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基準振動からの導出は簡単に理解できた。変数変換はpの導出方法がよく分からなかった。

カオスとなる運動とは、無秩序な運動だと勘違いしていたから、運動自体はきれいで規則的なものになっていても、初期値の微小な違いによって変わればカオスと呼ぶと知れてよかった。 あと、pの要件あたりから難しくて、ついていけなくなった。

式(15)〜(17)の式変形がよく分からなかった。

運動方程式

(1)md2x1dt2=kx1+k(x2x1)(2)md2x2dt2=kx2k(x2x1)

について, 未定定数pを用いて, (1)+p×(2) を計算すると,

m(d2x1dt2+pd2x2dt2)=k(x1+px2)+k(1p)(x2x1)  md2dt2(x1+px2)=k(x1+px2)+k(p1)(x1x2)  md2dt2(x1+px2)=k(x1+px2)+k(p1)(x1p1p1x2)  md2dt2(x1+px2)=k(x1+px2)+k(p1)(x1+1pp1x2)

となる.

ここで, 未定定数 p

1:p=1:1pp1    ()()=()()    p1=11pp1    p(p1)=1(1p)    ()()=()()(3)    1:p=(p1):(1p)

を満たすようなものであったなら, 上式は

md2dt2(x1+px2)=k(x1+px2)+k(p1)(x1+px2)=(k+k(1p))(x1+px2)

となる. ここで

(4)2qx1+px2

という変数qを定義する. この 2 をつける意味については後に説明するが, 一般解を求めるだけであれば無くてもよい. この定義式で置き換えてやれば,

md2qdt2=(k+k(1p))q

となり, 独立な単振動の式に帰着することができる.

 

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最初に話の合ったような余談はテストに入れないという意味で「余談」ということですか。 (余談は毎回聞いていて面白いので挿入できる単元の時は積極的に取り入れてほしいです)

はい, 余談はテスト範囲の対象外です.

 

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バネで繋がれた2つのおもりの縦振動で解法が2つあったがどっちの方がわかりやすいですかね。

2つの開放はどう使い分ければよいのかわからない。

わかりやすいかどうかは自分の感覚で良いと思います. 解答としてはどちらでも構いませんが, 他の系でも適用しやすいのは基準座標の解法だと思います.

 

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ばね定数がそれぞれ違うと規則性はなくカオスになるのか少し気になった。

いいえ, カオスにはなりません. まず, ばね定数がそれぞれ異なる場合は計算が面倒なだけで一般解を導出できます. また, カオスの定義は「初期値の小さな差が後々大きな違いを生む (=初期値鋭敏性が高い) 現象」です. ただし, バネで繋がれた2つのおもりの縦振動の場合は, 初期条件をわずかに変えただけでは, 後の軌道も大して変わりません. したがって, ばね定数が全て異なる場合であってもカオスにはなりません.

 

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カオス理論の紹介としての振り子の軌跡動画が教室の明るさに対し暗く、よく見えなかった。

今日の授業は非常に充実していました。連成振動の概念を理解する上で理論的な部分が多く含まれており、特に運動方程式の記述や固有振動数の導出が興味深かったです。ただし、もう少し具体的な数値例やシミュレーションを用いた説明があれば、より理解が深まったと思います。

変数変換を用いて解を求める方法の最終的な目的は分かったけれど、何故その解き方をするに至ったのかいまいち分からなかった。

導出でどの式が何を表しているのか、その後どう繋がるのかが分かりにくかったです

 

連成振動 (多自由度の振動)

導入

前回は2つの振動子の場合を考えた. 今回はその振動子が多数ある場合を考え, その運動を計算していく. これは後の連続体の運動につながる.

実際に, 下図のように等間隔にバネで繋がれた N個の質量mのおもり (振動子) の縦振動を考える. 各バネのバネ定数は k で統一した場合を考えている.

spring-N

この系の運動方程式は,

1:md2x1dt2=kx1+k(x2x1)2:md2x2dt2=k(x2x1)+k(x3x2)3:md2x3dt2=k(x3x2)+k(x4x3)    N1:md2xN1dt2=k(xN1xN2)+k(xNxN1)(5)N:md2xNdt2=k(xNxN1)kxN

となる. このx1,xN についての運動方程式も他のものと同じ形に合わせて記述できると楽である. したがって, 両サイドの壁の付け根に仮想的なおもり (x0, xN+1) があると考えよう. 具体的には下図のような場合を考える.

spring-N-virtual

この時, 追加した仮想的なおもりは本来動かないものなので, 静止という境界条件 (付帯条件) :

固定端条件

x0(t)=0xN+1(t)=0

があるものとして考える.

