実施・提出期間

締切: 2024/07/03 (水) 13:30 までに, 下記の問題を実施し, 提出してください.

 

注意事項

  • 手書きで計算したものを1つのpdfにまとめて提出してください

    • 紙に直筆したものを写真 or スキャンする場合は, 中身がハッキリ読めることを確認してください

    • タブレット等を用いて電子的に手書きするのもOKです

    • 画像ファイルをそのまま何枚も提出したり, zipにまとめて提出したものは受取不可とします

  • 授業資料の解答を丸写しするのではなく, 授業内容を思い出しながら自分の手で計算するようにしてください

  • 授業直後に復習することはもちろん素晴らしいです!! その後, なるべく数日空けてから再学習として本課題を実施し, 提出することを是非試してみてください.

 

問題

電磁波

電場 E, 磁場 (正確には磁束密度) B が位置と時刻によって変化し伝搬されていく電磁波を

E(x,y,z,t)=(Ex(x,y,z,t),Ey(x,y,z,t),Ez(x,y,z,t))B(x,y,z,t)=(Bx(x,y,z,t),By(x,y,z,t),Bz(x,y,z,t))

という多変数関数で表すとする.

また, 電磁気学の基本方程式としてMaxwell方程式 :

divE=ρϵ0divB=0rotE=BtrotB=ϵ0μ0Et+μ0j

があるとする. ϵ0, μ0 は真空の誘電率と透磁率, ρ は電荷密度, j は電流密度.

この時, 電荷, 電流もない真空の空間の中を電磁波が平面波としてx方向に伝わっていく場合を考える.

 

  1. 真空中における電荷密度, 電流密度の値を答えよ

  2. x 方向に進行する平面波において, Maxwell方程式を各成分で表わせ

  3. 電磁波の一般解を導出せよ

ただし, 以下の関係式を使って良いものとする.

Ey=E0sin(kxωtϕ),  B0kωE0Ez=E0sin(kxωtϕ),  B0kωE0
  1. E0=0, B0=0 の場合, どのような電磁波になるか説明せよ

  2. E0=E0, B0=B0, ϕ=ϕ の場合, どのような電磁波になるか説明せよ

  3. E0=E0, B0=B0, ϕπ2=ϕ の場合, どのような電磁波になるか説明せよ

 

まとめ

  1. 今回の授業内容を100文字以上で自分なりにまとめてください. ただし, 写経のように丸写しすることだけはやめてください.

 

解答

電磁波の一般解

電場 E, 磁場 (正確には磁束密度) B が位置と時刻によって変化し伝搬されていく電磁波を

E(x,y,z,t)=(Ex(x,y,z,t),Ey(x,y,z,t),Ez(x,y,z,t))B(x,y,z,t)=(Bx(x,y,z,t),By(x,y,z,t),Bz(x,y,z,t))

という多変数関数で表すとする.

また, 電磁気学の基本方程式としてMaxwell方程式 :

divE=ρϵ0divB=0rotE=BtrotB=ϵ0μ0Et+μ0j

があるとする. ϵ0, μ0 は真空の誘電率と透磁率, ρ は電荷密度, j は電流密度.

この時, 電荷, 電流もない真空の空間の中を電磁波が平面波としてx方向に伝わっていく場合を考える.

真空中における電荷密度, 電流密度の値を答えよ

電荷, 電流が存在しないため, 電荷密度, 電流密度は

ρ=0,    j=0

となる.

x 方向に進行する平面波において, Maxwell方程式を各成分で表わせ

x 方向に進行する平面波を考えているので, 電場, 磁場は位置 x と時刻 t のみに依存する関数となるため,

E(x,t)=(Ex(x,t),Ey(x,t),Ez(x,t))B(x,t)=(Bx(x,t),By(x,t),Bz(x,t))

と書くことができる. これらを実際にMaxwell方程式に代入すると

divE=0ϵ0  E=0  (x,y,z)(Ex(x,t),Ey(x,t),Ez(x,t))=0  xEx(x,t)+yEy(x,t)+zEz(x,t)=0    xEx(x,t)=0divB=0  xBx(x,t)+yBy(x,t)+zBz(x,t)=0    xBx(x,t)=0rotE+Bt=0  ×E+Bt=0  (EzyEyz, ExzEzx, EyxExy)+(Bxt,Byt,Bzt)=0  (00, 0Ezx, Eyx0)+(Bxt,Byt,Bzt)=0    (Bxt, Ezx+Byt, Eyx+Bzt)=0rotBϵ0μ0Et=μ00  (BzyByz, BxzBzx, ByxBxy)ϵ0μ0(Ext,Eyt,Ezt)=0  (00, 0Bzx, Byx0)ϵ0μ0(Ext,Eyt,Ezt)=0    (ϵ0μ0Ext, Bzxϵ0μ0Eyt, Byxϵ0μ0Ezt)=0

となるので, まとめると,

(1)Exx=0(2)Bxx=0(3)(Bxt, Ezx+Byt, Eyx+Bzt)=0(4)(ϵ0μ0Ext, Bzxϵ0μ0Eyt, Byxϵ0μ0Ezt)=0

となる.

電磁波の一般解を導出せよ

ただし, 以下の関係式を使って良いものとする.

