実施・提出期間

締切: 2024/07/10 (水) 13:30 までに, 下記の問題を実施し, 提出してください.

 

注意事項

  • 手書きで計算したものを1つのpdfにまとめて提出してください

    • 紙に直筆したものを写真 or スキャンする場合は, 中身がハッキリ読めることを確認してください

    • タブレット等を用いて電子的に手書きするのもOKです

    • 画像ファイルをそのまま何枚も提出したり, zipにまとめて提出したものは受取不可とします

  • 授業資料の解答を丸写しするのではなく, 授業内容を思い出しながら自分の手で計算するようにしてください

  • 授業直後に復習することはもちろん素晴らしいです!! その後, なるべく数日空けてから再学習として本課題を実施し, 提出することを是非試してみてください.

 

問題

干渉

下図のように平面波が進んできた先に, 2つのスリットがあいた板を置いたとする. 平面波が各スリットを通過すると, 図のように各スリットを波源とするかのような波として考えることができる. これをホイヘンスの原理という.

2slits

ホイヘンスの原理を使うと, 各々のスリットの位置からAsin(krωtϕ) という正弦波が発せられることになる.

すると, 右側に設置されたスクリーン上の波は, 2つのスリットから来る2つの波の重ね合わせとして表現できる. ここで,

  • 波の山と山が重なれば波は増幅され,

  • 逆に, 波の山と谷が重なると相殺して振幅がゼロとなる

という現象が発生する. この現象を波の干渉という.

実際に, 2つのスリットからスクリーン上の位置xへの距離をr1, r2 とする.

また, 2つのスリットの間隔をd, スリットとスクリーンの間隔をL とし, スリット間隔より十分大きいとし, θも十分小さいとする.

2slits-2

  1. 位置xで重ね合わさった波 u(x) を記述せよ

  2. 明点の条件式を導出せよ

  3. スクリーンの間隔L がスリット間隔より十分大きい場合, スクリーン上の明点の条件式を導出せよ

 

回折

下図のように, 幅のあるスリットを通過した波の干渉を考える. スリットの幅を D とする.

diffraction

ホイヘンスの原理を使うと, スリットの位置 D2 から D2 までの微小部分が, それぞれ波を発生させる波源であると考えられる. これらの波の位相と振幅は, 同じ平面波を元としているので共通である.

  1. 振幅の重ね合わせを導出せよ

  2. 振幅が初めて0になる角度 θ0 を導出せよ

  3. θ0 が十分小さい場合のスクリーン上の波の広がりを導出せよ

 

まとめ

  1. 今回の授業内容を100文字以上で自分なりにまとめてください. ただし, 写経のように丸写しすることだけはやめてください.

 

解答

干渉

下図のように平面波が進んできた先に, 2つのスリットがあいた板を置いたとする. 平面波が各スリットを通過すると, 図のように各スリットを波源とするかのような波として考えることができる. これをホイヘンスの原理という.

2slits

ホイヘンスの原理を使うと, 各々のスリットの位置からAsin(krωtϕ) という正弦波が発せられることになる.

すると, 右側に設置されたスクリーン上の波は, 2つのスリットから来る2つの波の重ね合わせとして表現できる. ここで,

  • 波の山と山が重なれば波は増幅され,

  • 逆に, 波の山と谷が重なると相殺して振幅がゼロとなる

という現象が発生する. この現象を波の干渉という.

実際に, 2つのスリットからスクリーン上の位置xへの距離をr1, r2 とする.

また, 2つのスリットの間隔をd, スリットとスクリーンの間隔をL とし, スリット間隔より十分大きいとし, θも十分小さいとする.

2slits-2

 

位置xで重ね合わさった波 u(x) を記述せよ

平面波が2つのスリット s1,s2 に到達した時点での位相 ϕ は等しいので, 位置xで重ね合わさった波 u(x)

(1)u(x)=Asin(kr1ωtϕ)+Asin(kr2ωtϕ)=2Asin(kr1ωtϕ)+(kr2ωtϕ)2cos(kr1ωtϕ)(kr2ωtϕ)2      (  :sinx+siny=2sinx+y2cosxy2)=2Asin(k(r1+r2)2ωtϕ)cosk2(r1r2)=2Acosk2(r1r2)sin(k(r1+r2)2ωtϕ)

となる.

