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(速度による抵抗がある場合)ωf = ω0の時には振幅は最大にはならないが、共鳴はするということですか?
はい, 共鳴自体はしています.
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ReとImの使い分けがわからなかったです。
基本的には実部 (Re) を取ることが多いです.
ただし, 先週の例では, 計算の簡便さを目的として運動方程式を複素化しました.
したがって, その複素化の取り方によって, 実部 (Re), 虚部 (Im) のどちらをとるべきかが決まります.
(1) 実部 (Re) の例
先週の講義内の例では, という外力に合わせて,
のようにオイラーの公式を生かした複素化をしたかったため,
のように位置も複素化し,
最終的に, 元の を取り出すために実部 (Re) を取りました.
(2) 虚部 (Im) の例
一方, 先週の復習問題内の例では, という外力に合わせて,
のようにオイラーの公式を生かした複素化をしたかったため,
のように位置も複素化し,
最終的に, 元の を取り出すために虚部 (Im) を取りました.
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説明していることはなんとなくわかったが、どこを目指してなにをしているかがよくわからないことが多かった。
話が難しくて途中ぽかんとしてしまった
外力のある場合の運動 (余談. カオスとなる模型の紹介)
前回は, 外力が常にかかり続ける場合の振動現象を紹介した.
ここでは, 外力が撃力である場合に, カオス現象が発生する例を紹介する.
1つは, 回転子模型 (KR: Kicked Rotator) :

である.
さらに, その亜種として, 無限大ポテンシャルに挟まれた中において一定時間間隔でキックを受ける粒子模型 (KPIP: Kicked Particle in Infinite Potential) を例に挙げる.
これは, 「左右に壁に挟まれた中で往復するピンポン玉に対して, 一定時間間隔で撃力を与えるという模型」に相当する.
具体的なハミルトニアンは下記:
このとき, 位置を横軸, 運動量を縦軸にして, 撃力が当たった瞬間をplotしていくと, 下図のような蜘蛛の巣状を形成する.
これをweb of chaosと呼ぶ.
連成振動 (自由度2の振動)
連成振動とは
ここまでの内容は, 孤立した1つの振動子についてであった. しかし現実には, 複数の振動子が相互作用しあうことで複雑な振動を引き起こすことが多い. そのような振動は連成振動と呼ばれる.
すなわち, 「2つ以上の振動子が何らかの機構で相互作用しながら行う振動」を連成振動と呼ぶ.
今回は連成振動の基礎である, 2つの振動子の場合を考える.
この場合, それぞれの振動子がそれぞれ自由度を持っていることから, 自由度2の振動となる.
連成振動 (自由度2) の例

片方の振り子だけ振動させるように始めると, その振動がやがてもう片方へと移り, その後, 自らに戻ってくるように振動する.

微小振動のうちは解析的に解くことができるが, 振動角が大きくなるとカオス的 (予測不可能 [困難] 的) な振る舞いになる.

YouTube:
https://youtu.be/25feOUNQB2Y

最も基礎的な例の1つ.
その他として,
分子の振動
ねじれ+バネ振動
2重のねじれ振動 (1年次の基礎物理学実験)
なども例に挙げられる.
バネで繋がれた2つのおもりの縦振動 (解法1)
概要
最も基礎的な例として, 下図のようなバネで繋がれた2つのおもりの縦振動を考える.
質点の質量はいずれもで, バネの質量は無視できるほど軽く, つりあいの位置において各バネは伸び縮みのない自然長であるとする. バネ定数は左から, , とする. 釣り合いの位置からの変位をそれぞれ, とする.

