お知らせ

本講座の総括論文を『労働法律旬報』に掲載しました。

本講座の総括論文を青野恵美子「大学における労働教育〜労働講座の実践から学ぶこと」『労働法律旬報』1740号(2011年3月25日号)に掲載しました。

優れた最終レポートをアップしました。

  受講者から提出された最終課題レポートの中から優れたレポートを2つアップしました。以下からダウンロードできます(PDFファイル)。


講座のビデオ収録やOG・OBインタビューの内容をアップしました。

・本講座の講師(河添誠さん、岩淵弘樹さん)がテレビに出演します。
 NHK教育テレビ「ハートをつなごう」テーマ 「働くことがツライです」

  教育テレビ 10月25日(月)、26日(火)午後8時〜8時29分
  再放送 11月1日(月)、2日(火)正午〜12時29分

・配布資料

 授業で使用したレジュメ、資料などはこのサイトからダウンロードできます。「配布資料」のところをクリックして下さい。「このリンクは無効」などと表示されて、うまくダウンロードできない場合は、表示アドレスを再度読み込んでみて下さい。

労働講座企画委員会寄附講座
「未来の自分をつかめ〜先輩たちの働き方から学ぶ」シラバス

9月21日ガイダンス、ドキュメンタリー映画『遭難フリーター』の上映 経営学部 教授 遠藤 公嗣

  • 本講座は、不況による就職難が深刻化するなか、先輩たちの働き方をヒントに、自分の将来について考えることを目的とする。ガイダンスでは、講座全体の概要を紹介し、講義の進め方や履修上の注意点、成績評価について説明する。ガイダンスの後、ドキュメンタリー映画『遭難フリーター』(67分)を上映する。上映後に、映画に関する感想や質問を集め、翌週の講義に活用する。
  • (映画のあらすじ)就活につまずき、気がついたら派遣社員になっていた……。大学卒業後、岩淵監督にとって予想もしなかった過酷な労働の日々が始まった。終わりの見えない工場労働者としての暮らしのなかで、表現する仕事をめざしていた監督の葛藤は日々募っていく。いつしかその葛藤は、自らの姿を写し出すセルフ・ドキュメンタリー作品『遭難フリーター』を生み出した。監督自らの体験をありのままに記録したこの作品は、私たちに働くことの意味を問いかける。


9月28日『遭難フリーター』の監督からのメッセージ〜働くことの意味を考える 

  • 全体進行:石川公彦〔明大経営学部兼任講師〕
  • ドキュメンタリー映画監督 岩淵 弘樹
  •   テーマ「なぜ『遭難フリーター』を撮ったのか?」
  • 座談会
  •   座談会司会:石田 伸子〔明大OG〕
  •   座談会メンバー:岩淵弘樹監督、平野 太一〔明大OB〕
  • 映画『遭難フリーター』を制作した岩淵監督を迎えて、セルフ・ドキュメンタリーを撮影していた当時の心境について聞く。また、27歳になった現在の監督にとって働くことの意味とは——。同映画を見た受講生からの感想や質問を交えて、監督と共に考える。
  • 岩淵 弘樹『遭難フリーター』太田出版(2009年)


10月5日正規労働者の世界(1)〜OB・OGの働き方 経営学部兼任講師 石川 公彦

  • 今、どのような思いを抱きながら働いていますか——、職場で日々働く先輩たちにインタビューを試みた。このときのインタビュー映像を見ながら、自分たちの将来の働き方について考えたい。
  • インタビュー映像には、慢性的な長時間勤務と職場の人間関係に悩む26歳男性、インターンで仕事のおもしろさを知り、NPO職員として働き続ける24歳女性、子どもを出産後、経済的自立をめざして転職した34歳女性など、20〜30代の複数の先輩たちが登場する。
  • ビデオ『わたしの就活』(16分)、『職場のリスク』(18分)、『学生へのメッセージ』(10分)上映

