実施・提出期間

締切: 2024/05/22 (水) 13:30 までに, 下記の問題を実施し, 提出してください.

 

注意事項

  • 手書きで計算したものを1つのpdfにまとめて提出してください

    • 紙に直筆したものを写真 or スキャンする場合は, 中身がハッキリ読めることを確認してください

    • タブレット等を用いて電子的に手書きするのもOKです

    • 画像ファイルをそのまま何枚も提出したり, zipにまとめて提出したものは受取不可とします

  • 授業資料の解答を丸写しするのではなく, 授業内容を思い出しながら自分の手で計算するようにしてください

  • 授業直後に復習することはもちろん素晴らしいです!! その後, なるべく数日空けてから再学習として本課題を実施し, 提出することを是非試してみてください.

 

問題

連成振動 2個 (基準振動からの類推)

下図のようなバネで繋がれた2つのおもりの縦振動を考える. 質点の質量はいずれもmで, バネの質量は無視できるほど軽く, つりあいの位置において各バネは伸び縮みのない自然長であるとする. バネ定数は左からk1, k2, k3とする. 釣り合いの位置からの変位をそれぞれx1, x2とする.

2-balls_3-springs

  1. 各おもりにかかる力を図示せよ

  2. 各おもりの運動方程式を記述せよ

  3. k1=k, k2=k, k3=kとして, 問2の運動方程式を書き直せ

  4. この系には2つの基準振動がある. その2種類の振動数 ω1,ω2を求めよ.

  5. 2つの基準振動解を導出せよ

  6. この系の一般解を導出せよ

 

連成振動 2個 (基準座標)

下図のようなバネで繋がれた2つのおもりの縦振動を考える. 質点の質量はいずれもmで, バネの質量は無視できるほど軽く, つりあいの位置において各バネは伸び縮みのない自然長であるとする. バネ定数は左からk1, k2, k3とし, 簡単のため, k1=k, k2=k, k3=k という場合を考える. 釣り合いの位置からの変位をそれぞれx1, x2とする.

2-balls_3-springs_solution

この場合の運動方程式は

(1)md2x1dt2=kx1+k(x2x1)(2)md2x2dt2=kx2k(x2x1)

となる.

  1. 未定定数p を用いて, (1)+p×(2) を計算した時, そのp が満たすべき値を求めよ.

  2. 問1 で求めた各 p に対応する運動方程式を q1,q2 という変数を用いて記述せよ.

  3. q1,q2 についての一般解を求めよ.

  4. 元の座標系 x1,x2 についての一般解を求めよ.

 

まとめ

  1. 今回の授業内容を100文字以上で自分なりにまとめてください. ただし, 写経のように丸写しすることだけはやめてください.

 

解答

連成振動 2個 (基準振動からの類推)

下図のようなバネで繋がれた2つのおもりの縦振動を考える. 質点の質量はいずれもmで, バネの質量は無視できるほど軽く, つりあいの位置において各バネは伸び縮みのない自然長であるとする. バネ定数は左からk1, k2, k3とする. 釣り合いの位置からの変位をそれぞれx1, x2とする.

2-balls_3-springs

各おもりにかかる力を図示せよ

2-balls_3-springs_solution

各バネの伸び縮みに応じて, 各おもりに力がかかる. 真ん中のバネについては, 各おもりの変位の差 x2x1 だけ伸び縮みするため, その分が真ん中のバネによる力となる.

各おもりの運動方程式を記述せよ

各おもりの運動方程式は

(3)md2x1dt2=k1x1+k2(x2x1)md2x2dt2=k3x2k2(x2x1)

となる.

k1=k, k2=k, k3=kとなる場合を考える. この場合の問2の運動方程式を書き直せ

簡単のために,

k1=k, k2=k, k3=k

という場合の系を考える. この場合の運動方程式は

(4)md2x1dt2=kx1+k(x2x1)(5)md2x2dt2=kx2k(x2x1)

となる.

この系には2つの基準振動がある. その2種類の振動数 ω1,ω2を求めよ.

2つのおもりはそれぞれの振動数で振動するのが一般的であるが, 特定の初期条件をとってやれば, 各おもりが同じ振動数 ω で振動することもありうる. 相互作用項がなければ各々は単振動の運動方程式であることから, 試しに,

(6)x1=A1cos(ωt+ϕ)x2=A2cos(ωt+ϕ)(A1,A2,ϕ:)

とおいて, これが元の運動方程式を満たすように A1, A2, ω, ϕ を決めることができるかどうかを考えてみる.

実際に運動方程式 (4), (5) に代入すると,

md2dt2(A1cos(ωt+ϕ))=kA1cos(ωt+ϕ)+k(A2cos(ωt+ϕ)A1cos(ωt+ϕ))md2dt2(A2cos(ωt+ϕ))=kA2cos(ωt+ϕ)k(A2cos(ωt+ϕ)A1cos(ωt+ϕ))mω2A1cos(ωt+ϕ)+kA1cos(ωt+ϕ)kA2cos(ωt+ϕ)+kA1cos(ωt+ϕ)=0mω2A2cos(ωt+ϕ)+kA2cos(ωt+ϕ)+kA2cos(ωt+ϕ)kA1cos(ωt+ϕ)=0(7)(mω2kk)A1+kA2=0(8)kA1+(mω2kk)A2=0

となる.

