出席アンケートに関するお願い

出席アンケートはなるべく早めに出してもらえると嬉しいです!! (コメントへの返答を準備する都合で, 次回の前日 (2024-07-02 12:00) までにもらえないと反映が間に合わない可能性が高いためです)

 

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波における向き?みたいなのが理解するのにかなり時間がかかった。平面波という言葉が自分にはしっくり来なくてわからなかった。

位相一定の波面が平面の形状をしているので, 平面波と呼びます. どの辺りがしっくり来なかったかをもう少し教えていただければ, 何かお伝えできるかもしれません.

 

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波を3次元に拡張した時、x軸を特別視しない時のみ適用できるというところがあまり理解できない。

平面波が進むという現象を物理的に解析するとします. ・この際, 平面波が進む方向にx軸を設定する手法が, 前回の「x軸方向」という例です. x軸に意味を持たせているため「x軸を特別視」しています. ・一方, 平面波が進む方向と無関係にx,y,z軸を設定する手法が, 前回の「任意の方向」という例です. x,y,z 軸のそれぞれは, 平面波が進む方向とは無関係に設定しているので, 「x軸を特別視」していません. 実際, 波動方程式 (3次元) の式 2ut2=v2(2ux2+2uy2+2uz2)x,y,zに偏りがない式となっています.

 

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球面波の一般式を導入する部分の最後、rv + rv の形なのに2rvにならないのがいまいちよくわかっていないのでできれば説明お願いしたいです。

rv というのは球面波の導出 (?) する際の話でしょうか? rv という項はないように思うので, ru の読み違いですかね...? rv+rvという形, というのがどこかわからず, 今回はお答えできません. どの部分がわからなかったかの詳細をもう少し教えていただけますか?

 

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Maxwell方程式の考え方がいまいち理解が出来なかった。

Maxwell方程式の文字が何を表しているのかが分かりにくかったです

マクスウェル方程式がどんなものなのかいまいち分からなかった。

微分方程式の変形で分からないところがあった。

イメージが難しかったです?

追いつけていない。

 

電磁波

一般解

Maxwell方程式

3次元の波の例として電磁波を取り上げる.

電磁波とは, 電場 E, 磁場 (正確には磁束密度) B が位置と時刻によって変化し伝搬されていく波なので,

E(x,y,z,t)=(Ex(x,y,z,t), Ey(x,y,z,t), Ez(x,y,z,t))B(x,y,z,t)=(Bx(x,y,z,t), By(x,y,z,t), Bz(x,y,z,t))

という多変数関数で表される. E,B はそれぞれ3成分ベクトルである.

時刻 t も含めた4次元ベクトルとして場を扱うこともある.

電磁気学の基本方程式としてMaxwell方程式がある :

divE=ρϵ0divB=0rotE=BtrotB=ϵ0μ0Et+μ0j

ϵ0, μ0 は真空の誘電率と透磁率, ρ は電荷密度, j は電流密度.

 

電荷, 電流もない真空中を電磁波が平面波としてx方向に伝わっていく場合を考える. 電荷, 電流が存在しないため, 電荷密度, 電流密度は

ρ=0,    j=0

となる. また, x 方向に進行する平面波を考えているので, 電場, 磁場は位置 x と時刻 t のみに依存する関数となるため,

E(x,t)=(Ex(x,t), Ey(x,t), Ez(x,t))B(x,t)=(Bx(x,t), By(x,t), Bz(x,t))

と書くことができる. この各 Ex, , Bz の中身を詳しく見ていこう.

実際にこれらをMaxwell方程式に代入すると

divE=0ϵ0  E=0  (x,y,z)(Ex(x,t),Ey(x,t),Ez(x,t))=0  xEx(x,t)+yEy(x,t)+zEz(x,t)=0    xEx(x,t)=0
divB=0  xBx(x,t)+yBy(x,t)+zBz(x,t)=0    xBx(x,t)=0
rotE+Bt=0  ×E+Bt=0(exeyezxyzExEyEz)+Bt=0  (EzyEyz, ExzEzx, EyxExy)+(Bxt,Byt,Bzt)=0  (00, 0Ezx, Eyx0)+(Bxt,Byt,Bzt)=0    (Bxt, Ezx+Byt, Eyx+Bzt)=0
rotBϵ0μ0Et=μ00  (BzyByz, BxzBzx, ByxBxy)ϵ0μ0(Ext,Eyt,Ezt)=0  (00, 0Bzx, Byx0)ϵ0μ0(Ext,Eyt,Ezt)=0    (ϵ0μ0Ext, Bzxϵ0μ0Eyt, Byxϵ0μ0Ezt)=0

