実験装置
   顕微ラマン分光装置

顕微ラマン分光装置でとは試料の局所領域にレーザー光を照射し、発生するラマン散乱光ルを観察します。ラマンスペクトルは結晶の結合状態に依存しているため、結晶中の応力場や結晶性などを評価することができます。本装置は2 mの分光器を備えており、応力分解能は0.1 GPaを下回ります。また、高NA油浸レンズや超解像技術を組み合わせることにより、最高70 nmの空間分解能を達成しています。
  SEM(走査型電子顕微鏡)

SEMは、電子顕微鏡の一種です。電子のビームを試料に照射し、対象物から放出される二次電子、反射電子、透過電子、X線(EDX)、内部起電力(EBIC)、後方散乱電子回折(EBSD)などを検出します。なお、本研究室のSEMでは、通常の形状観察だけでなく、EDXによる高エネルギー分解能の組成分析、EBICとEBSDによる結晶欠陥の分析、EBSDによる応力評価などが可能です。
  FIB(収束イオンビーム装置)

 FIBはnmオーダーに収束したイオンビームで試料のエッチング加工や、膜堆積が可能です。本装置は特に、TEM観察のための試料を場所を選んで作製することに特化していて、FE-SEMを装備していることが最大の特徴です。
   TEM(透過型電子顕微鏡) F200

TEMは、電子顕微鏡の一種です。電子のビームを試料に照射、透過してきた電子の干渉により、原子レベルの高分解能像や回折像を観察します。主に、薄膜や微粒子など微細構造の観察、結晶欠陥の分析、EDXによる元素の分布解析などに用いられます。
 本装置は、電界効果電子銃を有し、高い空間分解能での、原子レベルでの構造解析や元素分析が可能です。優秀なオペレータが専属で担当していることも、本研究室の特徴です。
  HAXPES(硬X線光電子分光分析装置)

硬 X 線光電子分光(hard X-ray photoemission spectroscopy, HAXPES)は従来の光電子分光に比べ. て数倍以上大きい分析深さを有する比較的新しい実験手法で,埋もれた固体界面の電子状態を非破壊で測定することが可能であり、産業応用研究における新しい分析. ツールとして近年注目を浴びています。従来その実現のためには放射光の利用が不可欠でしたが、本研究室では実験室系での世界1号機を導入しました。

XPS(X線光電子分光)装置

富津の軟X線励起のXPSです。XPSとはX線を照射することによって発生する光電子をエネルギーによって分光することで、試料表面の元素分析や化学結合状態解析が可能な装置です。

SIRM(走査型赤外トモグラフィ)装置

赤外線トモグラフィー法を利用し、赤外散乱光を画像として得て、画像解析によって析出物の密度およびサイズを取得します。シリコン結晶中の20-30nmの微小欠陥のサイズ分と密度を測定することができます。

  顕微PL(フォトルミネッセンス)イメージング装置

顕微PL装置は、試料に光を照射して励起したキャリア(電子/正孔)が再結合する際に発する光を観測する装置です。試料内に不純物や欠陥がある場合、通常とは異なる波長の発光が見られるため、不純物や欠陥の検出に用いられます。本装置は光学顕微鏡レンズとバンドパスフィルタを用いることで、所望の範囲のPL像を短時間に一括して撮ることが可能です。
  InGaAsカメラ顕微PL(フォトルミネッセンス)装置

本装置は近赤外光領域に感度が高いInGaAsカメラを用いることで、同じく近赤外光領域にスペクトルを持つ不純物起因のPL発光をより高感度に観測することが可能です。また、本装置はスペクトル取得とイメージング機能を併せ持っており、PLスペクトル解析と短時間のPL像取得を独立して行えます。
  PL(フォトルミネッセンス)装置

フォトルミネセンススペクトルを取得する装置です。絶対温度数度Kの極低温まで試料冷却が可能であること、InGaAs検出器を備えて、2200nmまでの近赤外分光が可能であることが特徴です。

  μ-PCD(マイクロ波光導電減衰)測定装置

μ-PCD装置は、半導体試料の局所部分にパルスレーザーを照射して励起したキャリア(電子/正孔)が再び基底状態に戻るまでの時間(ライフタイム)をマイクロ波の反射率の変化から測定する装置です。また、本装置はレーザ光誘起電流(LBIC)、疑似定常状態PCD(QSS-PCD)の機能を備えています。さらに、基板上にコロナ電荷を乗せることでV-Q測定も行えます。主に、太陽電池用基板の電気特性評価やコロナ電荷による基板耐電圧の測定に用いられています。

  μ-PCR(マイクロ波光導電反射率)測定装置

μ-PCR装置は、上記μ-PCDの励起レーザを紫外(UV)光とすることで、ワイドバンドギャップ半導体や半導体最表面の評価に用いることを目的に開発されました。マイクロ波半夜率の元帥が早い試料に対応するために、減衰曲線をフィッティングする代わりに、半夜率のピーク値の分布測定を可能としています。


