労働寄付講座 2025年度


9月25日 イントロダクション
早川佐知子(経営学部・准教授)

イントロダクションでは、講座全体の概要を紹介し、講義の進め方と履修上の注意点、成績評価等について説明する。

10月2日 OB・OGの働く現場
今井瑞希(運輸労連中央書記次長)

女性の社会人ゲストを迎えて、働く女性の観点から職場での経験と問題についてお話しいただく。就職、転職をへて、出産・育児を経験した社会人の先輩の視点から働く現場について議論する。そのうえで、これから社会に出て働こうとしている大学生に自らの働き方を模索、検討する機会としたい。

10月9日人事労務管理の現場~人事部マネジャーが語る職場のリアル
神谷篤史(運輸業界人事総務部マネージャー)

現役の人事部マネジャーをゲストに迎え、職場のリアルについてお話しいただく。日本企業で働くとはどのようなことなのか。人事部は就活生のどこをみて採用を決めているのか。入社後のキャリアはどのように定めているのか。社員のどこをみて賃金や昇進を決めているのだろうか。これらについて紹介・解説しながら、日本企業の雇用慣行についてリアルな姿を学ぶ。

10月16日 「賃金交渉」のイオンリテール労組
中川紀子(イオンリテールワーカーズユニオン)

イオングループ主要労組のイオンリテールワーカーズユニオンは、23年の春闘(賃上げ交渉)において、正社員組合員の平均賃金1万5,061円(5.03%)増、短時間組合員であるパートタイム労働者の時給71.9円(7.0%)増という大幅な賃上げを達成し、業界全体に大きなインパクトを与えた。このような賃上げは、なぜ、どのようにして実現したのであろうか? 労働組合の賃金交渉を中心テーマとしながら、労働組合の活動について学ぶ。

10月23日 長時間労働の解決事例
川野英樹(JAM副書記長)

職場における長時間労働やさまざまな問題の解決に向けた労働組合の活動について紹介する。企業別・産業別に組織された労働組合は、解決への大きな役割を担っている。産業別労働組合「JAM」には、機械・金属産業を中心に大企業や中小企業で働く労働者35万人が結集する。同組合で長年にわたり活動をしてきた講師が、働く現場で蔓延する長時間労働の解決事例について具体的に紹介する。

11月6日 マイノリティの人々:LGBTQ
清水直子(プレカリアートユニオン委員長)

プレカリアートユニオンは2015年からLGBTQ労働相談に対応してきた。「SOGIハラ」による休職を余儀なくされた労働者の復職を実現し、労災申請のサポートを行って「SOGIハラ」による労災認定をかちとり、「アウティング」問題を当事者とともに解決してきた。また、「労働相談応援ライブ」を開催し、その様子をユーチューブで流すことで社会的普及に努めている。こうした事例等について紹介する。

11月13日 マイノリティの人々:外国人労働者
安藤真起子(NPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク事務局次長)

外国人が働きながら技術を学ぶ「技能実習制度」は、外国人労働者の受入れ拡大を行ってきた。しかし2023年に公表された政府の有識者会議の報告書では、長時間労働や賃金の未払いなどのトラブルのほか、職場での暴力といった人権侵害の訴えが絶えないとの実態を明らかにしている。長年にわたりこの問題に取り組んできた講師が、外国人労働者に関する最新の実態について紹介する。

11月20日 ワークショップ・ディスカッション
石川公彦/早川佐知子
(沖縄大学・専任教授/明治大学経営学部・専任准教授)

前半(第2回から第7回)の講義内容をもとにテーマを設定し、いくつかのグループに分かれることを想定しワークショップ・ディスカッションを行う。各受講生がこれまで習得してきた専門知識を活かしながら、ワークショップ・ディスカッションを通じて、労働の現場での課題の把握とそれに対する課題解決を検討し、実践的な知識・技能を身に着けることを目指す。

11月27日 多様な働き方:フリーランス
川上資人(早稲田リーガルコモンズ 法律事務所/弁護士)

クラウドワークやフリーランスなど雇用によらない働き方について取り上げる。世界ではライドシェアやシェアリング・エコノミーが拡大し、その代表的な企業としてウーバーやリフトなどが有名である。自分らしく自由で、育児や介護と両立する働き方というイメージが先行するなか、労働の現場から浮上する労働災害などの問題と使用者責任について考える。

12月4日 社会問題に取り組む働き方(NPO/NGO)
青木久美子(NPO団体はたらくしろくま代表)

香川県を拠点として活動するNPO団体「はたらくしろくま」は、「はたらく」ことに焦点を合わせながら、個人・企業・地域がともに豊かになる社会を目指して、講演会や各種ワークショップ、読書と対話の会、さまざまな支援活動を展開している。そのユニークな活動をご紹介いただきながら、社会問題に取り組む働き方について考える。

12月11日 エッセンシャルワーク~児童福祉の現場から子ども支援を考える
吉弘恵莉子(熊本市役所職員組合)


12月18日 エッセンシャルワーク~消防職員の活動と地方自治体の責任
藤木亜純(函館市北消防署指揮係)

消防職員は地方自治体の職員として市民の安心・安全を守るため、24時間勤務で働いている。火災・救急・救助の現場活動はもちろん、近年大規模・複雑多様化している地震、風水害等の自然災害にも対応している。訓練も危険と隣合わせの仕事であり、装備や設備が十分でなければ、職員の安全さえも危うくなる。また、チームワークで業務にあたることから、職場の雰囲気づくりも大切であり、職員が団結し、現場の声を行政に反映させる必要があるが、日本の消防職員には労働組合権がすべて認められていない。その現状を打開するために設立された全国消防職員協議会の役割と、消防職の特性から労働組合の必要性を考察する。また、女性消防職員がまだまだ少ない消防職場の中でのハラスメントや、男女が共に働くことの難しさや意義、消防職を通じて感じた命の大切さを伝える。

1月8日 エッセンシャルワーク~水道・下水道事業の 課題と労働者の取り組み
福永康二(自治労本部公益企業局長)


1月15日 ワークショップ・ディスカッション
石川公彦/早川佐知子
(沖縄大学・専任教授/明治大学経営学部・専任准教授)

後半(第8回から第13回)の講義内容をもとにテーマを設定し、いくつかのグループに分かれることを想定しワークショップ・ディスカッションを行う。各受講生がこれまで習得してきた専門知識を活かしながら、ワークショップ・ディスカッションを通じて、労働の現場での課題の把握とそれに対する課題解決を検討し、実践的な知識・技能を身に着けることを目指す。