お知らせ

・レポート課題

レポート課題:
公共サービスの重要性と労働組合の役割について、論じなさい。ただし、各講師が講義で取り上げたテーマの中から、3つ以上のテーマを素材とし、これを論じなさい。


レポート作成上の注意:
タイトルは「公共サービスの重要性と労働組合の役割」とし、字数は本文3,000字以上とすること。MS word (バージョンは何でもよい)で作成のこと。最初のページ冒頭に、学部・学年・組・番号・学生証番号・名前を明記のこと、これらの記入漏れは採点できない。


提出先・期限:
Oh-o! Meijiシステム内の遠藤公嗣(経営学部)担当「学部間共通講座C(講座名「地方自治体の仕事と労働組合」)」(火曜日4限)の第1回レポートとして提出すること。


提出の期限は7月25日(木)11時である。

・配布資料

授業で使用したレジュメ、資料などはこのサイトからダウンロードできます。「配布資料」のところをクリックして下さい。「このリンクは無効」などと表示されて、うまくダウンロードできない場合は、表示アドレスを再度読み込んでみて下さい。

自治労寄附講座「地方自治体の仕事と労働組合」シラバス(2013年度前期)


4月16日 ガイダンス 

遠藤 公嗣(経営学部教授)  
会田麻里子(自治労本部総合組織局)


この寄附講座の講師の多くは、公共サービスの広範な仕事にたずさわっている現役の職員であり、同時に労働組合の役員でもある。こうした公共サービスという仕事・現場の実情、公共サービスで働くことの意義、自治体政策めぐる諸問題を、最も肌で感じている人々を全国から集め、この講座を構成する。


ガイダンスでは、講座全体の概要として、自治労という労働組合の説明、毎回の講義の進め方、履修上の注意点、成績評価について説明する。また短時間のビデオを上映する予定。


配布資料
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4月23日 自治体労働組合の役割と日常活動

高田邦治(自治労福岡県本部特別執行委員)  


市民にとって一番身近な行政施設であるべき市役所。しかし、用事が無ければ滅多に訪れることもなく、「お役所仕事」などに象徴されるよう、マスコミ情報からでは、決して良いイメージは持てないだろう。それでも職員は求められる役割を果たすため、身を削るような努力もしている。国政・市政の最前線である市役所の日常業務、そこで働く職員の姿や思いをふまえ、労働組合は運動を展開している。労働組合の職場での日常活動や地域での活動を紹介しながら、労働組合の役割について考える。


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4月30日 子育て支援の保育現場での取り組み

普喜美智子(岩国市役所保育士/自治労社会福祉評議会中国地連常任幹事)   


近年、長引く不況、核家族化の進展などから保育所への入所希望者が増加する中、認可保育所に入れない「待機児童」が増え続けている。また、19時以降の保育時間の延長、一時保育や休日保育、病児・病後児保育、家庭や子どもの育ちに特別な配慮を必要とするケース、育児への不安・負担を感じる保護者の増加など、保育ニーズは多様化しつつある。今後の子育て支援に何が必要なのか、何を改善するべきか。現場経験を通しつつ、保育士を組織する労働組合の意義についても考察する。


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5月7日 原発事故と復興支援

瀬戸孝則(福島市長)



東日本大震災、福島原発事故によって世界的にも経験のない課題、矛盾が、次々と明らかになっている。特に、安全神話のもと、原子力災害への対応は無策・無防備に等しく、住民、自治体そして職員も翻弄されている。国の意思決定が自治体を住民から乖離させ、民主主義さえも否定されかねない一方、原発立地町民にとっては、未だ脱原発を唱えることが難しい側面もある。このような中で、自治体機能の回復、住民の生活再建に取り組んでいる自治体の現状を通じ、民主主義、行政、自治体とは何か考える。