このとき, 各バネの伸び縮みに応じて, 各おもりに力がかかる. 真ん中のバネについては, 各おもりの変位の差 だけ伸び縮みするため, その分が真ん中のバネによる力となる.
したがって, 各おもりの運動方程式は
となる.
バネについては, 各ばね定数や各おもりの質量がバラバラであっても計算できるが, 煩雑になる.
そこで今回は, 簡単のために,
という場合 (両端に同じバネを使用) を考えることにする.
もちろんをそのままにして計算しても良い.
ここではあくまで計算が面倒なので, 簡単なケースを考えるという意味.
すると, 運動方程式は
となる.
各式の右辺 第2項は, 2つのおもりの間の相互作用を示している.
この項があることによって, これらの運動方程式 , は連立微分方程式となる.
基準振動の推察とそのふるまい
2つのおもりはそれぞれ異なる振動数で振動するのが一般的である. ただし, 特別な初期条件をとってやれば, 各おもりが同じ振動数 で振動することもありうると推察しよう. 相互作用項がなければ各々は単振動の運動方程式であることから, 試しに,
任意定数
とおいて, これが元の運動方程式を満たすように , , , を決めることができるかどうかを考えてみる.
実際に運動方程式 , に代入すると,
となる.
これらの式 , を, についての連立方程式と考える. 式を書き直すと
となるので, 自明な解 ( : 振幅0の無振動解) を除けば, 行列式が
である必要がある. したがって,
となる.
ゆえに は大別して2種類の値をもち,
となる. 仮置きした解 がという偶関数であり, は任意定数であることから, の正負は無視してよく, 実質的に
となる.
したがって, 各 が式 のような値をとる場合, 仮置きした解 は実際に今回の系の解となりうる.
すなわち, 各おもりが全体として同じ振動数 もしくは で振動する現象が起こりうるという意味である.
このように, 2つ以上の連成振動子の全体が1つの振動数で振動する場合, その振動の様子を基準振動 (normal mode, モード) と呼ぶ.
実際に各振動数の場合を見てみよう.
なので, 式 から,
となるので, このときの を
とおけば, 解 は
任意定数
となる.
実際にプロットしたものが下図である.

結果 |
アニメ |
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同じ形の式なので, 当然ではあるが, 各おもり () はそれぞれ同じように振動する.

なので, 式 から,
となるので, このときの を
とおけば, 解 は
任意定数
となる.
実際にプロットしたものが下図である.

結果 |
アニメ |
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振幅の正負が逆なので, 各おもり () は互いに逆向きに振動する.

基準振動からの一般解の導出
ここで求めた2つの基準振動はあくまで特別な解である. 元の運動方程式 , :
は線形な微分方程式なので, 解の重ね合わせが成り立つ.
実は, 2つの基準振動の解の重ね合わせが
一般解 :
任意定数
となる.
実際, この解は元の運動方程式 , を満たす.
線形微分方程式と一般解の性質として, 「n階の線形微分方程式の一般解はn個の任意定数を含む」というものがある.
今回は元の運動方程式 , が2つの2階の線形微分方程式なので, その一般解は 個の任意定数を持つ必要があるが, この重ね合わせの解も計4つの任意定数を含む解である.
したがって, この重ね合わせの解 こそが元の運動方程式 , の一般解となる.

結果 |
アニメ |
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初期条件を入れてふるまいを見る
片側のおもりだけ伸ばし, 両者ともに静止した状態からスタートする初期条件を考え, その振る舞いをみてみよう. すなわち,
という初期条件での振る舞いをみていく.
この初期条件を一般解 とその1階微分に代入すると,
となる.
したがって,
式式式式式式
となる. ゆえに
の和積の公式の和積の公式
となる.
したがって, , の値が近い場合, 各おもりはともに大きい振動数 で細かく振動しつつ, 全体では小さな振動数 で緩やかに振動することがわかる.
実際にプロットしたものが下図である.

結果 |
アニメ |
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図から, 細かい振動と緩やかな振動の共存が見て取れる.
また,
が大きく振動している時は, が小さく振動し,
が小さく振動している時は, が大きく振動する
こともわかる.
これは, 2つの振動子 (おもり) 同士でエネルギーをやり取りしていることを意味する.
基準座標と基準振動 (解法2)
概要と導入
ここまででは, バネで繋がれた2つのおもりの縦振動は基準振動の形を仮定して解いていった.
ここからは他の系にも適用できる, より一般的な解法を考えていく.
先程と同じ系を考える.

各ばね定数や各おもりの質量も先程と同様に, 簡単のため となる場合を考えることにしよう.
この場合の運動方程式は先ほどと同じく式
となる.
一般的な解法では, これらの運動方程式が , について線形である (重ね合わせの原理が成り立つ) ことを利用する.
すなわち,
, の適当な1次結合を作って変数変換を行う
その変数変換によって, 新しい変数の組に対する方程式が互いに独立になるようにする.
新しい変数による2つの微分方程式を別々に解く
新しい変数による解から逆算して, 元の, の解を求める
という手順である.
変数変換を用いて一般解を求める
運動方程式 , について, 未定定数を用いて, 式式 を計算すると,
となる.
未定定数 の要件
ここで, 未定定数 が
を満たすようなものであったなら, 上式は
となる. ここで
という変数を定義する. この をつける意味については後に説明するが, 一般解を求めるだけであれば無くてもよい.
この定義式で置き換えてやれば,
となり, 独立な単振動の式に帰着することができる.
要件を満たす と一般解の導出
実際に, 式 を満たすような は,
となる.
したがって, 各 に対して,
の場合の場合の場合の場合の場合の場合
となる. 上述の通り, これらは通常の単振動の運動方程式なので,
と置けば, についての一般解は
任意定数
となる. あとは, 関係式 , から
一般解 :
が導出できた.
これは, 前節で導出した一般解
任意定数
と倍分の係数が異なるだけで, 本質的には同じ式である. 違いが気になる人は任意定数 , を
と置き換えてやれば, 前節の一般解と係数も一致する. この置き換えは , が任意定数であるがゆえに本質ではない.
変数変換の意味 ( 平面)
上記で行った変数変換 及び ,
の場合の場合
の解釈を考えていく.
式 , より , は
と書くことができる.
これは, 下図のように , を, 軸に向かって射影を取った者同士の和 (差) を意味する.