10月12日 正規労働者の世界(2)〜ホワイトカラーの働き方 弁護士・過労死弁護団 川人 博

  • 働く現場で蔓延する長時間労働は、身体や精神にさまざまな疾患を引き起こし、過労死すら生み出す。他方、残業しても賃金が支払われないサービス残業が常態し、職務権限もなく残業代が支払われないという「名ばかり管理職」や「名ばかり店長」が増えている。
  • このような状況に対して「過労死110番」は、過労死・過労自殺や長時間労働を起因とする疾病などへの労働災害の認定申請や、企業への賠償請求、過労死予防活動に取り組んできた。今後、職場で直面する問題に対して、どのような政策や職場での取り組みが必要なのかについて考えたい。
  • 川人 博『テキストブック 現代の人権』(日本評論社、2009年)、川人 博『過労自殺と企業の責任』(旬報社、2006年)、川人 博『過労自殺』(岩波新書、1998年)

10月19日 正規労働者の世界(3)〜女と男が共に働き続けるために 

  • 産業別労働組合JAM中央執行委員/ミツミ電機勤務 冨樫 洋子
  • 私たちの長い人生において、女も男も、出産や育児、家族の介護という家族的責任に直面するときがやって来る。職場における仕事と家族的責任はどのように両立するのか? また、男女雇用機会均等法の成立後も、男女間の賃金差別や昇進昇格差別は後を絶たない。セクシャル・ハラスメントも多発している。差別やハラスメントのない職場の実現には、どうすれば良いのか?
  • 電機部品メーカーで30数年間にわたって働き続けた経験をとおして、女と男が共に働き続けるために、どのような政策や職場での取り組みが必要なのかについて考えたい。
  • ビデオ『働き続けられる職場をめざして〜ミツミユニオンレディース』(5分)上映

10月26日 非正規労働者の世界(1)〜アルバイト経験を出発点に考える 

  • アルバイトも労働者である。労働基準法をはじめとする労働法が適用される。しかし、働く現場では、賃金未払いやサービス残業、セクハラ、パワハラ、火傷・事故、勝手なシフト変更、休憩が取れない、などの問題が起こっている。本講座の受講生を対象に、「アルバイト実態アンケート」実施し、アルバイトの現場で多発する様々な問題とその解決の方法について、具体的に考えたい。
  • 当日の収録映像と資料はここからLinkIcon(労働講座TV-3)
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11月9日 非正規労働者の世界(2)〜様々な雇用形態で働く人々とユニオン運動 

  • 首都圏青年ユニオン 書記長 河添 誠
  • 首都圏青年ユニオン 松元 千枝
  • 現在、すべての労働者の3分の1は、派遣や契約、パート、フリーターと言われる非正規の雇用形態で働く人々である。日比谷公園で行われた「年越し派遣村」は、私たちの記憶にまだ新しい。これは2008年秋、アメリカ発世界大不況の荒波を受けて、数十万人の非正規労働者が「派遣切り」や「非正規切り」され、寮を追い出され、路頭に迷う事態を受けて、ユニオンが取り組んだ活動だった。このときの「年越し派遣村」の活動に参加し、日常的に非正規労働者からの相談を受ける「首都圏青年ユニオン」の活動をとおして、非正規労働者の働き方の実態とユニオンによる問題の解決について考えたい。非正規労働者として、実際にユニオンの活動に参加している労働者も登場する。
  • 当日の収録映像と資料はここからLinkIcon(労働講座TV-3)
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11月16日 貧困と格差社会の現状と問題点 毎日新聞記者/新聞労連執行委員長 東海林 智

  • 日本の相対貧困率は15.7%とOECD加盟国(先進国)のなかで4番目に高く、貧困と格差の大きな国の一つである。新聞記者として貧困の現場を歩き、労働組合の組合員として「年越し派遣村」や反貧困運動に関わってきた経験をとおして、貧困と格差をなくすために求められる政策について考える。また市民や労働者の新しい取り組みについても紹介する。
  • 東海林 智『貧困の現場』毎日新聞社(2008年)、年越し派遣村実行委委員会編『派遣村:国を動かした6日間』毎日新聞社(2009年)


11月30日 グローバリゼーションと雇用労働の変化 東京大学名誉教授 田端 博邦

  • グローバリゼーションと新自由主義的な市場政策や規制緩和政策が進められるなか、先進国における労働のあり方と労使関係は大きく変容した。日本においても例外ではない。90年代以降、不安定な雇用と劣悪な労働条件の非正規労働者が急増する一方、正規労働者も長時間・過密労働を強いられてきた。日本をはじめとする先進国の労使関係を比較しながら、正規・非正規労働者に過酷な働き方をもたらした原因について明らかにする。
  • 田端 博邦『グローバリゼーションと労働世界の変容:労使関係の国際比較』旬報社(2007年)
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12月7日 どのような社会をめざすのか(1)〜ヨーロッパと日本 
   独立行政法人労働政策・研修機構 労使関係・労使コミュニケーション部門統括研究員 濱口 桂一郎

