日本超心理学会月例会
2006年7月9日(日曜) 1時〜5時
(1)ラディンの新刊書を紹介
紹介者:石川幹人 (月例会運営委員)
Dean Radin: Entangled Minds -Extrasensory Experiences in a Quantum Reality,
Paraview, April 2006 『からみあう心たち――超能力は量子の世界からやってくる』(仮訳)
超能力などの超心理学が対象とする現象は、条件を整えて実験すれば明らかな現象として再現できると、具体的な実験の結果から示している。超心理現象は量子論的な世界観から説明されると論じ、将来の科学では心のつながりが重視されると主張する。この10年間の超心理学の実績は日本にまったく紹介されてこなかったが、この本でそれらがほとんど網羅されている。テレビで取り扱われているような超能力捜査官などの背後にこうした科学的研究が存在する事実は、日本の読者には新鮮な発見であろう。また、理論や思想の面では、量子論や心の科学、東洋思想やトランスパーソナル心理学と関連するので、これらの領域に興味をもつ方々にもふさわしい読み物である。
著者のディーン・ラディンは、イリノイ大学で電気工学の修士号と心理学の博士号をとった超心理学者である。AT&Tのベル研究所をへて、プリンストン大学、エジンバラ大学、ネバダ大学、米政府の超能力諜報プロジェクト「スターゲート」を請け負っていたSRIインターナショナル研究所などで超能力の実験的研究を続けてきた。現在、宇宙飛行士ミッチェルの設立した純粋理性研究所(カリフォルニア)の主任研究員である。超心理学国際会議(http://www.parapsych.org/)で、1988年以来最多の4回にわたって議長を務めるなど、緻密でかつ大胆な実験研究に定評のある、第一線の研究者である。彼には、多くの研究論文や解説の執筆実績があるが、著書は2冊目であり、前作の
The Conscious Universe: The Scientific Truth of Psychic Phenomena (1997)
は、フランス語・韓国語・トルコ語など8か国語に翻訳(邦訳はない)され、英語版は現在10刷に至る世界的ベストセラーになっている。
- 第1章:見えてきた兆し。ラディン自身の研究誌を振り返りながら、現代物理学が示す「からみあう量子」という奇妙な描像と、超能力の現れ方を対照させて語る。
- 第2章:テロを予言した者たち。9/11のテロを事前に語った事例、公開超能力実験の正答率がテロ前に極端に変化した事例を紹介し、超心理現象の存在を明示する。
- 第3章:超心理現象を信じる人たちは。創造性が豊な人がおしなべて超心理現象を体験しやすい。体験しないという人も、じつは無意識的に抑制しているのかもしれない。
- 第4章:魔術師から超能力捜査官まで。超心理現象の研究の歴史を古代から近代まで概説している。
- 第5章:透視やテレパシーが検出された。ESPカードを用いた透視やテレパシーの実験を振り返り、懐疑論の視点も交えながら、現象が確かに存在するという証拠を概説している。
- 第6章:変性意識状態が能力の源泉。夢見テレパシー実験やガンツフェルト(全体視)実験などの、変性意識状態における実験結果を集計して、その効果を分析する。
- 第7章:同調する身体。見つめることによる脳波の同調現象など、生体の生理学的反応に出る超心理現象。
- 第8章:直感力を見なおす。人間は、離れたパートナーの気持ちを、知らず知らずに直感している。
- 第9章:心は物に影響する。サイコロや乱数発生器を対象にした念力実験の結果について分析する。
- 第10章:未来を予感する。センセーショナルな刺激の数秒前に、皮膚電気抵抗や脈拍などの測定値が予知的に変化する現象が、ラディンが報告した後、世界各地で追試・確認されている。
- 第11章:ガイアの夢。人々が集まった場所に乱数発生器を置くと数値が同調する実験や、乱数発生器をインターネットでつないで変化を常時記録する「地球意識プロジェクト」について紹介。地球意識プロジェクトでは、新年の時刻や、9/11テロ時に特異的なデータが得られている。
- 第12章:新たな実在を求めて。量子論の世界観、物のからみあいの説明の後、心のからみあいの可能性を示唆する。
- 第13章:超能力はいかにして起きるか。超心理現象を説明しようとする諸理論を紹介した後、「からみあう心」という着想が有望であると論じる。
- 第14章:輝かしい未来へ。懐疑論はすでに撲滅され、いまや隠れた心の働きを科学的に究明する、有望な地平が拓けている。
(2)映像をもとにした議論
話題提供:渡辺宙明
1.電気人間の電気的測定、気功師の生理学的測定、体外離脱体験の実験的研究、その他
2.ある住宅で起こった怪奇光音、ポルターガイスト現象

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