そして, その和 (差) の結果の座標 は元の座標 に一致し, 点 となることがわかる. は式
より, それぞれ独立に単振動を行うため, 全体としての点 は, 軸に平行な矩形の中で運動する. ここで描かれるような, 直交する単振動を合成して得られる図形はリサジュー図形と呼ばれる.
実際に描かれる図形の例が下図である.
上図 : の場合の各 の有理数比の場合のリサジュー図形 (閉軌道).
また, が無理数比の場合は下図のように軌道は閉じず, 開軌道となる.

アニメにすると下図の通り:
| 結果 | アニメ |
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変数変換の意味 (エネルギー)
次にエネルギーの観点から, この変数変換の意味を捉える.
元の運動方程式が
なので, 第1式に , 第2式に をかけてエネルギー積分をしてやれば,
定数定数定数定数
両式を足し合わせて
定数定数定数
となる. したがって, 運動エネルギーと位置エネルギーは
運動エネルギー位置エネルギー
となる. 各おもりの相互作用項として, というクロスタームが出てきている.
では, このエネルギーの式を という変数で見てみよう. 上式に関係式 , を式変形した
を代入すると
運動エネルギー位置エネルギー
となり, といったクロスタームが出てこない.
したがって, エネルギーの観点からも, という座標系はそれぞれ独立な単振動であることが確認できた.
以上のように,
2つのおもりの連成振動において, 別の1組の座標軸 を見つけ出し, その新たな座標軸への射影成分が, 互いに単振動となっている場合,
その新たな座標系に沿った運動が, 基準振動 に相当し,
その新たな座標系そのものを, 基準座標と呼ぶ.
うなり
現象
一般に, 2つの異なる振動数を持った単振動の重ね合わせは うなり (beat) という現象を引き起こす.
わかりやすい例は, 前節でやった片側のおもりだけ伸ばし両者ともに静止した状態からスタートする初期条件 :
での振る舞いである. このとき, 各おもりの位置は
であり, , の値が近い場合, 下図のように, 各おもりは大きい振動数 で細かく振動しつつ, 全体では小さな振動数 で緩やかに振動することを確認した.

うなりの英語がbeatであるように, 細かい振動を内部に保持しつつ全体的に緩やかに脈動する現象を指し, 2つの単振動の振動数が近い場合に発生する.
今回の場合であれば, 振動数の差 が相対的に非常に小さい場合であるから,
となり, 真ん中のバネ係数 が両サイドのバネ係数 に比べて非常に弱い場合に起こる現象であることがわかる.
例
また, うなり現象は音の調律などにも利用されている. 音叉と楽器を同時に鳴らし, 音程 (振動数) が微妙にずれていればうなりが発生するため, うなりが完全に消える (振動数が完全に一致する) ように調整する作業である.
上記の
を参考に, 合わせたい音程とうなりの振動数を計算してみる.
C4のドの周波数を例に考えてみよう. C4のドの周波数は, なので, 角振動数に直すと となる.
そこで, C4のドの周波数の音 () と, その1%ずれた周波数の音 () とを考える.
すなわち, 角振動数においては
と置いてみる.
うなりの角振動数は の式の緩やかな振動部分 なので,
うなりの角振動数
となる.
ただし, 人間の耳は振幅の絶対値によって音の強弱を感知しているので, 音として聞こえる振動数はその倍となり,
うなりとして聞こえる振動数うなりの振動数うなりの角振動数
となる. すなわち, 約2.6 [Hz] のうなりとして聞こえるはずである.
実際にプロットしてみたものが下図である.

確かに約2.6 [Hz] の振動 (1秒間に2.6回の振動) をしていることがわかる.