なお, 両端が壁に固定されていない系を考える場合は, 境界条件として 自由端条件

x0(t)=x1(t)xN+1(t)=xN(t)

と置き, 計算していけば良い.

また, 1番目のおもりとN番目のおもりをバネで繋げた系を考える場合は, 境界条件として

x0(t)=xN(t)xN+1(t)=x1(t)

と置き, 計算していけば良い.

spring-N-circle

すると, 1番目のおもりにかかる力のうち, 「実質的に左の壁との距離 x1 によるバネの力であった kx1 」は, 「0番目の仮想おもりとの相対的な距離 x1x0 によるバネの力 k(x1x0) 」と見直すことができる:

kx1=k(x10)    k(x1x0)

同様に, N番目のおもりにかかる力のうち, 「実質的に右の壁との距離 xN によるバネの力であった kxN 」は, 「N+1番目の仮想おもりとの相対的な距離 xN+1xN によるバネの力 k(xNxN+1) 」と見直すことができる:

kxN=k(xN0)    k(xNxN+1)=+k(xN+1xN)

この見直しを適用すると, 元の運動方程式 (5)

1:md2x1dt2=k(x1x0)+k(x2x1)2:md2x2dt2=k(x2x1)+k(x3x2)3:md2x3dt2=k(x3x2)+k(x4x3)    N1:md2xN1dt2=k(xN1xN2)+k(xNxN1)N:md2xNdt2=k(xNxN1)+k(xN+1xN)

のように記述できる. したがって, n番目のおもり xn については

md2xndt2=k(xnxn1)+k(xn+1xn)

となるので, 1番目からN番目までのおもりをひとまとめにして記述した運動方程式は

(6)md2xndt2=k(2xnxn1xn+1)      (n=1,...,N)(:x0(t)=0,  xN+1(t)=0)

となる.

 

基準振動 (モード) の導出

固有振動数の形を求める

前回, 全てのおもりが同じ角振動数で振動している場合の振動を基準振動と呼ぶことを紹介した.

今回の系では各おもりの質量を同じm, 各バネ定数を同じ k にしたことにより, 各おもりの変位に偏りがなくなっている. すなわち, どれか特定の重りだけが大きく振動しやすい, といったようなことは発生しない.

したがって, 今回の系における基準振動の概形は偏りのないキレイな形 (両端は壁に固定) になると予想できる.

そこで, 前回やった2個のおもりの場合の基準振動を元に, 今回の系における基準振動の概形を予想していく.

 

2個のおもりの場合 (前回の系)

前回やった2個のおもりの場合の基準振動は,

1:  x1=Acos(ω1t+ϕ),x2=Acos(ω1t+ϕ)(A,ϕ:)2:  x1=Acos(ω2t+ϕ),x2=Acos(ω2t+ϕ)(A,ϕ:)

と書くことができ, 下図のようなキレイな形だった.

正確に言えば, 両サイドのバネ定数を k, 真ん中のバネ定数をkと分けていたが, この違いは基準振動の角振動数 ω1=km,  ω2=k+2km にのみ表れ, 振幅等には表れなかった. したがって, 前回の系の場合は, バネ定数をkで統一しても, 真ん中だけkで別物にしても, 基準振動の概形には影響しない

モード 結果 アニメ
1 animation_2-osc_mode1.mov
2 animation_2-osc_mode2.mov

そこで, 各基準振動の特徴を捉えやすくなるよう, 横軸に各おもりの釣り合いの位置, 縦軸に各おもりの変位 xn をプロットする図を考えてみる. 実際にプロットしたものが下図である.

モード 結果 アニメ
1 animation_2-osc_lateral-representation_mode1.mov
2 animation_2-osc_lateral-representation_mode2.mov

すると, 各おもりが上図の緑の包絡線が示すように, 各基準振動を変位で捉えた際の概形 (以下, 基準振動の概形と呼ぶ) は, 両端が壁に固定されたsin形 (モード1は山が1つ, モード2は山が2つ) となっている.

 

N個のおもりの場合

そこで, 同様に, N個のおもり (仮想おもりも合わせればN+2個) がある場合での, 各おもりの釣り合いの位置を横軸, そのおもりの変位 xn を縦軸にプロットする図を考えたとき, j 番目の基準振動の概形も下図のようなsin形になる, と予想する.

