第15回 まとめ
情報処理演習2では,情報処理1および同演習1で学んだC言語を基礎として,実際の工学・工業に広く応用されている離散フーリエ変換,
微分方程式の数値解法(数値積分),ディジタルフィルタおよび連立方程式の数値解法について,その導入と初歩的な演習を行った.
この授業は第二学年での履修を前提とするため,それぞれ個別の内容について必要以上の深入りを避け,演習時間内に簡単な導入・
紹介をするに留めた.詳しい内容については,後期の科目および,より高学年での科目で扱う予定なので,積極的に取り組んでもらいたい.
実際の数値計算ではC言語で自前のコードをすべて用意するだけではなく,市販の科学技術用ソフトウエアを用いたり,あるいはC言語用の
数値演算ライブラリを自分のソースファイルにリンクして使用するなど,さまざまな場面が考えられるが,少なくともコンピュータによるプログラ
ミングが,どのようなものかを理解した上で,各種ツールを用いるほうが,遥かに理解が容易である.
例えて言えば,アクセル・ブレーキ・ハンドルの操作法が判れば自動車の運転はできるかもしれないが,これだけでは自動車それ自身を
作ることなど到底できない.
機械工学科で工学を学ぶ諸君には,運転法を知っているだけの単なるユーザになるのではなく,新しいものを創造する技術者となることが
期待されていることを,肝に銘じてもらいたい.
本日の演習課題(復習)
問題(演習課題)
- コンピュータ言語の名称を,C言語,C++言語以外に3個以上答えよ.
- 実数部、虚数部から成る複素数の構造体Complexの定義を記述せよ.解答は構造体の定義部分のみでよい.
- 上記の構造体Complexを使って,二つの複素数の構造体 z1, z2 を引数とし,それら複素数の積を計算する関数を作成せよ.戻り値は複素数の構造体として返すこと.
- フーリエ変換、DFT(離散フーリエ変換)、FFT(高速フーリエ変換)についてそれぞれ説明せよ.
- フーリエ変換の利用例を2つ以上述べよ.
- 数値シミュレーションを行うために考えておくべき計算機の性質について説明せよ。
- 連立方程式の数値解法の名称を2つ以上答えよ.
提出は.cppファイルまたは.docx形式(Wordファイル)を,zipで一つにまとめること.zipのファイル名は学籍番号とする.
定期試験について
期末に行われる定期試験については,以下のとおりとする.
- 解答用紙に解答,プログラムソースコード等を筆記する方式とする.
- 解答時間は60分.
- 試験範囲は情報処理演習2の他に,情報処理1および情報処理演習1を含む.
- 持込可とする.ただし,書籍・印刷物・ノートなど,通常の試験に持ち込めるもののみ可とする.(電子機器類は不可.)
- その他のルールについては,一般的な定期試験と同一とする.
定期試験の採点基準については,以下の通りとする
- 論述問題については,授業で習った用語・範囲内で解答すれば充分である.仮に授業で習った範囲を超える解答でも,正解であれば○,そうでなければ×とする.
- ソースコード記述問題については,コンパイルエラーが出ない,かつ,実行結果が正しいものを満点とする.
- コンパイルエラーの例:セミコロン忘れ,カッコの間違い,変数の宣言忘れなどは,減点する.
- 実行時エラーの例:配列の要素外アクセス,繰り返し回数の不正,条件分岐の不正,計算結果が正しくない,等も減点の対象とする.