実施・提出期間

締切: 2024/05/15 (水) 13:30 までに, 下記の問題を実施し, 提出してください.

 

注意事項

  • 手書きで計算したものを1つのpdfにまとめて提出してください

    • 紙に直筆したものを写真 or スキャンする場合は, 中身がハッキリ読めることを確認してください

    • タブレット等を用いて電子的に手書きするのもOKです

    • 画像ファイルをそのまま何枚も提出したり, zipにまとめて提出したものは受取不可とします

  • 授業資料の解答を丸写しするのではなく, 授業内容を思い出しながら自分の手で計算するようにしてください

  • 授業直後に復習することはもちろん素晴らしいです!! その後, なるべく数日空けてから再学習として本課題を実施し, 提出することを是非試してみてください.

問題

cos型の外力のある場合の振動

下図のような, バネによる単振動に速度に比例する抵抗 (摩擦) と周期的な外力を作用させた系を考える.

spring_damped-forced-oscillation

ここでも前述と同様に

F(t)=F0cosωft   (F0,ωf:)

という周期的な外力F(t)が加わった場合を考える.

  1. この系の運動方程式を記述せよ

  2. 外力がない場合の一般解 x0(t) を求めよ

  3. 外力がある場合の特解 X0(t) を求めよ

  4. この系の一般解 x(t) を求めよ

 

sin型の外力がある場合の振動

下図のような, バネによる単振動に速度に比例する抵抗 (摩擦) と周期的な外力を作用させた系を考える. おもりの質量をm, おもりの振動中心からの変位をx, ばね定数をk, 抵抗力の比例定数をΓとする.

simple-harmonic-oscillation_spring

ここで

F(t)=F0sinωft   (F0,ωf:)

という周期的な外力F(t)が加わった場合を考える.

    1. おもりにかかる力を図示せよ

    1. この系の運動方程式を記述せよ

    1. 外力がない場合について下記の問に解答せよ

    • 3-1) 外力がない場合の運動方程式を書き直せ. ただし, γ=Γ/m, ω02=k/mとする

    • 3-2) 解の概形をx(t)=eptとした場合のpを求めよ

    • 3-3) 外力がない場合の一般解 x0(t) を求めよ. ただし, 未定定数はC1,C2とする

    • 3-4) 抵抗力が小さい場合 ( γ/2<ω0 ) の一般解を導出せよ

    1. 外力がある場合について, 下記の問に解答せよ

    • 4-1) 外力がある場合について, 変位をz=y+ix と複素数に拡張する. この場合の複素数に拡張した運動方程式を導出せよ

    • 4-2) 外力がある場合の複素数の特解 Z0(t) を求めよ

    • 4-3) 外力がある場合の実数の特解 X0(t) を求めよ

    • 4-4) 外力がある場合の一般解 x(t) を求めよ

    • 4-5) 外力があり, 抵抗力が小さい場合 ( γ/2<ω0 ) の一般解 x(t) を求めよ

 

まとめ

  1. 今回の授業内容を100文字以上で自分なりにまとめてください. ただし, 写経のように丸写しすることだけはやめてください.

 

 

解答

cos型の外力がある場合の振動

下図のような, バネによる単振動に速度に比例する抵抗 (摩擦) と周期的な外力を作用させた系を考える.

spring_damped-forced-oscillation

ここで

F(t)=F0cosωft   (F0,ωf:)

という周期的な外力F(t)が加わった場合を考える.

この系の運動方程式を記述せよ

運動方程式は

(1)md2xdt2=kxΓdxdt+F(t)(2)=kxΓdxdt+F0cosωft

となる.

外力がない場合の一般解 x0(t) を求めよ

外力がない場合は

d2xdt2+γdxdt+ω02x=0

となり, 抵抗のある場合のバネによる運動 (減衰振動等) の運動方程式に帰着する.

したがって, この一般解は

(3)x0(t)=C1ep1t+C2ep2t   (C1, C2:)p1γ2+γ24ω02p2γ2γ24ω02

となる. また, 抵抗が小さい場合 (γ2<ω0) の一般解は

(4)x0(t)=eγ2tAcos(ω~t+ϕ)ω~ω02γ24

外力がある場合の特解 X0(t) を求めよ

複素数に拡張された運動方程式 :

d2zdt2+γdzdt+ω02z=f0eiωft

について考える. 右辺がeωftという因子をもった複素指数関数なので, 特解Z0(t)を仮に

Z0(t)=Cfeiωft   (Cf:)

と置くことにする.