何番目のおもりか, という添字を n=(0,) 1,,N (,N+1) 何番目の基準振動か, という添字を j と書いているので, 混同しないように注意.

spring-N-An

この時, 各おもりの変位 xn(j) も, 2個のおもりの際と同様に

(7)xn(j)=An(j)cos(ωjt+ϕj)      (n=0,,N+1.  ϕ(j):)(: x0(j)(t)=0,  xN+1(j)(t)=0)(8)  (: A0(j)=0,  AN+1(j)=0)

のように単振動となると考えられる. 実際に, 運動方程式 (6) md2xndt2=k(2xnxn1xn+1)    (n=1,,N) に代入すると,

md2dt2(An(j)cos(ωjt+ϕj))=k(2(An(j)cos(ωjt+ϕj))(An1(j)cos(ωjt+ϕj))(An+1(j)cos(ωjt+ϕj)))  mωj2An(j)cos(ωjt+ϕj)=k(2An(j)An1(j)An+1(j))cos(ωjt+ϕj)(9)   mωj2An(j)=k(2An(j)An1(j)An+1(j))

という振幅についての関係式 (9) が得られる. 各おもりの振幅 An(j) については, j番目の基準振動の概形を上図のようなsin形と予想しているため,

(10)An(j)=A(j)sin(pjn+θ)  (θ:, pj)

となると考えられる. したがって, これを関係式 (9) に代入すると,

mωj2An(j)=k(2An(j)An1(j)An+1(j))mωj2A(j)sin(pjn+θ)=k(2A(j)sin(pjn+θ)A(j)sin(pj(n1)+θ)A(j)sin(pj(n+1)+θ))=kA(j)(2sin(pjn+θ)sin(pj(n1)+θ)sin(pj(n+1)+θ))  sin:sinx+siny=2sinx+y2cosxy2=kA(j)(2sin(pjn+θ)2sin(pj(n1)+θ)+(pj(n+1)+θ)2cos(pj(n1)+θ)(pj(n+1)+θ)2)=kA(j)(2sin(pjn+θ)2sin(pjn+θ)cospj)=2kA(j)(1cospj)sin(pjn+θ)=2kA(j)(cos0cospj)sin(pjn+θ)  cos:cosxcosy=2sinx+y2sinxy2=2kA(j)(2sin0+pj2sin0pj2)sin(pjn+θ)=2kA(j)(2sinpj2sinpj2)sin(pjn+θ)=4kA(j)sin2pj2sin(pjn+θ)mωj2=4ksin2pj2ωj2=4kmsin2pj2ωj=±2kmsinpj2

となる.

ここで, 各おもりの変位 xn の式 (7) xn(j)=An(j)cos(ωjt+ϕj)cos は偶関数であり, ϕjは任意定数であることから, ωj は正の場合だけを考えればよく,

(11)ωj=2kmsinpj2

となる.

これで固有振動数 ωj の形が求まった. 次に pj を具体的に求めていく.

境界条件 (付帯条件) から pj を求める

境界条件 (付帯条件) を考える.

A0(j)=0 の場合 (左の壁)

An(j) の式 (10) : An(j)=A(j)sin(pjn+θ) より,

A0(j)=A(j)sinθ  ((8):A0(j)=0)0=A(j)sinθ

となる. A(j)=0という無振動な場合を除けば θ=0,π となりうる. しかし, A(j) の任意性より, θ=πθ=0 と同じなので, 結局,

(12)θ=0

となる.

AN+1(j)=0 の場合 (右の壁)

An(j) の式 (10) : An(j)=A(j)sin(pjn+θ) より,

AN+1(j)=A(j)sin(pj(N+1)+θ)=A(j)sin(pj(N+1))    ((12))  ((8):AN+1(j)=0)0=A(j)sin(pj(N+1))

となる. A(j)=0という無振動な場合を除けば

pj(N+1)=jπ    (j)  pj=jN+1π    (j)

となる. これで, pj が求まった.

ただし, 実は, 基準振動の番号 j は実際に整数個分だけバリエーションがあるわけではなく, 実質的な範囲がある.

そこで, 実際にj の実質的な範囲を求めてみる.

j の実質的な範囲

2個のおもりの際に2つの基準振動があったように, N個のおもりの場合はN個のバリエーションがあると予想できる. すなわち, j の実質的な範囲を 1,,N だと予想して, その周辺

  • j<0 : 確認

  • j=0 : 確認

  • (1jN : j の実質的な範囲?)

