実施・提出期間

締切: 2024/05/29 (水) 13:30 までに, 下記の問題を実施し, 提出してください.

 

注意事項

  • 手書きで計算したものを1つのpdfにまとめて提出してください

    • 紙に直筆したものを写真 or スキャンする場合は, 中身がハッキリ読めることを確認してください

    • タブレット等を用いて電子的に手書きするのもOKです

    • 画像ファイルをそのまま何枚も提出したり, zipにまとめて提出したものは受取不可とします

  • 授業資料の解答を丸写しするのではなく, 授業内容を思い出しながら自分の手で計算するようにしてください

  • 授業直後に復習することはもちろん素晴らしいです!! その後, なるべく数日空けてから再学習として本課題を実施し, 提出することを是非試してみてください.

 

問題

連成振動 N個

バネで繋がれた N個の質量mのおもり (振動子) の縦振動を考える. 各バネのばね定数は k で統一した場合を考えている.

ここで, 両サイドの壁の付け根に仮想的なおもり (x0, xN+1) があると考える. 具体的には下図のような場合を考える.

spring-N-virtual

この時, 追加した仮想的なおもりには静止という境界条件 (付帯条件) :

x0(t)=0xN+1(t)=0

があるものとして考える.

  1. この系の運動方程式を記述せよ

  2. j 番目の基準振動の固有振動数 ωj を導出せよ

  3. j 番目の基準振動の波数 pj を導出せよ

  4. j 番目の基準振動の振幅 (概形) An(j) を導出せよ

  5. j 番目の基準振動 xn(j)を導出せよ

  6. 一般解を求めよ

 

まとめ

  1. 今回の授業内容を100文字以上で自分なりにまとめてください. ただし, 写経のように丸写しすることだけはやめてください.

 

解答

連成振動 N個

バネで繋がれた N個の質量mのおもり (振動子) の縦振動を考える. 各バネのばね定数は k で統一した場合を考えている.

ここで, 両サイドの壁の付け根に仮想的なおもり (x0, xN+1) があると考える. 具体的には下図のような場合を考える.

spring-N-virtual

この時, 追加した仮想的なおもりには静止という境界条件 (付帯条件) :

x0(t)=0xN+1(t)=0

があるものとして考える.

この系の運動方程式を記述せよ

仮想的なおもりがある場合, まとめて記述した運動方程式は

(1)md2xndt2=k(2xnxn1xn+1)      (n=1,...,N)(:x0(t)=0,  xN+1(t)=0)

となる.

j 番目の基準振動の固有振動数 ωj を導出せよ

各基準振動の概形はきれいなsin形になる, と予想する.

各おもりの変位 xn(j)

(2)xn(j)=An(j)cos(ωjt+ϕj)      (n=0,...,N+1.  ϕ(j):)(: x0(j)(t)=0,  xN+1(j)(t)=0     A0(j)=0,  AN+1(j)=0)

のように単振動となると考えられる.

実際に, 運動方程式 (1) に代入すると,

md2dt2(An(j)cos(ωjt+ϕj))(3)=k(2(An(j)cos(ωjt+ϕj))(An1(j)cos(ωjt+ϕj))(An+1(j)cos(ωjt+ϕj)))(4)mωj2An(j)cos(ωjt+ϕj)=k(2An(j)An1(j)An+1(j))cos(ωjt+ϕj)(5)mωj2An(j)=k(2An(j)An1(j)An+1(j))

という振幅についての関係式 (5) が得られる.

各おもりの振幅 An(j) については, j番目の基準振動を上図のようなsin形と予想しているため,

(6)An(j)=A(j)sin(pjn+θ)  (θ:)

となると考えられる.

したがって, これを関係式 (5) に代入すると,

(7)mωj2An(j)=k(2An(j)An1(j)An+1(j))mωj2A(j)sin(pjn+θ)=k(2A(j)sin(pjn+θ)A(j)sin(pj(n1)+θ)A(j)sin(pj(n+1)+θ))mωj2A(j)sin(pjn+θ)=kA(j)(2sin(pjn+θ)sin(pj(n1)+θ)sin(pj(n+1)+θ))

となる. ここで, sinの和積の公式 : sinx+siny=2sinx+y2cosxy2 より

(8)mωj2Asin(pjn+θ)=kA(2sin(pjn+θ)2sin(pjn+θ)cospj)mωj2Asin(pjn+θ)=2kA(1cospj)sin(pjn+θ)

となる. また, cosの和積の公式 : cosxcosy=2sinx+y2sinxy2 より

(9)mωj2Asin(pjn+θ)=2kA(2sinpj2sinpj2)sin(pjn+θ)mωj2Asin(pjn+θ)=4kAsin2pj2sin(pjn+θ)mωj2=4ksin2pj2ωj2=4kmsin2pj2

となる.