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講義の映像


5月14日  医療の危機と看護職員の取り組み

松井龍之介(公立豊岡病院組合豊岡病院看護部・看護師/自治労衛生医療評議会精神保健問題対策PTリーダー) 
社会保障の要である医療が、財源不足、医師・スタッフ不足などにより、崩壊の危機に瀕している。人材の中では特に「看護師不足」が深刻化している。医療を提供するため、看護師は医師と同様、不可欠の存在であるにもかかわらず、この問題が重要視されていない。女性の「なりたい職業」で常に上位となる「看護師」がなぜ不足するのか。医療現場の実態から、看護労働の問題点と今後のあり方を考える。同時に、看護師が生き生きと働き続けられる労働条件・労働環境の改善に取り組んできた労働組合の経験と成果、その役割、今後の課題について考察する。


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5月21日 セーフティネットと地方自治体、生活保護の行政は今

松永奈美子(熊本市北区役所保護課第二係主事/熊本市役所職員組合)


生活保護は、憲法25条で規定されている「生存権」を保障するための根幹をなす制度である。例えば地方の「最低賃金」を決める際は、生活保護費水準を指標とするなど、あらゆる福祉施策の基本であり、様々な社会保障制度とも密接に関連している。しかし、最近、マスコミ報道でもあるように、生活保護の申請を受理されなかった住民が孤独死したり、保護辞退を強要されたなどの事件が生じている。なぜ、このような事態が生じたのか。現場実態を交えて、生活保護行政の今後について、ともに考えたい。


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講義の映像


5月28日 市民と自治体職員の協働が地域を変える

NPO法人丹南市民自治研究センター地域政策研究所所長 伊藤 藤夫



自治体の職員は「公務員」であると同時に、自治体で働く「労働者」、同じ公共サービスを享受する「一市民」という3つの顔がある。市民と行政との協働といえば、市民団体と行政組織という二者による形式的な関係が想定されがちだが、自治体職員は自ら、その二つを内包している存在である。自治労では1950年代から「自治研活動」として、自治体職員が地域や市民と共に活動することを推進している。その実践例として福井の地域活動を紹介する。


配布資料:LinkIcon報告パワーポイント


参考論文
伊藤藤夫「『生涯一労働者』:五〇年の私的労働運動体験記(上)」『労働法律旬報』1780号(2012年11月25日発行)http://www.fair-labor.soc.hit-u.ac.jp/rh-junpo/121125.pdf


伊藤藤夫「『生涯一労働者』:五〇年の私的労働運動体験記(下)」『労働法律旬報』1781号(2012年12月10日発行)http://www.fair-labor.soc.hit-u.ac.jp/rh-junpo/121210.pdf


参考サイト(伊藤藤夫さんの報告映像など)
公開研究会「地域労働運動の50年を振り返る」

6月4日 自治体の不安定雇用労働者・臨時非常勤労働者の現状と労組の活動

本田さとみ(猪名川町留守家庭児童育成室指導員/猪名川町公共サービス合同労組執行委員長)  
現在、自治体には職員の3割以上、全国で60万人にも及ぶ臨時職員・非常勤職員が働いている。正規職員と同様の業務に携わりながら、法的には民間パート労働者以上に不安定な位置付けにあり、かつ低賃金が問題となっている。保育や給食調理、医療、図書館、学童保育など、市民の自立や利便性を支え、生活に不可欠な仕事をしているにもかかわらず、自らが経済的に自立できないという現状をめぐり「官製ワーキングプア」という言葉まで造られている。こうした現場での実態を通じ、業務や労働条件の改善を求める労働組合の役割を考察する。


配布資料:LinkIcon報告パワーポイント1LinkIcon報告パワーポイント2

6月11日 地方自治体の関連職場で働く民間労働者の現状と雇用確保の取り組み

橋本武朋(日建総業㈱第一事業部小菅事業所現場管理者/小菅下水処理場委託職員ユニオン書記長)   



