紙折り曲線と平面充填
平面充填タイル片としての紙折り曲線
ここに至って、紙折り曲線を再度検討してみる意味があることに気づく。 紙折り曲線は紙の両端を結ぶ曲線であるので、それだけでは$\mathbb{Z}^2$格子全体を充填しない。 紙折りを繰り返した曲線は自己回避的に「龍」の領域を充填するようになるので、この折りたたみ曲線はドラゴン曲線と呼ばれている。

左図は、10回折りたたんだ1本の紙折り曲線(赤色のドラゴン曲線)の1端点を中心に$\pi/2$ずつ回転して、青色、緑色、黒色として4本のドラゴン曲線を重ねたものを描いている。
ドラゴン曲線は重なりあうことなく「折りたたみの角を接して」ピタリとはまり込んた卍型の領域--4-ドラゴン(4-dragon)と呼ぼう--となることを示していることに気づく。 さらに、この卍型の4-ドラゴン領域はそれ自身が互いにピタリとはまり込むことも観察できる(もう1つの4-ドラゴン領域を灰色で表している)。
つまり、4-ドラゴン領域(折り畳み回数$n\rightarrow\infty$を想像しよう)をタイル片とすると、この4-ドラゴンタイルを平行移動して平面を充填できるわけだ。

ドラゴン曲線(赤色の紙折り曲線)を、紙の2端点を結ぶ直線について折り返して更に裏返して(つまり、上図の1端点を中心に$\pi$回転した緑色曲線を元に2端点に重なるように平行移動して)黒色の紙折り曲線を得ると、右図のようにピタリとはまり込む。 この領域をtwindragonと呼んでいる。
twindragonをタイル片とかんがえると、これを平行移動して平面を充填できることが観察できる。
Twindragon曲線
4記号のアルファベット$\{a,b,c,d\}$について、次のようなmoriphism $td$を考えよう(morphismについてはThue-Morse列を参照)。
\begin{align*} tw(a) &= ab\\ td(b) &= cb\\ td(c) &= cd\\ td(d) &= ad \end{align*}このとき、$n=1,2,3,\dots$としたとき、$td^n(abcd)$ によって生成される記号列を考えよう。
\begin{align*} &tw(abcd) = abcbcdad\\ &td^2(abcd) = abcbcdcbcdadabad\\ &\vdots \end{align*}いま、記号$a,b,c,d$を次のような対応でベクトルだとみなすことにする(列ベクトルと解釈する)。
\[ a\rightarrow v_a=(1,0),\quad b\rightarrow v_b=(0,1),\quad c\rightarrow v_c=(-1,0),\quad d\rightarrow v_d=(0,-1) \]
記号列$v_1v_2v_3\dots v_n ,v_i\in\{a,b,c,d\}$を上の対応によってベクトル列だと読み替え、$\mathcal{K}$を次のような連続曲線を表すと定義する。
\[ \mathcal{K}[v_1v_2\dots v_n]=\{0,v_1,v_1+v_2,v_1+v_2+v_3,\dots,\sum_{k=1}^nv_k\}\text{を結ぶ$n$本の直線の連なり} \]題意:記号列 abcd を単位ベクトル列とみなして$\mathcal{K}[v_1v_2\dots v_n]$で定義sれているように、原点から出発して次々と加算した折れ曲がり点への矢印線(arrow)を描くと、この場合には自明ではあるが、原点に再び帰る閉曲線であることを確認する。
題意: 適当にすケースし直して(いまの場合は$1/\sqrt{2}$倍)、連続閉曲線$\mathcal{K}[td^n(abcd)]$と$\mathcal{K}[td^{n+1}(abcd)]$との関係を観察し、曲線$\mathcal{K}[td^n(abcd)]$から曲線$\mathcal{K}[td^{n+1}(abcd)]$を得るためのルールを観測する。