これらの式 (7), (8) をA1, A2についての連立方程式と考える. 式を書き直すと

(mω2kkkkmω2kk)(A1A2)=0

となるので, 自明な解 ( A1=A2=0 , 無振動の解) を除けば,

|mω2kkkkmω2kk|=0

である必要がある. したがって,

(mω2kk)2k2=0

となり,

(mω2kk+k)(mω2kkk)=0(mω2k)(mω2k2k)=0

となる. ゆえに ω は2種類の値をもち,

ω1=±kmω2=±k+2km

となる. 仮置きした解 (6) がcosという偶関数であり, ϕ は任意定数であることから, ω の正負は無視してよく,

(9)ω1=kmω2=k+2km

となる.

したがって, 各 ω が式 (9) のような値をとる場合, 仮置きした解 (6) は実際に今回の系の解となりうる.

 

2つの基準振動解を導出せよ

実際に各振動数の場合を見てみる.

ω=ω1

ω1=km なので, 式 (7) から,

(mkmkk)A1+kA2=0A1=A2

となるので, このときの A1,A2,ϕ

A1=A2Aϕϕ

とおけば, 解 (6) は

(10)x1=Acos(ω1t+ϕ)x2=Acos(ω1t+ϕ)(A,ϕ:)

となる.

同じ形の式なので, 当然ではあるが, 各おもり (x1,x2) はそれぞれ同じように振動する.

2-balls-3-springs_motion_omega1

 

ω=ω2

ω2=k+2km なので, 式 (8) から,

kA1+(mk+2kmkk)A2=0A1=A2

となるので, このときの A1,A2,ϕ

A1=A2Aϕϕ

とおけば, 解 (6) は

(11)x1=Acos(ω2t+ϕ)x2=Acos(ω2t+ϕ)(A,ϕ:)

となる.

振幅の正負が逆なので, 各おもり (x1,x2) は互いに逆向きに振動する.

2-balls-3-springs_motion_omega2

 

この系の一般解を導出せよ

ここまでで求めた2つの基準振動はあくまで特別な解である. 元の運動方程式 (4), (5) :

md2x1dt2=kx1+k(x2x1)md2x2dt2=kx2k(x2x1)

は線形な微分方程式なので, 解の重ね合わせが成り立つ.

実は, 2つの基準振動の解の重ね合わせが一般解

(12)x1(t)=Acos(ω1t+ϕ)+Acos(ω2t+ϕ)x2(t)=Acos(ω1t+ϕ)Acos(ω2t+ϕ)(A,A,ϕ,ϕ:)

となる.

実際, この解は元の運動方程式 (4), (5) を満たす. また, 元の運動方程式 (4), (5) は2つの2階の線形微分方程式なので, その一般解は2×2=4 個の任意定数を持つ必要があるが, この重ね合わせの解も計4つの任意定数を含む解である.

したがって, この重ね合わせの解 (12) こそが元の運動方程式 (4), (5) の一般解となる.

 

連成振動 2個 (基準座標)

下図のようなバネで繋がれた2つのおもりの縦振動を考える. 質点の質量はいずれもmで, バネの質量は無視できるほど軽く, つりあいの位置において各バネは伸び縮みのない自然長であるとする. バネ定数は左からk1, k2, k3とし, 簡単のため, k1=k, k2=k, k3=k という場合を考える. 釣り合いの位置からの変位をそれぞれx1, x2とする.

2-balls_3-springs_solution

この場合の運動方程式は

(13)md2x1dt2=kx1+k(x2x1)(14)md2x2dt2=kx2k(x2x1)

となる.

未定定数p を用いて, (13)+p×(14) を計算した時, そのp が満たすべき値を求めよ.

運動方程式 (13), (14) について, 未定定数p を用いて, (13)+p×(14) を計算すると,

(15)m(d2x1dt2+pd2x2dt2)=k(x1+px2)+k(1p)(x2x1) md2dt2(x1+px2)=k(x1+px2)+k((p1)x1+(1p)x2)

となる. ここで, 未定定数 p

(16)1:p=(p1):(1p)

を満たすようなものであったなら, 上式は

(17)md2dt2(x1+px2)=k(x1+px2)+k(p1)(x1+px2)=(k+k(1p))(x1+px2)

となる. ここで

(18)2qx1+px2

という変数qを定義する. この定義式で置き換えてやれば,

md2qdt2=(k+k(1p))q

となり, 独立な単振動の式に帰着する. これを満たすような p は, 式 (16) から

p(p1)=(1p)(p+1)(p1)=0p=±1

となる.

問1で求めた各 p に対応する運動方程式を q1,q2 という変数を用いて記述せよ.

p に対して,

(19)p=1 : md2dt2(x1+x2)=k(x1+x2)p=1 : md2dt2(x1x2)=(k+2k)(x1x2)

となる. さらに, 各 p

(20)p=1 : 2q1x1+x2(21)p=1 : 2q2x1x2

とおけば,

(22)p=1 : md2q1dt2=kq1p=1 : md2q2dt2=(k+2k)q2

となる.

q1,q2 についての一般解を求めよ.

上述の通り, これらは通常の単振動の運動方程式なので,

ω12km, ω22k+2km

と置けば, q1,q2 についての一般解は

(23)q1=Acos(ω1t+ϕ)q2=Acos(ω2t+ϕ)(A,A,ϕ,ϕ:)

となる.

元の座標系 x1,x2 についての一般解を求めよ.

関係式 (20), (21) から

一般解 :

(24)x1=q1+q22=12Acos(ω1t+ϕ)+12Acos(ω2t+ϕ)x2=q1q22=12Acos(ω1t+ϕ)12Acos(ω2t+ϕ)

が導出できた.