自治労には約7万人の民間労働者が加入している。彼らは自治体の民間委託先の企業や公社・事業団、社会福祉法人などに勤務している。小泉内閣以降、民間化の流れが加速され、自治体関連職場の民間労働者数は大きく増加してきた。しかし、自治体と企業の契約は1年契約であったり、競争入札での契約単価切り下げが人件費に跳ね返りやすいなど、労働者にとって不安定な一面がある。公務員と同様の仕事をしているにもかかわらず、委託先の雇用は不安定で処遇も低い。この現実を通し、労働組合による雇用確保と処遇改善の取り組み、労働組合の必要性について考える。



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講義の映像


6月18日 消防職員の活動と地方自治体の責任

迫大助(福岡県大牟田市消防本部消防士/全国消防職員協議会会長) 



消防職員は市民の安全を守るため、24時間勤務で働いている。現場出動はもちろん、訓練も危険と隣合わせの仕事であり、装備や設備が十分でなければ、職員の安全さえも危うくなる。こうした事態を防ぐには、職員が団結し、現場の声を行政に反映させる必要があるが、日本の消防職員には労働組合を結成する権利(団結権)が認められていない。その現状を打開するために設立された全国消防職員協議会の役割と、消防職の特性から労働組合の必要性を考察する。また、男性社会の中で男女が共に働くことの難しさや意義、消防職を通じて感じた命の大切さを伝える。


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6月25日 平和と地方自治体の役割~米軍基地問題を考える

伊波 洋一(元宜野湾市長) 


「防衛」や「安全保障」は国の専権事項であり、平和を創造するための地方自治体の役割は、限定的なものと一般には理解されている。しかし沖縄の現実を見れば、時として地方自治体が「地域住民の生命と財産を守る」ために、国の防衛政策と相反する判断を行っていることが分かる。沖縄の基地問題、とりわけ宜野湾市の実情や、他の自治体で実践されている平和創造の取り組みなどを紹介しつつ、自治体、そして労働組合としての平和活動の意義を考える。


配布資料:LinkIcon報告資料


参考サイト(伊波洋一さんの報告映像など)
公開研究会「基地のない平和な沖縄を実現するために」

7月2日 環境保護と地方自治体の役割

笹川勝宏(八王子市環境部館清掃事務所/八王子市職員組合副執行委員長) 


大量生産、大量消費、大量廃棄の使い捨ての生活スタイルから、ライフスタイルを見直し、廃棄物の発生抑制(リデュース)、再使用(リユース)を優先する「3R(リサイクルを含む)」の推進に基づく循環型社会をの構築が必要である。


行政による廃棄物処理は、あたりまえのように毎日繰り返されてきているが、今後、継続した環境保全型の廃棄物の適正処理が必要不可欠であるとともに、環境保全・循環型社会、福祉社会など時代の変化に対応しなければならないことをふまえると、廃棄物行政のあり方を真剣に考えていかなければならない。


現場での経験を踏まえ、自治体における廃棄物行政について労働組合の立場から現状と課題を明らかにし、さらに、収集業務の改革を通じて高齢者福祉などとの接点を形成した取り組みの紹介から、市民との関係と行政の役割をともに考えていきたい。


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7月9日 暮らしを支える公的年金の役割

西川和也(日本年金機構 新さっぽろ年金事務所お客様相談室室長補佐/社保労連北海道地本書記次長) 


安心して老後を暮らすために、公的年金は大きな役割を担っている。しかし、最近、世代間の不公平が論じられるとともに、公的年金は払い損というイメージが流布し、国民年金保険料の納付率の低下や制度への未加入問題が惹起してきている。さらに、無年金・低年金者への対策をはじめ、「持続可能な年金制度」をどのように確立していくのかが重要な政策課題にもなり、年金記録問題をふまえた運営体制の再確立も求められている。今講座では、新たな公的年金業務運営組織として2010年に発足した日本年金機構で働く職員の日常的な業務内容を紹介するとともに、年金制度の役割と今後の見通しについて考える。