この特解を拡張された運動方程式に代入すると,

(5)d2Z0dt2+γdZ0dt+ω02Z0=f0eiωft  d2dt2(Cfeiωft)+γddt(Cfeiωft)+ω02(Cfeiωft)=f0eiωft  Cfωf2eiωft+iγCfωfeiωft+ω02Cfeiωft=f0eiωft  Cf(ωf2+iγωf+ω02)eiωft=f0eiωft  Cf=f0ω02ωf2+iγωf

となり, 定めるべき Cf が求まった. したがって特解は

(6)Z0(t)=f0ω02ωf2+iγωfeiωft

として求まった.

係数の分母 ω02ωf2+iγωf は複素平面で考えると下図のようになる.

spring_damped-forced-oscillation_complex-plane

したがって, 極座標表示と対応させると

ω02ωf2+iγωf=(ω02ωf2)2+γ2ωf2eiθtanθγωfω02ωf2

となる. これを特解の式に代入すると

(7)Z0(t)=f0(ω02ωf2)2+γ2ωf2eiθeiωft=f0(ω02ωf2)2+γ2ωf2ei(ωftθ)

となる. ここで

(8)Aff0(ω02ωf2)2+γ2ωf2

と置けば,

Z0(t)=Afei(ωftθ)

と書くことができる. あとはこの実部をとれば, 特解 X0(t)

X0(t)=Re Z0=Re(Afei(ωftθ))(9)=Afcos(ωftθ)

が求められた.

この系の一般解 x(t) を求めよ

以上より, x0(t) の式 (3), X0(t) の式 (9) を足し合わせることで, 一般解

一般解 (単振動+速度に比例する抵抗+周期的な外力 (強制振動) ) :

(10)x(t)=C1ep1t+C2ep2t+Afcos(ωftθ)   (C1,C2:)p1γ2+γ24ω02p2γ2γ24ω02Aff0(ω02ωf2)2+γ2ωf2tanθγωfω02ωf2

が導出できた.

特に, 抵抗力が小さい場合 (γ2<ω0) は

一般解 (減衰振動+周期的な外力 (強制振動) ) :

(11)x(t)=eγ2tAcos(ω~t+ϕ)+Afcos(ωftθ)   (A,ϕ:)ω~ω02γ24Aff0(ω02ωf2)2+γ2ωf2tanθγωfω02ωf2

となる.

 

sin型の外力がある場合の振動

下図のような, バネによる単振動に速度に比例する抵抗 (摩擦) と周期的な外力を作用させた系を考える. おもりの質量をm, おもりの振動中心からの変位をx, ばね定数をk, 抵抗力の比例定数をΓとする.

simple-harmonic-oscillation_spring

ここで

F(t)=F0sinωft   (F0,ωf:)

という周期的な外力F(t)が加わった場合を考える.

おもりにかかる力を図示せよ

spring_damped-forced-oscillation

この系の運動方程式を記述せよ

運動方程式は

md2xdt2=kxΓdxdt+F(t)(12)=kxΓdxdt+F0sinωft

となる.

外力がない場合について下記の問に解答せよ

外力がない場合の運動方程式を書き直せ. ただし, γ=Γ/m, ω02=k/mとする

外力がない場合は

d2xdt2+γdxdt+ω02x=0

となり, 抵抗のある場合のバネによる運動 (減衰振動等) の運動方程式に帰着する.

解の概形をx(t)=eptとした場合のpを求めよ

時刻tについて, 2, 1, 0階微分した際にtの次数が変わらず, 全体でキャンセルして0になるため, 解の概形は

(13)x(t)=Cept   (C,p:)

とおく.

運動方程式に代入して整理すると

d2dt2ept+γddtept+ω02ept=0p2ept+γpept+ω02ept=0p2+γp+ω02=0

となる. 2次方程式の解の公式 :

ax2+bx+c=0x=b±b24ac2a

を用いてpについて解くと

(14)p=γ±γ24ω022

となり,

(15)p1=γ2+γ24ω02(16)p2=γ2γ24ω02

のように, それぞれ独立した解が導かれる.

外力がない場合の一般解 x0(t) を求めよ. ただし, 未定定数はC1,C2とする

以上より, この一般解は

(17)x0(t)=C1ep1t+C2ep2t   (C1, C2:)p1γ2+γ24ω02p2γ2γ24ω02

となる.

 

抵抗力が小さい場合 ( γ/2<ω0 ) の一般解を導出せよ

p

p=γ2±iω02γ24

のように根号内の正負を明示的に記述できる. さらに, 簡単のため

(18)ω~=ω02γ24

とおくと,

p=γ2±iω~

となる. これを元の一般解の式 (17) :

x0(t)=C1ep1t+C2ep2t

に代入すると

x0(t)=C1e(γ2+iω~)t+C2e(γ2iω~)t=eγ2t(C1eiω~t+C2eiω~t)

となる.

