機械工学科の人材育成

総合大学として130年以上の歴史を有する本学の建学の精神は,「権利自由」,「独立自治」であり,育成人材像として,「個」を確立した信頼感のある人間,何事にも積極的に挑戦しへこたれない活力ある人間を掲げている。

機械工学科では建学の精神を引き継ぎ,社会のニーズを反映した育成人材像を,『平和で豊かな社会を実現していく責任感と倫理観を持ち,柔軟かつ総合・多面的な思考と機械工学の知識・技術に基づき,他者と協調して課題を発見・解決し,積極的に価値を創造する,そして自ら成長を継続できる"自立した創造的技術者"』としている。

その実現のため,グローバルに通用する技術者に必須の要件を満たした学習・教育目標を定め,これを達成する4年間のカリキュラムを提供する。また,学習・教育目標は卒業の条件でもあり,これを超えた積極的な学習・研究の機会を提供し,個の活動を奨励することで,優れた技術者・研究者を育成する。

卒業生には,将来,多種多様な工学的問題の解決と技術革新の中核としての役割を担い,世界に通用するエンジニアとして活躍することが期待される。

機械工学科の学習・教育目標(2015カリキュラム)

自立した創造的技術者となるには,責任感と倫理観を持って社会の中で健全な役割を果たす技術者としての自覚,機械工学の基礎・専門知識の習得,主体的な課題の発見とその解決によって社会のニーズに応えていく実践力が求められる。そのため,卒業までに全ての学生が身につけておくべき態度・能力を示す学習・教育目標として(A) 技術者意識の涵養,(B) 工学基礎および専門知識・技術の習得,(C) 実践力の養成 の3つの大項目と,具体的な要件を示す(A-1)~(C-5)の9つの小項目を定めている。

(A)技術者意識の涵養

(A-1 教養)技術的視点のみならず,人文的・社会的教養に照らし,多面的に物事を見て総合的に考える素養の育成

(A-2 技術者倫理)科学技術を用いて問題解決や価値創造を行う技術者の備えるべき倫理を理解し,その倫理に沿って行動できること

(B)工学基礎および専門知識・技術の習得

(B-1 工学基礎)数学,物理,化学,電気,情報を含む理系の基礎概念・知識と実験実習を通した実物感覚を習得し,それらを工学課題に適用できること

(B-2 機械専門)機械系4力学,機械設計をベースとした機械工学の専門知識・技術を習得し,それらを工学課題に適用できること

(C)実践力の養成

(C-1 主体性)主体的な学習習慣と興味を持って取り組む積極的な態度の涵養

(C-2 デザイン能力)社会の要請から解くべき課題を設定し,環境への影響,制約条件等を考慮し,課題の解決策を創出するデザイン能力の養成

(C-3 マネジメント能力)プロジェクトを多様な制約条件の下で,改善を行いながら,計画的に実施し,まとめるマネジメント能力の養成

(C-4 チームワーク能力)機械工学の総合性を通じ,協働できる能力の養成

(C-5 表現・コミュニケーション能力)論理的に読み書きし,表現する能力,プロジェクト遂行できるコミュニケーション能力の養成

学習・教育目標小項目の達成は科目の成績および所定の評価で判定され,大項目の達成はその中の小項目の達成で判定される。卒業時には全ての項目の達成が求められている。

学習・教育目標に示す態度・能力の水準は,社会が技術者に要求するレベルに設定されており,これは,卒業後に製造業等で指導を受けながら,必要な知識と技術を習得し,技術的課題の解決や仕事の経験を積み,5~10年後には自立的に仕事を進められる創造的技術者へ成長できるレベルである。具体的には,一般的な技術者の役割と倫理を理解し,技術士一次試験合格レベルの基礎,専門知識・能力を持ち,卒業研究での課題設定,機械工学の知識を用いた解決,取りまとめを1年間で行える実践力のレベルである。各科目の合格水準はこれを基に設定されている。

さらに,学習・教育目標の達成を超えた積極的な学習・研究の研鑚によって,機械工学の応用に関する知識・技術と,主体的,創造的に課題やテーマを設定し,解決していく姿勢と能力が習得される.研鑚を重ねた者の能力の水準は,社会や大学院で必要な知識や技術を取り込みながら経験を積み,数年後には社会へ貢献する専門的なプロジェクトを推進する創造的技術者・研究者へ成長できるレベルとなる。


機械工学科の学習・教育目標(2010カリキュラム)

様々な産業分野において中核的に活躍する自立した創造的技術者の育成を目指し,機械工学科では技術者意識の涵養,工学基礎および専門知識の教育,実践力の養成を学習・教育の基本とし,これをブレークダウンした以下の学習・教育目標に沿って教育を行う。

(A) 広博な技術者の育成

地球規模で調和した豊かな社会を実現するため,総合的な教養教育を通して,科学技術に偏らず,多面的に物事を観て総合的に考えることのできる素養を育てる。その結果,己の行動に対する責任を自覚し,かつ己を律することで広く社会に貢献できる人材の育成を行う。

(B) 技術者倫理の養成

人間・社会・自然環境と技術開発との関わりを常に自覚しつつ,技術者として社会的責任を果たす。すなわち,自分の仕事の社会的な意義と効果,それに自然や環境に及ぼす影響にも思いをはせるような責任感と倫理観のある人材を育成する。

(C) 工学基礎教育

直面する問題や課題に技術者として適切に対処,処理するため,数学や物理を基本とする自然科学,情報技術など工学の基礎を教育する。

(D) 専門技術教育

種々の要求をすり合せ一つの機械・システムを創り出す機械技術者となるため,4力学を中心とする幅広い専門知識・技術を基礎から教育する。将来,様々な分野で活躍できる素養を育成するため,基本専門科目は必修とし,応用科目には幅広い選択肢を提供する。

(E) 創造的なデザイン・表現能力ならびにマネージメント能力の養成

優れた人間性と修得した工学基礎・専門知識を活用し,仲間と共に与えられた環境の下で問題を設定して解決する。その際に,新しい価値観を創造しそこに盛り込む,真のデザイン・表現能力,さらに,多角的に検討,計画して実行するマネジメント能力を養成する。

(F) グローバル化に対応しうるコミュニケーション能力と国際感覚の養成

論理的な記述力,プレゼンテーション能力,討議などのコミュニケーション能力を養うと共に,グローバル化に対応しうる英語を中心とした語学能力の向上に力を注ぐ。

(G) 計画的処理能力の育成

与えられた課題や条件付きの物事を適切に対処し,その結果をできるだけ簡潔にまとめ上げる能力を育成する。


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