明点の条件式を導出せよ

ここで, sinの部分は時刻tを含んでいるため, 時々刻々変化する箇所である.

一方, cosk2(r1r2) の部分は, 時刻によらず, スクリーン上の位置 (2つのスリットからの距離) のみによって決定される振幅部分を意味する. したがって,

  • cosk2(r1r2)=0 : 振幅が0. すなわち, 波の干渉により光が消える (暗くなる).

  • cosk2(r1r2)=±1 : 振幅が最大. すなわち, 波の干渉により光が最も大きく振動する (明るくなる).

ということを示している. すなわち, スクリーン上に明暗明暗明暗...という縞模様ができる.

 

すると, 明るくなる位置においては,

(2)cosk2(r1r2)=±1  k2(r1r2)=mπ      (  m)  r1r2=m2πk=mλ      (  k=2πλ)

となる. すなわち, 2つのスリットから出た光路差 r1r2 が波長λの整数倍となる時, 山と山が重なり合って波が強め合うということを示す.

スクリーンの間隔L がスリット間隔より十分大きい場合, スクリーン上の明点の条件式を導出せよ

光路差 r1r2

r1r2dsinθdtanθ      (  |θ|1sinθθtanθ)=dxL      (  tanθ=xL)  mλdxL    xmLλd

となる. したがって, スクリーン上に等Lλd 間隔で明るくなるような縞模様ができることがわかる.

 

回折

下図のように, 幅のあるスリットを通過した波の干渉を考える. スリットの幅を D とする.

diffraction

ホイヘンスの原理を使うと, スリットの位置 D2 から D2 までの微小部分が, それぞれ波を発生させる波源であると考えられる. これらの波の位相と振幅は, 同じ平面波を元としているので共通である.

振幅の重ね合わせを導出せよ

スリット内の位置 x から出た波の光路差は xsinθ なので, スリット内の各位置からAsin(k(rxsinθ)ωtϕ) という正弦波が発せられる.

θ 方向に進む波は, この光路差を持つ波の重ね合わせなので, スクリーン上での波の振幅は

()=D2D2Asin(k(rxsinθ)ωtϕ)dx=D2D2Asin(krωtϕkxsinθ)dx   sin:sin(xy)=sinxcosycosxsiny=AD2D2(sin(krωtϕ)cos(kxsinθ)cos(krωtϕ)sin(kxsinθ))dx=Asin(krωtϕ)D2D2cos(kxsinθ)dxAcos(krωtϕ)D2D2sin(kxsinθ)dx   sin(kxsinθ)D2D20=Asin(krωtϕ)D2D2cos(kxsinθ)dx=Asin(krωtϕ)[sin(kxsinθ)ksinθ]D2D2(3)=Asin(krωtϕ)2sin(Dk2sinθ)ksinθ

となる.

振幅が初めて0になる角度 θ0 を導出せよ

(3) で, 振幅が初めて0になるのは, θ 依存性部分 2sin(Dk2sinθ)ksinθ の分子が0になる場合なので,

(4)Dk2sinθ=π

の場合である. この場合の角度が θ0 である.

θ0 が十分小さい場合のスクリーン上の波の広がりを導出せよ

θ0 が十分小さいとすると, 式 (4)

(5)θ0=arcsin(2πDk)2πDk=λD

となる. この |θ|<θ0 の範囲がスクリーン上最も波の振幅が大きい部分となる.

一方, 距離 L だけ離れたスクリーン上の座標 x と角度 θ との関係は tanθ=xL であることを用いれば, 波の振幅の大きい部分は

|θ|<θ0  θ0tanθθ  |xL|<λD  |x|<LλD

の範囲となる. したがって, 幅 D のスリットを通過した波が広がっていき, スクリーンに到達した際には, LλD にまで広がることを示している. この現象を回折と呼ぶ.

(5) θ0=λD のように, 回折する際の角度 θ0 は, 波の波長 λ が スリット幅 D よりも大きいほど, より大きな角度となって広がって行くことがわかる.