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労働教育研究会とは


若者を使い捨てにする企業の増加、非正規労働者の増加を背景に、若者たちの間に長時間労働や残業代の未払い、セクハラ、パワハラなど深刻なトラブルが増加しています。他方、学校においては、キャリア教育はなされるものの、職場でトラブルに遭ったときにどう対応すれば良いのか、どこに相談すれば良いのか、働きやすい職場へ作り変えていくためにどうすれば良いかなど、基本的な労働教育はほとんど実施されていません。

そこで本研究会では、学校現場で日々実践を進めている教員、労働行政に携わる職員、労働問題に取り組む労働組合・NPO関係者や弁護士、労働や教育問題に取り組む研究者などが集まって、学校現場で、今いかなる労働教育が必要か、どうすれば効果的な労働教育を実践することができるかを研究交流し、必要な教育プログラムや教材の制作、教員や講師の啓発や研修を進めています。

労働教育研究会の呼びかけ

昨今、新卒でも正社員になれる保証はないという厳しい雇用情勢が続いています。一部の若者が起業などを志す一方、多くの若者は労働者としての働くことを望み就職活動に飛び込んでいきます。そして、多くの若者は、職場で現実に起きている、深刻な労働トラブル、例えば、「長時間労働」「残業代不払い」「セクハラ・パワハラ」などの実態やそのトラブルに対応する術を知らずに、社会へ出て行っています。多くの若者が、労働トラブルに対応するために必要な労働に関する知識を持たずに社会へ出て行っているのは、学校教育の中にそのような知識を教育する制度がほとんどないためです。

本来、労働に関する必要な知識の教育は、キャリア教育の中でプログラムの1つとして組み込まれるべきものであると思います。しかし、現状ではそうなっていません。その結果、深刻な労働トラブルに遭遇した場合でも、これが違法、不当なことであるといった認識を持ち得ません。相談先も分からないといったケースも起きています。

このような深刻な労働トラブルを防止し、労使双方になり得る若者たちが、労使双方の権利義務を尊重し、ワークルールが守られている職場で、お互いに協力し合い、仕事を通して自分らしく能力を発揮し、共に成長し、日々充実感を持って働いていくことが私たちの願いです。そのためには、若者に対する、労働に関する法令やトラブルへの対応の仕方などについての教育が不可欠であると思います。

私たちは、労使双方になり得る若者に対し、労働者や管理職として働く上で、又、起業などを志す者が使用者として、最低限知っておくべき労働に関する権利と義務、法律知識、トラブル事例とその対応、相談先等について学べる機会を提供していくため、次の活動を行っていきたいと考え、労働教育研究会を発足させることとしました。

1.高校や大学における労働教育の実践
2.労働教育講師経験者、労働教育実施機関等による実践事例の研究及び交流
3.教育プログラムや教材(映像を含む)の開発
4.労働教育を担当する講師や教員に対する研修

企業とそこで働く人、使用者と労働者が共に協力し、お互いを尊重し合い、誰もが自分らしく働き、幸せに生きていける社会を、より良き未来をつくっていけるように、多くの皆様にこの研究会へのご参加、ご協力を呼びかけます。

発足呼びかけ人(アイウエオ順)

浅倉 むつ子(早稲田大学大学院法務研究科教授、元日本労働法学会代表理事)
池田 賢市(中央大学文学部教授)
木本 喜美子(一橋大学名誉教授、元日本労働社会学会代表幹事
角田 邦重(元中央大学学長、元日本労働法学会代表理事)
竹信 三恵子(和光大学現代人間学部教授)
道幸 哲也(放送大学教授、北海道大学名誉教授、元日本労働法学会代表理事、職場の権利教育ネットワーク代表理事)
林 大樹(一橋大学大学院社会学研究科教授、フェアレイバー研究教育センター代表)
宮里 邦雄(弁護士、元日本労働弁護団会長)