となるので, まとめると,

(1)Exx=0(2)Bxx=0(3)(Bxt, Ezx+Byt, Eyx+Bzt)=0(4)(ϵ0μ0Ext, Bzxϵ0μ0Eyt, Byxϵ0μ0Ezt)=0

となる.

ここから Ex, , Bz の中身を具体的に求めていく.

 

Ex, Bx

(1), (2) 式をそれぞれxで積分すると

Ex(x,t)=C(t)Bx(x,t)=C(t)

となる. ただし, これはx方向に一様な電場, 磁場があるという解であり, 電磁波の伝搬を考える際には無関係なので, C=C=0 と置いて

Ex(x,t)=0Bx(x,t)=0

とする. これにより, (3),(4)x成分

Bxt=0Ext=0

となる.

Ey, Bz

次に, (3)z成分 Eyx+Bzt=0 , (4)y成分 Bzxϵ0μ0Eyt=0 に着目すると, どちらもEy, Bzを共通して含んでいる. そこで, Ey, Bzを求めるためには, (3)z成分を x で偏微分, (4)y成分を t で偏微分すると 2Bztx という共通項を相殺できるため,

x(Eyx+Bzt)=0t(Bzxϵ0μ0Eyt)=0    2Eyx2ϵ0μ02Eyt2=0    2Eyt2=1ϵ0μ02Eyx2

となり, 波動方程式の形となった.

波動方程式 2ut2=v22ux2v に相当する部分は

v=1ϵ0μ0=114π×8.988×109[C2Nm2]4π×107[Ns2C2]=8.988×1016[m2/s2]=2.997×108[m/s]=c

となり, 真空の光速度 c に対応する.

今, x軸方向に進む平面波を考えているので, 1次元の進行波解がそのまま適用できて

(5)Ey=E0sin(kxωtϕ)

となる. これを (3)z成分に代入すると

Eyx+Bzt=0  xE0sin(kxωtϕ)+Bzt=0  E0kcos(kxωtϕ)+Bzt=0  Bztdt=E0kcos(kxωtϕ)dt  Bz=E0k1ωsin(kxωtϕ)(6)  Bz=B0sin(kxωtϕ)      (  B0kωE0)

この Ey (5) , Bz(6) は1つのペアになっており, 下図のような横波として伝搬していく.

EyBzEy, Bz
animation_Ey.movanimation_Bz.movanimation_Ey-Bz.mov

Ez, By

同様に, (3)y成分 Ezx+Byt=0 , (4)z成分 Byxϵ0μ0Ezt=0 に着目すると, どちらもEz, Byを共通して含んでいる. そこで, Ez, Byを求めるためには (3)y成分を x で偏微分, (4)z成分を t で偏微分すると 2Bytx という共通項を相殺できるため,

x(Ezx+Byt)=0t(Byxϵ0μ0Ezt)=0    2Ezx2+ϵ0μ02Ezt2=0    2Ezt2=1ϵ0μ02Ezx2

今, x軸方向に進む平面波を考えているので, 1次元の進行波解がそのまま適用できて

(7)Ez=E0sin(kxωtϕ)

となる. これを (3)y成分に代入すると

Ezx+Byt=0  xE0sin(kxωtϕ)+Byt=0  E0kcos(kxωtϕ)+Byt=0  Bytdt=E0kcos(kxωtϕ)dt  By=E0k1ωsin(kxωtϕ)(8)  By=B0sin(kxωtϕ)      (  B0kωE0)

となる.

この Ez (7) , By(8) は1つのペアになっており Ey (5) , Bz(6)x 軸に-90度回転させた形式になっている. 実際, 下図のような横波として伝搬していく.