分光エリプソメータ

分光エリプソメータは、直線偏光の光を試料に斜入射させ、反射光の偏光変化を解析することで試料表面の膜厚や屈折率などを測定する装置です。

  FTIR(赤外分光)

フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)は、試料に赤外光を照射し、透過または反射した光量を測定します。 赤外光は、分子結合の振動や回転運動のエネルギーとして吸収されるため、分子の構造や官能基の情報をスペクトルから得ることができ、物質定性・同定に関する有効な情報を得ることができます。

  QSSPC(擬定常状態光伝導度)測定装置(左)

QSSPCとは、基板に光を照射し、その照度に対する電気伝導度依存性からライフタイムを求める装置です。

Suns-Voc(照度-電圧特性)測定装置(右)

Suns-Vocとは、基板に光を照射し、その照度に対する電圧-電流依存性から、Suns-Voc特性およびI-V特性を測定する装置です。
  エッチピットカウンター/共焦点光学顕微鏡

エッチピットカウンターは、欠陥が優先的に削られるエッチング処理を施した基板上に発生するピットの数を画像認識によって自動的にカウントする装置です。また、本装置は複数波長の照明を備えており、その反射率特性や干渉から表面膜厚の測定も可能す。
  半導体特性測定装置

半導体特性測定装置は、電極を形成したデバイスや太陽電池に対して複数のプローブによって電圧を印加することにより、I-V特性、C-V特性などを測定する装置です。高周波インピーダンス測定に対応しています。
  4探針プローバー

本装置は4探針法により物質の抵抗値(電気伝導度)を測定する装置です。4本の探針は直線上に並べてあり、外側2本の探針間に電流を流したときに内側2本の探針間に生じる電位差を検知することでプローブの接触抵抗を無視して物質の抵抗値を測定することが可能です。
RTA(ランプ炉)

RTAは、被処理体に対して赤外線等の強光をランプにより照射するアニール方法です。この特徴として降温速度が速く、処理時間が数秒〜数十秒と短いため、実質的に最表面のみを加熱することが可能です。
高温アニール炉

前述のRTAよりも高温の処理が行える炉。特に、SiC試料のアニールに用いています。
PECS(エッチング・コーティング装置)

PECSはArイオンガンによってエッチングやスパッタコーティングを行う装置です。主にEBIC測定用の導電性Al薄膜のスパッタに用いています。

  PIPS(イオンミリング装置)

Arイオンガンによって試料をエッチングします。TEM観察試料作成のた目の試料薄膜化に用います。最低エネルギー100mVまで低減可能であり、ダメージの小さいTEM試料作成が可能です


  イオンスライサー(左)およびクロスポリッシャー(右)

ArイオンでTEM(スライサー)およびSEM(ポリッシャー)の断面試料を作成するための装置です。FIBにはおとるものの、簡便に光学顕微鏡レベルの一分解能で、きれいな面を加工できることが特徴です。

  ドラフトチャンバー

ドラフトチャンバーは化学実験の際に有害なガスが発生するときおよび有害なガスそのものや有害微生物を取り扱うときに安全のために用いる排気装置です。本研究室では主に、試料のエッチングなど化学薬品を取り扱う時に使用します。


  Rマグネトロンスパッタ堆積装置

3ターゲットを備えた、共スパッタが可能なロードロック付きスパッタ装置です。基板温度に加えて、基板のDCバイアスを制御できる仕様です。

真空蒸着装置

真空蒸着とは真空内で蒸着材料を加熱気化し、基板上に衝突・付着させることで成膜を行う手法です。本装置は主にSERS(表面増強ラマン散乱)用のナノ粒子膜作製や、TERS(先端増強ラマン散乱)用のAFM探針の金属コーティングに用いています。
  レーザーマーカー/光学顕微鏡(左)

最大100倍のレンズを備えた光学顕微鏡と、試料にマーキングを施す高強度レーザーを組み合わせた装置です。
AFM(原子間力顕微鏡)(右)

AFMは走査プローブ顕微鏡(SPM)の一種。試料とプローブの原子間に働く力を感知し、nmオーダーの表面形状を観察することができます。

ダイシング装置

ダイシング装置とは回転するブレードによって試料を切断し、所望の大きさに加工する装置です。主にへき開不可能な結晶方向に沿った単結晶基板の切断や、多結晶基板の切断に用いています。

   顕微ラマン分光装置(2号機) 製作中

凝りもせず、また分光装置を組み立てました。1号機とは違う特徴を持つのはもちろん、あまり普通のラマンにはならないことが予想されます。



参考資料 : Wikipedia, J-TOKKYO, Laser Concierge, ラマン分光学入門