この右辺の括弧内は, 抵抗力なしの場合と同様に計算すると

C1eiω~t+C2eiω~t=C1(cosω~t+isinω~t)+C2(cos(ω~t)+isin(ω~t))=(C1+C2)cosω~t+i(C1C2)sinω~t=A1cosω~t+A2sinω~t=Acosϕcosω~tAsinϕsinω~t=Acos(ω~t+ϕ)

となり, 単振動の一般解に帰着する.

したがって, x0(t)について書くと, 抵抗が小さい場合 (γ2<ω0) の一般解 (減衰振動) は

(19)x0(t)=eγ2tAcos(ω~t+ϕ)ω~ω02γ24

が導出できた.

外力がある場合について, 下記の問に解答せよ

外力がある場合について, 変位をz=y+ix と複素数に拡張する. この場合の複素数に拡張した運動方程式を導出せよ

運動方程式 (12) d2xdt2+γdxdt+ω02x=f0sinωftにおいて, 位置x

(20)z=y+ix

と置き換える. さらに, 運動方程式 (12) の外力の項 (右辺) が虚数部になるような複素関数

(21)f0eiωft=f0(cosωft+isinωft)

を考える. すると, 運動方程式 (12)

拡張された運動方程式 :

d2zdt2+γdzdt+ω02z=f0eiωft

と拡張することができる.

外力がある場合の複素数の特解 Z0(t) を求めよ

拡張された運動方程式 (12) :

d2zdt2+γdzdt+ω02z=f0eiωft

について考える. 右辺がeiωftという因子をもった複素指数関数なので, 特解Z0(t)を仮に

Z0(t)=Cfeiωft   (Cf:)

と置くことにする.

この特解を拡張された運動方程式 (12) に代入すると,

(22)d2Z0dt2+γdZ0dt+ω02Z0=f0eiωft  d2dt2(Cfeiωft)+γddt(Cfeiωft)+ω02(Cfeiωft)=f0eiωft  Cfωf2eiωft+iγCfωfeiωft+ω02Cfeiωft=f0eiωft  Cf(ωf2+iγωf+ω02)eiωft=f0eiωft  Cf=f0ω02ωf2+iγωf

となり, 定めるべき Cf が求まった. したがって特解は

(23)Z0(t)=f0ω02ωf2+iγωfeiωft

として求まった.

係数をもう少し整理してみよう. 係数の分母 ω02ωf2+iγωf は複素平面で考えると下図のようになる.

spring_damped-forced-oscillation_complex-plane

したがって, 極座標表示 (z=reiθ) と対応させると

(24)ω02ωf2+iγωf=(ω02ωf2)2+γ2ωf2eiθ    (  tanθγωfω02ωf2)

となる. これを特解の式 (23) Z0(t)=f0ω02ωf2+iγωfeiωft の分母に代入すると

(25)Z0(t)=f0(ω02ωf2)2+γ2ωf2eiθeiωft=f0(ω02ωf2)2+γ2ωf2ei(ωftθ)

となる. ここで

(26)Aff0(ω02ωf2)2+γ2ωf2

と置けば,

Z0(t)=Afei(ωftθ)

と書くことができる.

外力がある場合の実数の特解 X0(t) を求めよ

あとはこの虚部をとれば, 特解 X0(t)

X0(t)=Im Z0=Im(Afei(ωftθ))(27)=Afsin(ωftθ)

が求められた.

外力がある場合の一般解 x(t) を求めよ

以上より, x0(t) の式 (17), X0(t) の式 (27) を足し合わせることで, 一般解

一般解 (単振動+速度に比例する抵抗+周期的な外力 (強制振動) ) :

(28)x(t)=C1ep1t+C2ep2t+Afsin(ωftθ)   (C1,C2:)(p1γ2+γ24ω02,  p2γ2γ24ω02,  Aff0(ω02ωf2)2+γ2ωf2,  tanθγωfω02ωf2)

が導出できた.

外力があり, 抵抗力が小さい場合 ( γ/2<ω0 ) の一般解 x(t) を求めよ

特に, 抵抗力が小さい場合 (γ2<ω0) は

一般解 (減衰振動+周期的な外力 (強制振動) ) :

(29)x(t)=eγ2tAcos(ω~t+ϕ)+Afsin(ωftθ)   (A,ϕ:)(ω~ω02γ24,  Aff0(ω02ωf2)2+γ2ωf2,  tanθγωfω02ωf2)

となる.