EzByEz, By
animation_Ez.movanimation_By.movanimation_Ez-By.mov

 

以上から, 電磁波の一般解はそれぞれを重ね合わせた

E=(Ex, Ey, Ez)(9)=(0, E0sin(kxωtϕ), E0sin(kxωtϕ))B=(Bx, By, Bz)(10)=(0, B0sin(kxωtϕ), B0sin(kxωtϕ))

となる.

偏光

直線偏光

電磁波の一般解 (9),(10)

E=(0, E0sin(kxωtϕ), E0sin(kxωtϕ))B=(0, B0sin(kxωtϕ), B0sin(kxωtϕ))

において,

  • E0=0, B0=0 の場合, Ey軸に平行, Bz軸に平行な解 (Ey, Bz のペア)

  • E0=0, B0=0 の場合, Ez軸に平行, By軸に平行な解 (Ez, By のペア)

となる. このように, 電場, 磁場が一方向のみに偏っている場合の電磁波を直線偏光という. 偏光板を通した光はこの直線偏光となる.

また,

  • E0=E0, B0=B0, ϕ=ϕ の場合, E(0,1,1)方向, B(0,1,1)方向

E=(0, E0sin(kxωtϕ), E0sin(kxωtϕ))=E0sin(kxωtϕ) (0, 1, 1)B=(0, B0sin(kxωtϕ), B0sin(kxωtϕ))=B0sin(kxωtϕ) (0, 1, 1)

を向き, これも直線偏光となる.

EBE,B
animation_EyEz_line.movanimation_ByBz_line.movanimation_E-B_line.mov

 

円偏光

一方,

  • E0=E0, B0=B0, ϕπ2=ϕ の場合

においては

E=(0, E0sin(kxωtϕ), E0sin(kxωtϕ+π2))=(0, E0sin(kxωtϕ), E0cos(kxωtϕ))B=(0, B0sin(kxωtϕ+π2), B0sin(kxωtϕ))=(0, B0cos(kxωtϕ), B0sin(kxωtϕ))

となり, 1方向のみに向いたベクトルではなくなる. これは, ベクトル E が大きさ一定のままで, 時間, 空間的に yz 平面内で回転する. また, ベクトル BE と垂直を保ちながら, 大きさ一定のままで, 時間, 空間的に yz 平面内で回転する.

このような電磁波を円偏光という.

EBE,B
animation_EyEz_circle.movanimation_ByBz_circle.movanimation_E-B_circle.mov

なお, E0=E0, B0=B0, ϕ+π2=ϕ の場合とした場合は回転の向きが逆になる.

EBE,B
animation_EyEz_circle2.movanimation_ByBz_circle2.movanimation_E-B_circle2.mov

 

一般に, E0E0, B0B0 の場合は楕円偏光となる.

 

平面波の反射と屈折

導入

3次元の波の反射・屈折で最も基本的なものは, 媒質の境界面が平面で, そこに平面波が入射する場合である. 下図のように, ・媒質1の中をPO方向に進む平面波 (入射波) が境界面 XX に到達すると, ・境界面から媒質2の中へ進む平面波 (屈折波) と ・境界面から媒質1の中へ引き返す平面波 (反射波) が現れる.

flat_refr-refl

入射波 (incidence), 屈折波 (refraction), 反射波 (reflection) の進む方向と境界面の法線とのなす角をそれぞれ θi,θr,θr と書くことにすると, 経験的に次のような関係が成り立つことが知られている.

反射, 屈折についての関係性 (a) 入射波・屈折波・反射波の進む方向境界面の法線 は全て同一面内にある. (b) θi=θr : 入射角と反射角は等しい (c) sinθisinθr=n21= : (光の屈折における) スネルの法則. 他の波でも成立.

  • n21 は媒質1に対する媒質2の屈折率. 光の場合, 媒質1を真空とした時の n21 を媒質2の屈折率と呼ぶことが多い.

名称波長589nmの光に対する屈折率
真空1
空気1.0002926
1.33
サラダ油約1.47
耐熱ガラス約1.47
アクリル樹脂約1.49

→ サラダ油に耐熱ガラスを浸すと耐熱ガラスが見えなくなる.

 

反射・屈折の法則の導出

この反射・屈折の法則を波動方程式の境界条件から考えてみる. 入射波を

(11):ui=Aisin(ωtkir)

とすると, 反射波, 屈折波の振動数は入射波の振動数と同じとなるため, 反射波 ur , 屈折波 ur はそれぞれ

(12):ur=Arsin(ωtkrr)(13):ur=Arsin(ωtkrr)

によって表すことができる.

