メタ超心理学研究室

Yahoo!メルマガ取材掲載記事


          漢(おとこ)の趣味を語り尽くす          
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        ┃漢┃┃の┃┃ホ┃┃ビ┃┃ィ┃┃団┃        
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       http://merumaga.yahoo.co.jp/Detail/3/p/1/       
             第8号(2006/12/5)             

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【1】ニュースクリップ ――
   センサーバーをうまく設置することがWiiリモコンを生かすカギ ほか
【2】よろず体験センター
    ―― 言葉の壁を打ち破る! ネイティブ発音の15か国語音声翻訳機
【3】プロジェクト・ノンフィックス =ファンタジーを実現する人々=
    ―― 第8回 石川幹人さん:「人間」を知るための「超心理学」研究

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こんにちは、「漢のホビィ団」編集部です。

今号の「プロジェクト・ノンフィックス」は、超能力を科学的に解明しようと
試みる「超心理学」研究に関するストーリー。明治大学情報コミュニケーショ
ン学部教授の石川幹人さんが「心を持つロボットは現状では作れない」と語る
その理由とは?「よろず体験センター」では、ネイティブ発音による15か国語
音声翻訳機をご紹介。果たして外国人にもきちんと通じるのでしょうか?

(【1】【2】は省略)

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┃【3】プロジェクト・ノンフィックス =ファンタジーを実現する人々=
┃   ―― 第8回 石川幹人さん:「人間」を知るための「超心理学」研究
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           執筆:島田健弘  編集:熱田浩司(エム・クルーズ)

架空の世界に描かれた夢想の技術を現実のものとするため活躍する最先端の人
々と、その研究成果などを紹介していく「プロジェクト・ノンフィックス」。
今回は、超能力を科学的に解明する「超心理学」の研究によって人間の存在を
解明しようと試みる、明治大学情報コミュニケーション学部教授の石川幹人
(いしかわまさと)さんにご登場いただいた。

■ 信じれば結果を出せるし、信じなければ出せない超能力実験

「超心理学について、多くの方が誤解をしていると思います」

明治大学の石川幹人教授は、超心理学――念力、予知、第六感、虫の知らせな
ど、いわゆる超能力を科学的に解明する研究を行っている。超心理学はオカル
トでもなければ、娯楽としての疑似科学でもなく、経験的事実にもとづいた研
究であると、広く社会に示そうとしている研究者だ。それでも、まゆにつばを
つけて聞く人と信じきってしまう人の両極端に分かれる。

「科学的に説明できないものだと最初から決めつけている人が少なくありませ
ん。しかし、科学的な研究手法で究明可能なのです。ただ、まだ物理学的な実
証が難しい。それは心の問題が大きく関与するからです。たとえば、被験者が
疑ってかかれば超能力のスコアはよくならないし、何度もやって飽きてくれば
スコアのよい人も悪くなる」

トランプのカードを裏から見て赤札か黒札かを当てる。それが、事前に「小さ
な手がかりがいかに無意識のうちに検出できているかの実験だ」と合理的な説
明をされると、札の色が平均より多く当てられ、「透視の実験だ」と説明され
ると、平均を下回ってしまう傾向が見られるという。

「それを山羊・羊効果といいます。疑う人(山羊)はいい結果が出にくく、信
じる人(羊)はいい結果を出しやすい。さらに隠ぺい効果も知られており、も
し特殊な結果を出して広く社会に知られたらどうしようと考えると、いい結果
は出にくいですね」

つまり、マスメディアがかかわってくると効果は激減してしまうということだ。
本人の気持ち次第、社会的な受け入れ度合いで結果に揺らぎが出てしまう。こ
れでは物理学的な実証が難しい。

「超能力は社会的にはまだまだ認められていない。公の場で、被験者を励ます
ような状況ができれば、いい効果は出てくると思いますが……」

心を解明する術は、残念ながら物理学のアプローチ、大きくいうと自然科学の
アプローチと微妙なズレがあるということだ。イバラの道だと言わざると得な
い超心理学。そこであえて石川さんが研究する動機は何だろうか?

■ 「人工知能はいかに“作れないか”」が原点

石川さんの出身は物理学だ。社会に一番貢献できる学問だからと思い、志した
という。しかし、管理実験にもとづく物理学の方法は心理学との相性が最悪だ。

「通常、物理学のフィールドから超心理学に来る人は、ちゃんとした実験装置
で測定すれば実証できると思ってしまう。しかし、やってみてダメだったから、
超能力はイカサマだと思いがちです。それで逆に懐疑論者になって超心理学を
“暴く側”になってしまう例も多くあります」

アンチ超心理学者になってもおかしくない経歴であるはずの石川さんが、その
分野で頑張れたのはどこにあるのだろうか。

「実は、私の本職は人工知能なんです」

そのために、人間を理解しなければならないという大前提があったからだ。し
かし、石川さんの人工知能の研究は非常にヒネくれている。

「研究内容は、心の宿るコンピュータはいかに“作れないか”というモノです」

つまり、アンドロイドは一生夢を見ないし、コンピュータチップを脳の代わり
に埋め込めば心は失われるし、『2001年宇宙の旅』に登場したHALは反乱しな
いということだろうか。

「心を持つ人間と心を持たない機械とを区別するところに超心理学が貢献する
と考えています。超能力といわれているものの性質を突き止めていけば、人間
の創造力の解明につながる。コンピュータは、いかに進歩しても、そうした能
力を持つことはできないでしょうから」

いま、石川さんは人の不思議を解明しようとしている。その極みにあるものが
超能力だ。

「なんとなくイヤな予感がする」という経験は、誰にでもあることだろう。SF
にあるように念力で津波を抑えたり、炎を自在に操ったり、人の思考を読み、
行動をコントロールしたりという派手な能力ではないが、“なんとなく”とい
う感じ方を理解することは、心を知るうえで重要なことであることは確かだ。

「そういう“なんとなく”の心理が理解できれば、心の不思議さもわかってく
ると思うんです。たとえば、何かを取ろうと思ったら手が動きますね。思った
とおりになぜ手が動くのか? この意志と身体運動の関連性もまだわかってい
ません。いくつか仮説があるにすぎない段階です。人間という存在自体が不思
議な出来事の宝庫で、それは物理学的なアプローチと心理学的なアプローチの
両面から解明していかなければならないと思っています」

 ▼「メタ超心理学研究室」ホームページ
   http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/

 ▼ 公開される画像を事前に予知できるか!?
           「日本超心理学界」主催の「公開予知実験」はこちら
   http://wwwsoc.nii.ac.jp/jspp2/japanese/exp/exp.html


▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽編・集・後・記▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽

小さいころに、スタンリー・キューブリック監督の映画『2001年宇宙の旅』を
見て以来、いつかHALのような人工知能ができるんだと期待していた私にとっ
て、今回の石川さんのお話はちょっとショック。一方で、「人間だけが持てる」
という超能力の解明にも興味津々。何十年後に私が死を迎えるとき、何か明確
な答えは出ているのでしょうか? 次号は12月19日(火)にお届けします。

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※以上、島田健弘氏より許可を得て転載


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