  • j=N+1 : 確認

  • j=N+2 : 確認

  • j=N+3 : 確認

を実際に確認してみる.

j<0 の場合

An(j) の式 (10) : An(j)=A(j)sin(pjn+θ) のうち, 境界条件からθ=0なので An(j)=A(j)sin(pjn)=A(j)sin(jN+1πn).

pj<0 なので,

An(j)=A(j)sin(|pj|n)

なり, j>0 の場合の正負が反転した場合に対応する.

j=0 の場合

p0=0 なので, An(j)=A(j)sin(pjn)=A(j)sin(jN+1πn) から

An(j)=A(j)sin0=0

となり, 無振動で無意味な解となる.

j=N+1 の場合

pN+1=π なので, An(j)=A(j)sin(pjn)=A(j)sin(jN+1πn) から

An(j)=A(j)sinnπ=0

となり, 無振動で無意味な解となる.

j=N+2 の場合
pN+2=N+2N+1π=2N+2NN+1π=2(N+1)N+1πNN+1π=2πNN+1π

なので, An(j)=A(j)sin(pjn)=A(j)sin(jN+1πn) から

An(j)=A(j)sin(2πnNN+1πn)=A(j)sinNN+1πn=A(j)sinNN+1πn

となり, j=N の場合の正負が反転した場合に対応する.

j=N+3 の場合
pN+3=N+3N+1π=2N+2N+1N+1π=2(N+1)N+1πN1N+1π=2πN1N+1π

なので, An(j)=A(j)sin(pjn)=A(j)sin(jN+1πn) から

An(j)=A(j)sin(2πnN1N+1πn)=A(j)sinN1N+1πn

となり, j=N1 の場合の正負が反転した場合に対応する.

 

以上を続けて計算していけば, 結局, 1jN の範囲に実質的に収まり,

(13)pj=jN+1π    (j=1,...,N)

となることがわかる.

j-region

これで, jの実質的な範囲が求まり, pjの具体的な表式も求まった.

なお, この pj は「j番目の基準振動の概形として波形がいくつの山 (谷) を持っているか」に関係しているため, 波数と呼ばれる.

 

基準振動の固有振動数と振幅 (概形)

以上より, pjの式 (13) pj=jN+1π が求まったので, j 番目の基準振動に固有な振動数 ωj の式 (11) ωj=2kmsinpj2 は,

固有振動数

ωj=2kmsinj2(N+1)π    (j=1,,N)

と導出できた.

また, An(j) の式 (10) : An(j)=A(j)sin(pjn+θ) より, j 番目の基準振動の振幅 (概形) が

基準振動の振幅 (概形)

An(j)=A(j)sinjN+1πn    (j=1,,N.  n=1,,N)

と導出できた.

なお, この系の両端の幅の長さをLとし, 左端を0とした場合, 各おもりは等間隔LN+1に設置されているため, 各おもりのついている位置un

un=LN+1n

なので,

An(j)=A(j)sinjN+1πn=A(j)sinjLLN+1nπ=A(j)sinjLunπ=A(j)sinjπLun

と書ける.

ここで, N として無限個のおもりがあると考えれば, An(j)uの連続関数のように考えることができ,

An(j)=A(j)sinjπLu

と記述できる. これは jπLu=2π で1周期なので, 波長 : 2Lj , 振幅 A(j)sin関数を示す. このsin関数が前述の2個のおもりの図における緑の包絡線に相当する:

モード1モード2
animation_2-osc_lateral-representation_mode1.movanimation_2-osc_lateral-representation_mode2.mov

 

実際に, 5個のおもり (N=5) の場合の An(j) をプロットしたものが下図である.

実質的な範囲内か?モード番号 j
範囲外 (モード1の反転)-1oscillations-with-spring_N5_j-1
範囲外 (各おもりは無振動)0oscillations-with-spring_N5_j0
範囲内1oscillations-with-spring_N5_j1
範囲内2oscillations-with-spring_N5_j2
範囲内3oscillations-with-spring_N5_j3
範囲内4oscillations-with-spring_N5_j4
範囲内5oscillations-with-spring_N5_j5
範囲外 (各おもりは無振動)6oscillations-with-spring_N5_j6
範囲外 (モード5の反転)7oscillations-with-spring_N5_j7

 

基準振動 (まとめ)

以上より, 基準振動の固有な振動数 ωj とその振幅 (概形) An(j) が求まったので, 各基準振動は式 (7) : xn(j)=An(j)cos(ωjt+ϕj) を用いて

モード番号 j
(何番目の基準振動か?)
n番目のおもりの変位 xn(j)固有振動数 ωj振幅 (概形) An(j)
1xn(1)(t)=An(1)cos(ω1t+ϕ1)ω1=2kmsin12(N+1)πAn(1)=A(1)sin1N+1πn
2xn(2)(t)=An(2)cos(ω2t+ϕ2)ω2=2kmsin22(N+1)πAn(2)=A(2)sin2N+1πn
Nxn(N)(t)=An(N)cos(ωNt+ϕN)ωN=2kmsinN2(N+1)πAn(N)=A(N)sinNN+1πn

と書ける.