座標は下図 (a) のように媒質の境界面が xy 面に, また入射波の波数ベクトル kixz 面になるようにとっておく.

r については上式 (11),(12),(13) においては空間上の任意の点を示していたが, 以降では xy 面 (境界面) 上の点を考えるため, 下図 (a) でも xy 面内に描画している.

ref-refl_3d2d

波の変位 u は境界面上ではどちらの媒質中の波について考えても等しくならなければならない. 媒質1の中で u は入射波と反射波の重ね合わせ ui+ur で与えられるから, 境界面上では

ui+ur=ur

となる. ゆえに各波の式 (11),(12),(13) から, 境界面上のあらゆる点で,

Aisin(ωtkir)+Arsin(ωtkrr)=Arsin(ωtkrr)

が成立しなくてはならない. この時の r は境界面上を考えているため, xy 面上の点を指す.

上式の各正弦波は, ()×() というものである. したがって, 上式が任意の時刻, 任意の場所で成立するためには, (振幅を正に限れば) その時刻位置が含まれる位相部分が, 3つの正弦波それぞれにおいて, 常 (任意の時刻)境界面上のいたる所 (任意の場所) で等しくなくてはならない.

すなわち, 各正弦波の位相が揃った変化 :

ωtkir=ωtkrr=ωtkrr

が成立する必要がある.

正確には, 位相が π だけずれている場合も考えてよい. その場合は正弦波の符号の正負が逆になるので, 任意定数である振幅を負の値に取って都合を合わせれば良い.

これを整理すると,

(14)kir=krr=krr

となる. この式は, 上図 (a) で示したように, 境界面 (xy 面) 内に含まれるときに成立する関係式である. そのため, x,y,z 軸の正の向きの単位ベクトルを ex,ey,ez とすれば, 位置ベクトル r

r=xex+yey+0ez=xex+yey

と書ける. また, kiy 成分が現れないように座標をとったから,

ki=kixex+kizez

となる. しかし, kr,krはどの方向を向くかわからないから, 一応

kr=krxex+kryey+krzezkr=krxex+kryey+krzez

とおいて, 式 (14) kir=krr=krr を成分で書いてみると

kir=(kixex+kizez)(xex+yey)=kixxkrr=(krxex+kryey+krzez)(xex+yey)=krxx+kryykrr=(krxex+kryey+krzez)(xex+yey)=krxx+kryy

であることから,

kir=krr=krrkixx=krxx+kryy=krxx+kryy

となる.

この関係が x,y の値に依らずに成立するためには, その の係数部分が一致するという :

(15)kix=krx=krx(16)0=kry=kry

の2式が共に成立する必要がある.

 

(16) より, 反射波, 屈折波の進行ベクトルの y 成分が 0 となっているため, 反射波, 屈折波の進む方向は xz 面内にあることがわかる.

これは, 反射・屈折の関係性 (a) : (a) 入射波・屈折波・反射波の進む方向境界面の法線 は全て同一面内にある. に対応する.

 

一方、媒質1, 2の中の波の速さをそれぞれ c1,c2 とすると, 波数, 角振動数, 速さの間には

(17)ki=|ki|=ωc1(18)kr=|kr|=ωc1(19)kr=|kr|=ωc2

の関係があるから, 反射波は境界面から媒質1の中に進むものであることを考慮して上図 (b) (同じ図を下に再掲):

ref-refl_3d2d_b

のように入射角 θi , 反射角 θr, 屈折角 θr をとれば, 式 (15) kix=krx=krx

kix=krx=krxkisinθi=krsinθr=krsinθr

となる. (17),(18),(19) を代入すれば,

ωc1sinθi=ωc1sinθr=ωc2sinθrsinθic1=sinθrc1=sinθrc2

となる.

このことから

θi=θr(20)sinθisinθr=c1c2=

が導出できる.

これは前項でやった関係性 : (b)入射角と反射角は等しい (c) (光の屈折における) スネルの法則 に対応する.

以上より, (a), (b), (c) との対応を確認できたため, 反射・屈折の法則の成立が導出できた.


