研究室の取り組み

ロボットの中で,どちらかというとハードウェアを作り上げることを中心に研究を行っています.動くものを対象としているので,マイコンを用いた制御とそのためのコーディングも行っています.
最近は,画像処理や機械学習などにも関心を持った学生も入ってきてくれるようになったので,さらに両面から取り組めるようにしたいと考えています.

1.人間がやりたいことを実現するために,[移動機能と作業機能を融合したロボットの構成法]を考えます.ロボットが動きまわりながら遠隔で自在に作業できるシステムはどうしたらいいのか?その構想を考え,要素となる技術を確立していきます.

2.人間・ものにとってやさしく,また不確定なことを許容するために,[柔らかい動作や制御を行うためのセンサやサーボなどの要素技術開発]を行っていきます.できる限り簡潔な装置でどうやったら状態を検知できるのか,さらにどのように制御し,動かしていくのか,様々な機構原理を作り出していきます.

3.人間と機械の間を取り持ち,人間が自在に動かすには遠隔操作などがあり,そのために必要な[人間に情報を提示する手法の考案と装置の開発]に取り組みます.自動化,アシスト,意図理解などの手法がある一方,人間に対してどんな情報を帰還し,提示すると操作がしやすくなるのかを考えていきます.

2023年度からは研究室としての取り組みとしてフィールドロボティクスの分野にも力を注ぐこととしました.研究室に所属する誰かではなく,関心のある学生が集まって作り上げていくようなプロジェクトです.2023年9月11日〜20日にかけて調査・実験を行いました.


※ハードウェアとソフトウェアの関係と制御の考え方
本研究室ではハードウェアとソフトウェアの両面から考えた開発を行います.
近年は,優れたソフトウェアをメカトロ機器に実装することでその付加価値を高めることが広く行われています.ハードウェアだけでは出来なかったような機能を実現出来たりすることが多々ありますので,学生の皆さんにとって,一見ソフトウェア優勢に感じられるかも知れません.当たり前のことですが,ハードウェアの持っている以上の性能(精度や機能,出力など)を出すことはできないので,やはりハードウェアとソフトウェア両方の充実が重要と考えています.

制御を行う際,対象の性質が分かり,できる限りシンプルなモデルを作ることができるほうが望ましいとされています.これはもちろん制御性能を上げる上で大切なことであり,不要な非線形要素があったり,徒に計算機負荷を上げるような制御則を作ることは避けなければなりません.

これに対し,機構の工夫で動作を作り出し,必要な機能を実現する際,制御の面ではあまり扱いやすくはならないことが往々にしてあります.
ロボットをはじめ,多機能を実現する機械システムを開発する上では,まず,メカニズムとしての性能を上げておき,その特性を活かすような制御システムを組み合わせて機能を実装することが重要であると考えます.相反する要素を如何に組み合わせていくかが,ロボットや機械システムを開発する上での鍵となるので,本研究室における研究・開発では,このような性質をふまえて取り組みたいと考えています.

ロボットにおいて,機構や制御そのものに工夫がなされるような研究が盛んだったのは20世紀までであり,現在は大分違った様相を呈しています.このような状況下では,これまでに存在しない独自のものを発想することが重要です.発想は自身の意思次第でいくらでもできますので,本研究ではこれを重視した活動を目指しています.