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7月16日 自治体労働組合の未来〜自治労委員長との対話を通じて

自治労本部中央執行委員長 徳永 秀昭


「失われた20年」「格差社会の深刻化」などの言葉に象徴されるように、日本経済に明るい日が射してこない。労働者の賃金は低く抑えられ、「中間層」と呼ばれる市民層が減少している。世界でも、その不安や不満が爆発し、デモやストライキなどのニュースが駆け回っている。労働組合は職場を改善すると同時に、社会全体の市民生活を底上げする、社会運動としての使命も担っている。そのためには、地域社会に拠点をおく自治労に何ができるのか、労働組合の問題は何か、自治労のトップである徳永委員長との対談も行いながら考える。


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7月23日 働く人のための労働行政、労働組合の役割を考える

山下勇(東京都産業労働局雇用就業部労働環境課労働相談調整係主任/東京都庁職員労働組合書記長)


仕事を探している人、これから仕事に就く人のためのハローワークや職業訓練施設、労働時間・賃金・ワークライフバランスなど、いま働いている人の労働条件を守るための労働基準監督署、労働相談センターなど、働く人のための「労働」行政は多種多様であり、国だけでなく地方自治体も大きな役割を担っている。また、学校卒業者への就職支援や「ブラック企業」対策など、実はこれから働く学生の皆さんにも深い関わりがある。この回では、企業など「労働」の現場で今何が問題になっているのか、政策決定から労使のトラブル解決まで、労働組合がどんな役割を果たしているのか、さらに、これから働く皆さんにとっての「労働組合の使い方」について考えたい。


配布資料:LinkIcon報告パワーポイント


講義の映像

【授業の概要・到達目標】
地方自治体や関連する団体および企業は、住民の健康と福祉を守るための基礎的なサービスを提供し、そのサービスは「セーフティネット」の役割をはたしている。これが公共サービスである。公共サービスを担うのは、地方公務員はもちろん、地方自治体関連の公社や事業団、そして、福祉や医療などに関わる民間労働者である。これらの広範な労働者を組織する労働組合の全国連合体が、全日本自治団体労働組合(自治労)である。自治労組合員は約82万人であり、日本でもっとも大きい労働組合連合体の1つである。


この講座は、自治労の寄附による。この講座では、「セーフティネット」としての公共サービスのさまざまな仕事について、その積極的役割を認識してもらい、そこでの労働の意義について考えてもらう。また、公共サービスを取り巻く諸問題についての解決策や労働組合の意義、とくに、地方自治体など公共サービス関連の労働組合の役割について考えてもらう。


この講座は医療、福祉、環境、雇用などの身近な地域の課題や、市町村や地域社会への市民参加について、考えたり、実践するために有益なものである。また、公務員志望の学生については地方自治体の職場を知る良い機会でもある。受講を期待する学生は全学部にわたって存在するはずなので、学部間共通科目として開講する。実際、前年度までの開講でも、生田キャンパスの学生を含めて、各学部の学生が受講している。


【履修上の注意】
授業に出席すること。質問や議論に積極的に参加すること。


【教科書・参考書】
教科書を使用しない。要点レジメや資料を配布する。適宜、ビデオの上映を行う予定である。


【成績評価の方法】
毎授業時の出席確認の感想文は各4点×15回で計60点、最終課題レポートは40点で評価する。

明治大学学部間共通総合講座
2013年度前期(半期)2単位
火曜日4限
駿河台校舎リバティタワー9階1094教室

コーディネーター 
LinkIcon経営学部 遠藤公嗣
連絡先:
endoxkosh@kisc.meiji.ac.jp (アドレスから、xを削除して送信してください)

支援組織(明治大学の特定課題研究ユニット)
LinkIcon明治大学労働教育メディア研究センター

本講座は自治労の寄附による講座です。
LinkIcon自治労(全日本自治団体労働組合)のサイト