実施・提出期間

締切: 2024/06/19 (水) 13:30 までに, 下記の問題を実施し, 提出してください.

 

注意事項

  • 手書きで計算したものを1つのpdfにまとめて提出してください

    • 紙に直筆したものを写真 or スキャンする場合は, 中身がハッキリ読めることを確認してください

    • タブレット等を用いて電子的に手書きするのもOKです

    • 画像ファイルをそのまま何枚も提出したり, zipにまとめて提出したものは受取不可とします

  • 授業資料の解答を丸写しするのではなく, 授業内容を思い出しながら自分の手で計算するようにしてください

  • 授業直後に復習することはもちろん素晴らしいです!! その後, なるべく数日空けてから再学習として本課題を実施し, 提出することを是非試してみてください.

 

問題

位相速度, 群速度

波長・周期の異なる2つの進行波 (正弦波) が重なり合う場合を考える. それぞれの進行波 (正弦波) を波数 k1, k2 , 角振動数 ω1, ω2 , 初期位相 ϕ1,ϕ2 を用いて表すと

(1)u1(x,t)=A1sin(k1xω1tϕ1)u2(x,t)=A2sin(k2xω2tϕ2)

となる. 簡単のために, 特に,

  • 初期位相がともに0 : ϕ1=ϕ2=0

  • 振幅も共通で A : A1=A2=A

  • 波数, 角振動数ともに近い値 : k1k2, ω1ω2

という場合を考える.

  1. 重なり合った波 u(x,t) を記述せよ

  2. (1)の式を簡単のために初期位相, 振幅, 波数, 角振動数に課した条件を用いて書き直して記述せよ. 差分をそれぞれ Δk, Δω とし平均を kav, ωav と書くことにする.

  3. この系の群速度を記述せよ

  4. この系の位相速度を記述せよ

 

まとめ

  1. 今回の授業内容を100文字以上で自分なりにまとめてください. ただし, 写経のように丸写しすることだけはやめてください.

 

解答

位相速度, 群速度

波長・周期の異なる2つの進行波 (正弦波) が重なり合う場合を考える. それぞれの進行波 (正弦波) を波数 k1, k2 , 角振動数 ω1, ω2 , 初期位相 ϕ1,ϕ2 を用いて表すと

(2)u1(x,t)=A1sin(k1xω1tϕ1)u2(x,t)=A2sin(k2xω2tϕ2)

となる. 簡単のために, 特に,

  • 初期位相がともに0 : ϕ1=ϕ2=0

  • 振幅も共通で A : A1=A2=A

  • 波数, 角振動数ともに近い値 : k1k2, ω1ω2

という場合を考える.

重なり合った波 u(x,t) を記述せよ

2つの波を重ね合わせた波は, 重ね合わせの原理より,

(3)u(x,t)=u1(x,t)+u2(x,t)(4)=A1sin(k1xω1tϕ1)+A2sin(k2xω2tϕ2)

となる.

 

(1)の式を簡単のために初期位相, 振幅, 波数, 角振動数に課した条件を用いて書き直して記述せよ. 差分をそれぞれ Δk, Δω とし平均を kav, ωav と書くことにする.

和積の公式 (sina+sinb=2sina+b2cosab2) を用いると

u(x,t)=Asin(k1xω1t)+Asin(k2xω2t)=2Asin(k1xω1t)+(k2xω2t)2cos(k1xω1t)(k2xω2t)2=2Asin(k1+k2)x(ω1+ω2)t2cos(k1k2)x(ω1ω2)t2(5)=2Acos(k2k1)x(ω2ω1)t2sin(k1+k2)x(ω1+ω2)t2

と書くことができる. 今回, 波数と角振動数がそれぞれほぼ等しい場合を考えているため, それらの差分をそれぞれ Δk, Δω として

(6)Δkk2k1Δωω2ω1

と書くことにする. また, 両者の平均を kav, ωav とすれば,

(7)kavk1+k22k1,k2ωavω1+ω22ω1,ω2

となる. すると, 重ね合わせた波 u(x,t) (5)

u(x,t)=2Acos(k2k1)x(ω2ω1)t2sin(k1+k2)x(ω1+ω2)t2(8)=2Acos(Δk2xΔω2t)sin(kavxωavt)

となる.

 

この系の群速度を記述せよ

今回の場合は, 振幅の変化が波数 Δk/2 , 角振動数 Δω/2 による正弦波 cos(Δk2xΔω2t) となっているため, 空間的なうなり構造 (波の概形, 波束) が進む速さは,

(9)cos(Δk2xΔω2t)=cos{Δk2(xΔωΔkt)}

となることから, ΔωΔk となる. これは群速度と呼ばれ, vg と置くことにすると

(10)vgΔωΔk

となる.

一般には Δk を小さくした極限を考え,

群速度 :

(11)vgdω(k)dk

と記述する. ここで, ω(k) は分散関係で示したような波数 k の関数として記述される角振動数を意味する.

 

この系の位相速度を記述せよ

また, 細かく振動する部分 sin(kavxωavt) については

sin(kavxωavt)=sinkav(xωavkavt)(12)=sinkav(xω1+ω2k1+k2t)

となっているため, 位相部分の進む速度 vϕ は,

(13)vϕω1+ω2k1+k2

となり, これがこの系の平均的な位相速度となる.

一般には, 単一の進行波の場合と同じで,

位相速度

(14)vϕω(k)k

と記述される.