Ey=E0sin(kxωtϕ),  B0kωE0Ez=E0sin(kxωtϕ),  B0kωE0

(1), (2) 式をそれぞれxで積分すると

Ex(x,t)=C(t)Bx(x,t)=C(t)

となる. ただし, これはx方向に一様な電場, 磁場があるという解であり, 電磁波の伝搬を考える際には無関係なので, C=C=0 と置いて

Ex(x,t)=0Bx(x,t)=0

とする. これにより, (3),(4)x成分

Bxt=0Ext=0

となる.

次に, (3)z成分を x で偏微分, (4)y成分を t で偏微分すると

x(Eyx+Bzt)=0t(Bzxϵ0μ0Eyt)=0    2Eyx2ϵ0μ02Eyt2=0    2Eyt2=1ϵ0μ02Eyx2

となり, 波動方程式の形となった.

波動方程式 2ut2=v22ux2v に相当する部分は

v=1ϵ0μ0=114π×8.988×109[C2Nm2]4π×107[Ns2C2]=8.988×1016[m2/s2]=2.997×108[m/s]=c

となり, 真空の光速度 c に対応する.

今, x軸方向に進む平面波を考えているので, 1次元の進行波解がそのまま適用できて

(5)Ey=E0sin(kxωtϕ)

となる. これを (3)z成分に代入すると

Eyx+Bzt=0  xE0sin(kxωtϕ)+Bzt=0  E0kcos(kxωtϕ)+Bzt=0  Bztdt=E0kcos(kxωtϕ)dt  Bz=E0k1ωsin(kxωtϕ)dt(6)  Bz=B0sin(kxωtϕ)dt      (  B0kωE0)

この Ey (5) , Bz(6) は1つのペアになっており, 横波として伝搬していく.

 

同様に, (3)y成分を x で偏微分, (4)z成分を t で偏微分すると

x(Ezx+Byt)=0t(Byxϵ0μ0Ezt)=0    2Ezx2+ϵ0μ02Ezt2=0    2Ezt2=1ϵ0μ02Ezx2

今, x軸方向に進む平面波を考えているので, 1次元の進行波解がそのまま適用できて

(7)Ez=E0sin(kxωtϕ)

となる. これを (3)y成分に代入すると

Ezx+Byt=0  xE0sin(kxωtϕ)+Byt=0  E0kcos(kxωtϕ)+Byt=0  Bytdt=E0kcos(kxωtϕ)dt  By=E0k1ωsin(kxωtϕ)dt(8)  By=B0sin(kxωtϕ)dt      (  B0kωE0)

となる.

この Ez (7) , By(8) は1つのペアになっており Ey (5) , Bz(6)x 軸に-90度回転させた形式になっている. 実際, 下図のような横波として伝搬していく.

 

以上から, 電磁波の一般解はそれぞれを重ね合わせた

E=(Ex, Ey, Ez)(9)=(0, E0sin(kxωtϕ), E0sin(kxωtϕ))B=(Bx, By, Bz)(10)=(0, B0sin(kxωtϕ), B0sin(kxωtϕ))

となる.

E0=0, B0=0 の場合, どのような電磁波になるか説明せよ

E0=0, B0=0 の場合, 電磁波はどのような波になるか説明せよ

電磁波の一般解 (9),(10)

E=(0, E0sin(kxωtϕ), E0sin(kxωtϕ))B=(0, B0sin(kxωtϕ), B0sin(kxωtϕ))

において,

  • E0=0, B0=0 の場合, Ey軸に平行, Bz軸に平行な解 (Ey, Bz のペア)

  • E0=0, B0=0 の場合, Ez軸に平行, By軸に平行な解 (Ez, By のペア)

となる. このように, 電場, 磁場が一方向のみに偏っている場合の電磁波を直線偏光という. 偏光板を通した光はこの直線偏光となる.

E0=E0, B0=B0, ϕ=ϕ の場合, どのような電磁波になるか説明せよ

  • E0=E0, B0=B0, ϕ=ϕ の場合, E(0,1,1)方向, B(0,1,1)方向

E=(0, E0sin(kxωtϕ), E0sin(kxωtϕ))=E0sin(kxωtϕ) (0, 1, 1)B=(0, B0sin(kxωtϕ), B0sin(kxωtϕ))=B0sin(kxωtϕ) (0, 1, 1)

を向き, これも直線偏光となる.

 

E0=E0, B0=B0, ϕπ2=ϕ の場合, どのような電磁波になるか説明せよ

  • E0=E0, B0=B0, ϕ0π2=ϕ0 の場合

においては

E=(0, E0sin(kxωtϕ), E0sin(kxωtϕ+π2))=(0, E0sin(kxωtϕ), E0cos(kxωtϕ))B=(0, B0sin(kxωtϕ+π2), B0sin(kxωtϕ))=(0, B0cos(kxωtϕ), B0sin(kxωtϕ))

となり, 1方向を向いたベクトルではなくなる. これは, ベクトル E が大きさ一定のままで, 時間, 空間的に yz 平面内で回転する. また, ベクトル BE と垂直を保ちながら, 大きさ一定のままで, 時間, 空間的に yz 平面内で回転する.

このような電磁波を円偏光という.