日本超心理学会月例会

2006年10月1日(日曜) 1時〜5時


(1)超心理能力と創造性

恩田 彰 (東洋大学名誉教授)

 超心理能力の発揮と創造性の高さの間には大きな相関がある、と言われている。今回、創造性研究の第一人者であり、本学会顧問の恩田先生におこしいただき、お話を伺った。(石川記)

 恩田先生を初めとする創造性に関する研究の歴史は長く、それはおそらく現代において一般的に知られるレベルより、かなり広範且つ深く探求されている。昨今、能力を高めるための“トレーニングブーム”と呼ばれる流れなどもあるが、人間は極めて複雑に構成されている。機械的構造としての理解や開発に偏ってしまうと、せっかくの能力も実際に“発揮する場”において活かされず、結局は“確固たる結果”も得られないだろう。また、能力性にとらわれ過ぎてしまい、その他の要素を見落としてしまうことも危険で、人間性全体のバランスに意識を配りながら、高めていかなくてはならない難しさが様々あるように思われる。
 本来は、全ての人間にPsi(サイ)能力が存在すると考えられている。しかしながら、それを認めたがらない部分も人間性の本質として内在し、その能力自体を封じ込め否定してしまう側面があるとされる。そのことは、見えないものを見ようとすることで生じる、不安感などのネガティブな感情の存在を示すことでもあるように思われる。また、能力的な“上昇”や“広がり”を阻もうとするような不安感そのものを“越えて行く人”と、抑制し飲み込まれて“留まる人”との違いも顕在してくる。
 もともと人間は、生死に対する漠然とした不安に始まり、常に不安感が根底に在る生物とされる。無意識的に“見たくない”“知りたくない”ものを選別して、受け止めきれないほどの感受性を揺るがすような不安を防衛する面があるのだろう。それをプラスとして越えていくには、個としての己、さらに人間としての己を知る勇気を携え、病理的な部分も含めて、多角度的に自らの能力を眺めることが必要であり、そのことが不安感情の払拭にもつながり得ると考えられる。
 人間性へのトータル的な理解や、心を含めた人間性の健康と不健康を考えることの重要性を再認した。(薄井記)


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