ここで, 各おもりの変位 xn の式 (2) がcosで偶関数であり, ϕは任意定数であることから

(10)ωj=2kmsinpj2

となる. これで固有振動数 ωj の形が求まった.

j 番目の基準振動の波数 pj を導出せよ

境界条件 (付帯条件) を考える.

A0(j)=0 の場合

An(j) の式 (6) : An(j)=A(j)sin(pjn+θ) より,

A0(j)=A(j)sinθ=0

なので, A(j)=0という無振動な場合を除けば θ=0,π となりうる. しかし, A(j) の任意性より, θ=πθ=0 と同じなので, 結局,

θ=0

となる.

AN+1(j)=0 の場合

An(j) の式 (6) : An(j)=A(j)sin(pjn+θ) より,

AN+1(j)=A(j)sin(pj(N+1)+θ)=A(j)sin(pj(N+1))=0

となる. A(j)=0という無振動な場合を除けば

pj(N+1)=jπ    (j)pj=jN+1π    (j)

となる.

j の範囲

基準振動の番号 j の実質的な範囲についてさらに考える.

j<0 の場合

pj<0 なので, An(j)=A(j)sin(pjn+θ) から

An(j)=A(j)sin(|pj|n)

なり, A(j) の任意性により, j>0 の場合に対応する.

j=0 の場合

p0=0 なので, An(j)=A(j)sin(pjn+θ) から

An(j)=A(j)sin0=0

となり, 無振動で無意味な解となる.

j=N+1 の場合

pN+1=π なので, An(j)=A(j)sin(pjn+θ) から

An(j)=A(j)sinnπ=0

となり, 無振動で無意味な解となる.

j=N+2 の場合
pN+2=N+2N+1π=2N+2NN+1π=2(N+1)N+1πNN+1π=2πNN+1π

なので, An(j)=A(j)sin(pjn+θ) から

An(j)=A(j)sin(2πnNN+1πn)=A(j)sinNN+1πn=0

となり, A(j) の任意性により, j=N の場合に対応する.

j=N+3 の場合
pN+3=N+3N+1π=2N+2N+1N+1π=2(N+1)N+1πN1N+1π=2πN1N+1π

なので, An(j)=A(j)sin(pjn+θ) から

An(j)=A(j)sin(2πnN1N+1πn)=A(j)sinN1N+1πn=0

となり, A(j) の任意性により, j=N1 の場合に対応する.

 

以上を続けて計算していけば, 結局, 1<j<N の範囲に実質的に収まり,

(11)pj=jN+1π    (j=1,...,N)

となることがわかる.

j 番目の基準振動の振幅 (概形) An(j) を導出せよ

An(j) の式 (6) : An(j)=A(j)sin(pjn+θ) より, j 番目の基準振動の振幅 (概形) が

基準振動の振幅 (概形)

An(j)=A(j)sinjN+1πn    (j=1,...,N.  n=1,...,N)

と導出できた.

j 番目の基準振動 xn(j)を導出せよ

以上より, 基準振動の固有振動数と振幅が求まったので, 各基準振動は式 (2) : xn(j)=An(j)cos(ωjt+ϕj) を用いて

xn(j)(t)=An(j)cos(ωjt+ϕj)(An(j)=A(j)sinjN+1πn,  ωj=2kmsin12(N+1)π)

となる.

一般解を求めよ

各おもりの実際の変位 xn は, 一般には基準振動を重ね合わせたもので

xn(t)=j=1Nxn(j)(t)=j=1NAn(j)cos(ωjt+ϕj)(12)=j=1NA(j)sin(jN+1πn)cos(ωjt+ϕj)(:A(j), ϕj)

となる. これは元の連立線形微分方程式 (運動方程式) (1) の解であり, 2N個の任意定数を持っていることから, この解が一般解である.

改めて一般解を書くと

一般解

(13)xn(t)=j=1NA(j)sin(jN+1πn)cos(ωjt+ϕj)(14)(ωj=2kmsinj2(N+1)π    (j=1,...,N))(:A(j), ϕj)

である.