 我が身一つの 秋にはあらねど『百人一首』
このたびは ぬたにとりあへよ 紅葉鮒 (松江重頼) ←このたびは ぬさもとりあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに『百人一首』
このたびは 雷公 雲の上へ落ち ←菅原道真の怨霊
どの蚊帳へ行っても 時平つき出され ←藤原時平の讒言による菅原道真の左遷
人と成り 神と成り また雷となり ←菅原道真
人目も草もいとはずに野糞たれ ←山里は 冬ぞ寂しさ 勝りける 人目も草も 枯れぬと思へば『百人一首』
力では並ぶものなき古今の序 ←力をも入れずして天地を動かし 目に見えぬ鬼人をもあはれと思わせ(古今 集)
梅干も花ぞ昔を思ひ出し ←人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の香に にほひける『百人一首』
夏の夜は まだ酔ひながら 朝帰り ←夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいずこに 月宿るらむ『百人一首』
誓ひてし人の命へ灸をすゑ ←忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな『百人一首』
竹の子や あまりてなどか 人の庭 ←浅茅生の 小野の篠原 忍ぶれど 余りてなどか 人の恋しき『百人一首』
逢ふことの たえて久しき 座敷牢 ←逢ふことの 絶えてしなくば 中々に 人をも身をも 恨みざらまし『百人一首』
八重葎 茂れる宿へ 女衒くる ←八重葎 茂れる宿の 寂しきに 人こそ見えね 秋は来にけり『百人一首』
くだけても 割れても定家 百へ入れ ←風をいたみ 岩打つ波の 己のみ 砕けて物を 思ふころかな『百人一首』
わが命 長くもがなと 姑ばば ←君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな『百人一首』
あらざらむ 此世のほかの 嫁いびり ←あらざらむ 此世のほかの 思ひ出に 今一度の 逢ふこともがな『百人一首』
中ほどへ 定家女郎屋ほど並べ ←『百人一首』
傾くまでの月を見るどら息子 ←やすらはで 寝なましものを 小夜更けて 傾くまでの 月を見しかな『百人一首』
家やしき 傾くまでの 月を見る ←やすらはで 寝なましものを 小夜更けて 傾くまでの 月を見しかな『百人一首』
詩は七歩 和歌は踏み見ぬうちに詠み ←大江山 幾野の道の 遠ければ まだふみも見ず 天橋立『百人一首』魏の曹植
奈良桜 一重よけいに 匂ふなり ←古の 奈良の都の 八重桜 今日九重に 匂ひぬるかな『百人一首』
心にも あらでおや良く 来なんした ←心にも あらで憂世に 永らへば 恋しかるべき 夜半の月かな『百人一首』
和田の腹 巴も初手は 探りかね ←わたの原 漕ぎ出て見れば 久方の 雲井にまがふ 沖津白波『百人一首』
百の内 二人変化で 神となり ←『百人一首』
鶯はないが里っ子集に入り ←ほととぎす 鳴きつる方を 眺むれば ただ有明の 月ぞ残れる『百人一首』
うしと見し勤めもうもういやになり ←永らえば また此ごろや 忍ばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき『百人一首』
年明けに 憂しと見し世を 恋しがり ←永らえば また此ごろや 忍ばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき『百人一首』
玉の緒よ たえなばたえね ←玉の緒よ 絶えなば絶えね 永らえば 忍ぶる事の 弱りもぞする『百人一首』
味噌煮ぞ 下戸の しるしなり鰹 ←風そよぐ 奈良の小川の 夕暮れは 禊ぞ夏の 記(しるし)なりけり『百人一首』
喰うも憂し 喰はぬも辛し 居候 ←人もおし 人も恨めし あぢきなく 世を思ふゆゑに 物思ふ身は『百人一首』
女の誉める女すくなし ←『武玉川』第五篇
あたらし蚊屋の隅の正直 ←『武玉川』第五篇
聞き手があって思ふほど泣き ←『武玉川』第六篇
失念といへば立派な物忘れ ←『武玉川』第八篇
緑子の欠びの口の美しき ←『武玉川』第八篇
拝み倒しにまだ懲りぬ母 ←『武玉川』第八篇
親の闇ほかの踊は目に附かず ←『武玉川』第九篇
親の闇ただ友達が友達が ←『武玉川』第九篇
親の昔を他人から聞く ←『武玉川』第十篇
叱る親父も叱られた果 ←『武玉川』第十篇
蛤になりての不自由いかばかり
←『武玉川』第十一篇
去年までただの寺なり泉岳寺 ←『武玉川』第十一篇
俄分限の女房に飽き ←『武玉川』第十一篇
奥様といはれて顔が別になり ←『武玉川』第十五篇
惚れて報いる看病の恩 ←『武玉川』第十七篇
遠くから見える蛍の息づかひ ←『武玉川』第十七篇
白鷺の田をきたながる足づかひ ←『武玉川』第十八篇
口留めに知った話のはがゆくて ←『武玉川』第十八篇
うつむけばいひわけよりも美しき ←『武玉川』第十八篇
面白き時憂き時の智慧はなし ←『武玉川』第十八篇
つまるところ酒屋がための桜咲く ←『武玉川』第十八篇
牡丹餅をこはごは上戸一つ食ひ ←柳樽
小豆飯かみしもほどのことでなし ←『武玉川』第十一篇
夜蕎麦切駆落者に二つ売り ←柳樽
聞いたかと問はれて喰ったかと答へ
←柳樽 |