1回目A
二次元配列
「1次元配列」は,要素が直線状に並ぶデータ形式であった。
一次元データの代表的な例としては,温度や電圧などの時系列データが挙げられる。
一方,画像などは二次元的にデータが並ぶ形式である。
例えば下に示すような成績表は,出席番号と科目という 2つの要素(行,列)から成り立っている。
出席番号 | 語学 | 力学 |
1 | 65 | 71 |
2 | 84 | 83 |
3 | 74 | 74 |
4 | 90 | 90 |
5 | 87 | 78 |
6 | 93 | 95 |
この表に示す様なデータを,プログラム中で効率よく扱うために二次元配列を用いる。
int seiseki[6][2]; |
二次元配列の宣言。[6][2]は配列の大きさ。 (行6人分,列2科目分の記憶場所を確保する) |
|
宣言と同時に初期化 (括弧の対応,カンマの区切り方に注意) |
seiseki[0][1] = 0; |
代入。 この例では出席番号 1 番の力学の点数を 0 にする。 |
printf("%d\n", seiseki[1][0]); |
参照。 この例では出席番号 2 番の語学の点数が画面に表示される。 |
二次元配列の宣言,使用法は基本的には一次元配列と同じく
[0][0]
から
seiseki[5][1]
まで参照,代入が可能。
である。
構造体
氏名と点数がデータとして与えられたとき,各人の名前と平均点を表示する方法を考えよという問題であった。
出席番号 | 名前 | 語学 | 力学 | 平均点 |
1 | 佐藤 | 65 | 71 | ? |
2 | 鈴木 | 84 | 83 | ? |
3 | 高橋 | 74 | 74 | ? |
4 | 田中 | 90 | 90 | ? |
5 | 渡辺 | 87 | 78 | ? |
6 | 伊藤 | 93 | 95 | ? |
これまで習った配列では,同じ型のデータをまとめて扱えたが,この問題のように文字列型と整数型があると,
一つの文字列では扱えない。
「構造体」は,異なる型のデータをまとめて一つの変数として扱うための手法である。構造体は,新しい変数の
「型」を自分で作り出す役割をする。
(1)既存の変数を組み合わせて,int や float にあたる新しい型を定義する。
(2)定義した型を利用する変数を定義して利用する。
という,二つの段階が必要になる。
構造体を利用するには,まず既存の変数を組み合わせて,新しい「型」の構造体を定義する。
#include <stdio.h> |
構造体の定義部分(赤色の箇所)記述は,関数の内側にも外側にも記述することができる。
関数の中で宣言すれば,その関数内のみで有効になる。(ローカル変数と同じ)
以降,何度も登場するstructというキーワードは,「構造体」という意味である。
構造体の中身の変数(ここではsimei
やten_1
など)の要素一つ一つのことを,構造体のメンバと呼ぶ。
これで,新しい変数の「型」であるseiseki
型が定義できた。
(1)まず,定義した構造体型の変数を宣言する。
struct seiseki list2012; /* 新しく定義した seiseki 型の変数,list2012 */ |
上で定義したseiseki
型が構造体であることを示すために,struct
キーワードを必ず記する。
これで,成績データを格納する変数 list2012
が,使えるようになる。
(2)次に,構造体のメンバに値を代入する方法と,値を参照する方法をマスターしよう。
(2−a)代入する方法。
基本的には,構造体変数名.メンバ変数名 のように,構造体変数の名前と,メンバの変数の名前を
.(ピリオド,ドット)で結ぶ。変数の名前がlist2012
で,メンバ名がsimei, ten_1,
...
なので,
strcpy(list2012.simei, "メイジ"); /* 文字列の代入.下の注を参照!
*/ |
また,変数の定義と同時に初期化するときは,配列の場合と同様に,
struct seiseki list2012 = {"メイジ", 90, 80}; |
と,書くこともできる。
(2−b)次に,構造体変数の各メンバの参照。
printf("氏名 = %s 点数1 = %d \n", list2012.simei, list2012.ten_1);
|
とすることで,値を取り出すことができる.
文字列は,文字型の「配列」なので,
char name[25]; |
これは,エラーになる。では,どうやって文字列に代入するかというと,
char name[20]; |
が,正しい手順であるが,文字数が増えると大変である。
そこで,C言語では文字列の代入をする関数が用意されている。
#include <stdio.h> |
成績リストの例では,構造体1つに1人分の名前・成績データなどを格納できた。
これを用いて,全員分の名前や点数を一つの変数に保存するために,構造体を配列にすればよさそうである。
構造体変数も,通常の変数同様,配列を宣言することができる。
struct seiseki list2012[100]; |
この例では,struct seiseki
型の変数を100人分,配列名を
list2012
にする,という意味である。
構造体の配列の各要素の,メンバへの代入は,例えば配列の先頭の構造体へは
strcpy(list2012[0].simei, "メイジ"); /* 文字列の代入. */ |
とすることができる。配列の添え字用 [ ]
と,構造体用のピリオド「.」の順序に注意!
普通の配列同様,添え字を変化させることにより,構造体の配列すべてのメンバを操作することができる。
配列の宣言と同時に,初期化する場合に限り,
struct seiseki list2012[] = { |
という記述が可能である。
関数に変数を渡すには,値参照とアドレス参照とがあるが,まずは値参照を使ってみる。
#include <stdio.h> |
構造体であることを示す struct
を記述すること以外は,通常の値参照による関数呼び出しと同じです。
導入課題(授業中に提出)
1.情報処理・実習1で学んだ中で,理解しきれいていないと感じることを説明せよ.
(情報処理・実習2を進める上で参考にします.)
ある程度理解できたと考える学生は,情報処理・実習1において学んだこと,更に
深く理解したかったことについて論じよ.
2.機械工学を学ぶ上で情報処理分野の必要性について各自が考えることを論じよ.
上記をWordまたはテキストファイルに記述し,提出せよ.
(これらは授業中の提出とします.)
課題1−1
出席番号,氏名がデータとして与えられたとき,各人の名前と平均点を表示する方法を考えよ。
(1) 各人の2科目の合計点を計算し,画面に表示する。
(2) 各科目の平均点を計算し,画面に表示する。(配列に格納する必要はない)
(3) 配列の定義を一次元配列に置き換えて,コンピュータの中で二次元配列がどのように扱われているのか,確認する。
出席番号 | 名前 | 語学 | 力学 | 平均点 |
1 | 佐藤 | 65 | 71 | ? |
2 | 鈴木 | 84 | 83 | ? |
3 | 高橋 | 74 | 74 | ? |
4 | 田中 | 90 | 90 | ? |
5 | 渡辺 | 87 | 78 | ? |
6 | 伊藤 | 93 | 95 | ? |
課題1−2
(1)50人分の名前とテスト結果をファイル(50data.csv)から読み込み,画面に表示せよ。
(2)平均点,標準偏差を求めよ。
(3)各人の偏差値を求めて,名前と偏差値を画面に表示しなさい。
課題2−1 課題1−1を構造体を用いてプログラムを作成せよ.
課題2−2 課題1−2を構造体を用いてプログラムを作成せよ.