媒質1の誘電率と透磁率を ϵ1, μ1, 媒質2の誘電率と透磁率を ϵ2, μ2 とすれば, 各々の光速度 c1, c2

c1=1ϵ1μ1, c2=1ϵ2μ2

と書ける. したがって, スネルの法則の式 (20)

sinθisinθr=c1c2=1ϵ1μ11ϵ2μ2=ϵ2μ2ϵ1μ1

となる.

特に, 媒質1を真空とした場合, 真空の誘電率ϵ0 と透磁率 μ0 , 光速 c より

(21)sinθisinθr=cc2=ϵ2μ2ϵ0μ0n2

となる. このように「真空中の光速と媒質中の光速との比」として定義されるものが屈折率 (n2) である.

実際, 絶縁体に電磁波 (光) が入ると, 電場によって物質中の原子分子が分極する. その分極の効果によって誘電率が真空中での値 ϵ0 から変更されて ϵ に変わる. 同様に, 透磁率も真空中での値 μ0 から変更されて μ に変わる.

この結果, 上式 (21) のように,

cc2=1ϵ2μ2=ϵ0μ0ϵ2μ2 c=1n2c

となり, 媒質中では光の伝播速度が真空中の光速からずれる. 実際, 真空中の光速よりも媒質中の光速の方が遅くなるため, 媒質中の屈折率は1より大きくなる.

 

同様に, 媒質1を真空, 媒質2を媒質1に置き換えると

sinθisinθr=cc1=ϵ1μ1ϵ0μ0n1

となることから, 元々の媒質1, 媒質2の組み合わせの場合は

(22)sinθisinθr=c1c2=c1ccc2=n2n1n21

となる.

 

光の分散

雨上がりの空において, 太陽の反対側に虹がかかることがある. 日本では虹の色は赤, 橙, 黄, 緑, 青, 藍, 紫の7色とされている. これは, 太陽の白色光が空気中の水滴によって屈折されて7色に分かれるという現象が発生する.

このように, 白色光が複数の色の光に分かれることを光の分散と呼ぶ.

これは, 実際の物質の分散が入射波の振動数 ω によって変化する, すなわち, 誘電率 ϵ は実際には, ϵ(ω) のように振動数 ω の関数であるということに由来している.

水やガラスの場合, 可視光付近の ω においては, 振動数 ω が大きいほど, 誘電率 ϵ(ω) は大きくなる. したがって, 物質中の光速 c は, c=1ϵμ なので, 振動数 ω が大きいほど, 小さくなり, 屈折率 n は, n=cc なので, 振動数 ω が大きいほど, 大きくなる.

実際, 20℃の水の振動数と屈折率の関係が下表である.

波長 [nm]振動数 [THz]屈折率
656.3456.81.3311
589.3508.71.3330
黄緑546.1549.01.3345
4057401.343

このことにより, 同じ入射角で入射したとしても, 含まれる色によって屈折角が変わり, 光の分散が発生する.

 

内部全反射

入射角, 屈折角と屈折率の関係は, 式 (22) で見たように,

sinθisinθr=n2n1sinθr=n1n2sinθi

となる. したがって, 入射角が大きいほど, 屈折角は大きくなる.

しかし, 入射角にも限界が有り, それがθi=π2sinθi=1 の場合である. この場合, 上式は

sinθr=n1n2

となる. この場合の角度θr臨界角と呼ぶ.

実際, 屈折角である θr がこの臨界角よりも大きい場合, それを満たす入射角 θi は存在しない.

そこで, 入射する向きを入れ替えて, 媒質2から媒質1に向かって光を送る場合を考えると, その場合の入射角が上記の臨界角よりも大きくなった場合, 媒質1に抜け出ることができなくなり, 全て媒質2の中に反射する. これを内部全反射と呼ぶ.

これは, 実際には

  • プール等の水中から上を見上げた際に, 真上から一定の範囲の角度の円までは空が見えるが, その外側では水の外が見えなくなる

  • 逃げ水

    • 「アスファルト等で熱せられた熱い空気の層 (密度薄)」と「その上の冷たい空気の層 (密度濃い」と間で屈折率が僅かに異なる

    • 遠方からその中間の界面を眺めると, 内部全反射し, 水たまりのように見える

などの例がある.