 

一般解

各おもりの実際の変位 xn は, 一般には各基準振動のおもりの変位 xn(j) を重ね合わせたもので

xn(t)=j=1Nxn(j)(t)=j=1NAn(j)cos(ωjt+ϕj)(14)=j=1NA(j)sin(jN+1πn)cos(ωjt+ϕj)     (:A(j), ϕj)

となる.

2N個の任意定数 : A(j), ϕj        A(1), A(2), ..., A(N), ϕ1, ϕ2,..., ϕN
は, 2N個の変数 : xn, dxndt        x1, x2, ..., xN, dx1dt, dx2dt,..., dxNdt の初期値 を与えれば決定される.

 

ここまでで求めた各モードのおもりの変位 xn(j)(t) は, 元の連立線形微分方程式 (運動方程式) (6) の特殊解を推察によって求めたことに相当する.

しかし, 元の連立線形微分方程式 (運動方程式) (6) md2xndt2=k(2xnxn1xn+1) の線形性により, 重ね合わせの原理が成り立つため, その一次結合式 (14) も元の連立線形微分方程式 (運動方程式) (6) の解である. さらに, 2N個の任意定数を持っていることから, この一次結合式 (14) が一般解であることを示す.

したがって, 改めて一般解を書くと

一般解

(15)xn(t)=j=1NA(j)sin(jN+1πn)cos(ωjt+ϕj)(ωj=2kmsinj2(N+1)π    (j=1,...,N))(:A(j), ϕj)

となる.

試しに 5個のおもり (N=5)のうちの1番目のおもり (n=1. 左から1番目) の時間発展 (A(j)=1, ϕj=0) をプロットしたものが下図である.

oscillations-with-spring_solution_N5_n1_k1_m1

アニメにしたものが下図:

おもりの数 NA(j), ϕj結果アニメ
5モード1
A(j)=[1,0,0,0,0] ϕj=0
animation_N-osc_lateral-representation_general_N5_A1-0-0-0-0.movanimation_N-osc_lateral-representation_general_N5_A1-0-0-0-0.mov
5モード2
A(j)=[0,1,0,0,0] ϕj=0
animation_N-osc_lateral-representation_general_N5_A0-1-0-0-0.movanimation_N-osc_lateral-representation_general_N5_A0-1-0-0-0.mov
5モード3
A(j)=[0,0,1,0,0] ϕj=0
animation_N-osc_lateral-representation_general_N5_A0-0-1-0-0.movanimation_N-osc_lateral-representation_general_N5_A0-0-1-0-0.mov
5モード4
A(j)=[0,0,0,1,0] ϕj=0
animation_N-osc_lateral-representation_general_N5_A0-0-0-1-0.movanimation_N-osc_lateral-representation_general_N5_A0-0-0-1-0.mov
5モード5
A(j)=[0,0,0,0,1] ϕj=0
animation_N-osc_lateral-representation_general_N5_A0-0-0-0-1.movanimation_N-osc_lateral-representation_general_N5_A0-0-0-0-1.mov
5モード1+5
A(j)=[1,0,0,0,0.3] ϕj=0
animation_N-osc_lateral-representation_general_N5_A1-0-0-0-0.3.movanimation_N-osc_lateral-representation_general_N5_A1-0-0-0-0.3.mov
5A(j)=[1,1,1,1,1] ϕj=0animation_N-osc_lateral-representation_general_N5.movanimation_N-osc_lateral-representation_general_N5.mov
10A(j)=1 ϕj=0animation_N-osc_lateral-representation_general_N10.movanimation_N-osc_lateral-representation_general_N10.mov

 

分散関係

j番目のモードでの波数と固有振動数は

pj=jN+1π    (j=1,...,N)ωj=2kmsinj2(N+1)π    (j=1,...,N)

のように書ける.

これら pjωj との関係は式 (11) :

分散関係

ωj=2kmsinpj2

で記述でき, この関係式を分散関係と呼ぶ.

「分散」とは, (後の講義で紹介する) 波の伝播によって波形が変化していくことを意味する.

実際にプロットしたものが下図である.

dispersion-relation_N9_k1_m1

 

pjωj は, ともに離散的な値を取るが, 自由度Nを大きくしていくと, だんだんと連続的になっていく.

このように, 振動子の数を極限まで増やすと, 連続体の運動に近づいていく.