  • 正規・非正規労働者に過酷な働き方をもたらした日本の労働社会を、今後どのように変えていくべきなのか——。ヨーロッパの実態や経験にもふれながら、規制緩和と規制強化の対立図式ではない、合意形成と産業民主主義の観点から、日本の雇用システムをどのように再構築するのかについて考える。
  • 濱口 桂一郎『新しい労働社会:雇用システムの再構築へ』岩波新書(2009年)、濱口 桂一郎『労働法政策』ミネルバ書房(2004年)

 当日の講義内容(PDF)

12月14日 どのような社会をめざすのか(2)〜もう一つの働き方と労働・社会運動 

  • 労働者福祉中央協議会 事務局長 高橋 均
  • 私たちは今後どのような社会をめざすのか。働く者が安心して働き、生活できる社会をどのように実現するのか。30数年に及ぶ労働運動の経験と、現在取り組んでいる労働者福祉運動を踏まえて問題提起する。みんなで出資して自分たちで経営する協同組合やNPOという、もう一つの働き方についても考えたい。
  • 当日の収録映像と資料はここからLinkIcon(労働講座TV-3)
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12月21日 働く者の権利〜これだけは知っておこう 弁護士 菅 俊治

  • 社会人として最低限これだけは知っておきたい働く者の権利と労働法、さらに問題が発生したときに相談にのってくれる機関と、具体的な対処方法について解説する。アルバイトや正規・非正規の職場に関わらず、自分を守るための知識とノウハウである。


1月11日 まとめ(1)明治大学労働教育メディア研究センター 客員研究員 高須 裕彦

  • 受講生は12回の講義と、そこから学んだことを振り返る。そして自分たちの働き方と将来について考える。グループに分かれて、学んだことを整理し、翌週のまとめ(2)で行うグループ発表の準備をする


1月18日 まとめ(2)経営学部 教授 遠藤 公嗣

  • コーディネーターの立場から本講座全体を総括する。学んだことを各グループから発表し、全体で議論する。

【授業の概要・目的】
日本の雇用不安が止まらない。2009年の完全失業率は5.7%に達し、過去最高を記録した。就職難が続くなか、学生のみなさんに10年後の自分たちの働く姿がみえるだろうか。今 はまだ、就活だけで精一杯に違いない。しかし、社会人になる一歩手前で、ぜひこれだけは知ってほしい。先輩たちが雇用の現場で体験した光と影を、不安な時代を生きるための知恵を。「知る」ことで人は強くなれるはずである。

講座の前半では、正規労働者(正社員)と非正規労働者(パートや派遣、契約労働者など)の実態について学ぶ。講座の後半では、その原因とどのような雇用や労働のあり方をめざすのか、働く者としての権利と働き方について考え、議論する。 

【履修上の注意】
一般の就活セミナーでは聞けない労働現場の光と影について知り、就職や進路、将来の働き方、自分たちの権利について考える機会にしてほしい。普段聞けない外部講師の話なので、授業に出席し、積極的に質問や議論に参加してほしい。

【教科書・参考書】
教科書は使用せず、レジュメや資料を配布する。適宜、映像資料の上映も行う。参考書は必要に応じて講義の中で指示する。

【成績評価の方法】
授業の出席確認を兼ねた毎回の感想文提出56点(各4点×14回)とレポート44点(アルバイトアンケート提出4点・最終課題レポート40点)で評価する。



明治大学学部間共通総合講座
2010年度後期(半期)2単位
火曜日4限
駿河台校舎リバティタワー8階1083教室

コーディネーター 
LinkIcon経営学部 遠藤公嗣
連絡先:
endoxkosh@kisc.meiji.ac.jp (アドレスから、xを削除して送信してください)

支援組織(明治大学の特定課題研究ユニット)
LinkIcon明治大学労働教育メディア研究センター

本講座は労働組合や労働弁護団、労働NGO、個人で構成される労働講座企画委員会[代表:高橋 均(労働者福祉中央協議会事務局長)]の寄附による講座です。