実施・提出期間

締切: 2024/05/08 (水) 13:30 までに, 下記の問題を実施し, 提出してください.

 

注意事項

  • 手書きで計算したものを1つのpdfにまとめて提出してください

    • 紙に直筆したものを写真 or スキャンする場合は, 中身がハッキリ読めることを確認してください

    • タブレット等を用いて電子的に手書きするのもOKです

    • 画像ファイルをそのまま何枚も提出したり, zipにまとめて提出したものは受取不可とします

  • 授業資料の解答を丸写しするのではなく, 授業内容を思い出しながら自分の手で計算するようにしてください

  • 授業直後に復習することはもちろん素晴らしいです!! その後, なるべく数日空けてから再学習として本課題を実施し, 提出することを是非試してみてください.

 

問題

抵抗のある場合の振動

simple-harmonic-oscillation_spring

上図のような抵抗のある場合の振動を考える. おもりの質量をm, おもりの振動中心からの変位をx, ばね定数をk, 抵抗力の比例定数をΓとする.

  1. おもりにかかる力を図示せよ.

  2. おもりの運動方程式を記述せよ.

  3. γ=Γ/m, ω02=k/mとして, (2)の運動方程式を書き直せ.

  4. 解の概形をx(t)=eptとした場合のpを求めよ.

  5. (4)で求めた結果を用いてこの系の一般解を導出せよ. 未定定数はC1,C2とする.

  6. 抵抗力が小さい場合 ( γ/2<ω0 )の一般解を導出し, どのような物理現象であるか説明せよ.

  7. 抵抗力が大きい場合 ( γ/2>ω0 )の一般解を導出し, どのような物理現象であるか説明せよ.

 

まとめ

  1. 今回の授業内容を100文字以上で自分なりにまとめてください. ただし, 写経のように丸写しすることだけはやめてください.

 

解答

抵抗のある場合の振動

simple-harmonic-oscillation_spring

上図のような抵抗のある場合の振動を考える. おもりの質量をm, おもりの振動中心からの変位をx, ばね定数をk, 抵抗力の比例定数をΓとする.

おもりにかかる力を図示せよ.

spring_damped-vibration

 

おもりの運動方程式を記述せよ.

この系の運動方程式は, 摩擦 (抵抗力) の項を追加して

(1)md2xdt2=kxΓdxdt

となる.

 

γ=Γ/m, ω02=k/mとして, (2)の運動方程式を書き直せ.

(2)d2xdt2+γdxdt+ω02x=0

 

解の概形をx(t)=eptとした場合のpを求めよ.

時刻tについて, 2, 1, 0階微分した際にtの次数が変わらず, 全体でキャンセルして0になるため, 解の概形は

(3)x(t)=Cept   (C,p:)

とおく.

運動方程式に代入して整理すると

(4)d2dt2ept+γddtept+ω02ept=0
(5)p2ept+γpept+ω02ept=0
(6)p2+γp+ω02=0

となる. 二次方程式の解の公式 :

(7)ax2+bx+c=0x=b±b24ac2a

を用いてpについて解くと

(8)p=γ±γ24ω022

となり,

(9)p1=γ2+γ24ω02(10)p2=γ2γ24ω02

のように, それぞれ独立した解が導かれる.

 

(4)で求めた結果を用いてこの系の一般解を導出せよ. 未定定数はC1,C2とする.

重ね合わせた解として, 一般解

(11)x(t)=C1ep1t+C2ep2t   (C1, C2:)

が導出される.

 

抵抗力が小さい場合 ( γ/2<ω0 )の一般解を導出し, どのような物理現象であるか説明せよ.

p

(12)p=γ2±iω02γ24

のように根号内の正負を明示的に記述できる. さらに, 簡単のため

(13)ω~=ω02γ24

とおくと,

(14)p=γ2±iω~

となる. これを元の一般解の式 (11) :

x(t)=C1ep1t+C2ep2t

に代入すると

(15)x(t)=C1e(γ2+iω~)t+C2e(γ2iω~)t(16)=eγ2t(C1eiω~t+C2eiω~t)

となる.

この右辺の括弧内は, 抵抗力なしの場合と同様に計算すると

(17)C1eiω~t+C2eiω~t=C1(cosω~t+isinω~t)+C2(cos(ω~t)+isin(ω~t))(18)=(C1+C2)cosω~t+i(C1C2)sinω~t(19)=A1cosω~t+A2sinω~t(20)=Acosϕcosω~tAsinϕsinω~t(21)=Acos(ω~t+ϕ)

となり, 単振動の一般解に帰着する.

したがって, x(t)について書くと

抵抗力が小さい場合の一般解 (減衰振動) :

(22)x(t)=eγ2tAcos(ω~t+ϕ)

が導出できた.

この一般解は

  • Acos(ω~t+ϕ)は単振動を表し

  • 振幅 eγ2tAtについての指数関数のため, 時刻とともに指数的に減少する

ことから, 時刻とともに減衰していく単振動を表す. ゆえに 減衰振動 と呼ばれる.

 

抵抗力が大きい場合 ( γ/2>ω0 )の一般解を導出し, どのような物理現象であるか説明せよ.

p

(23)p=γ2±γ24ω02

と記述できる. ここで, 第2項の根号部分は γ2>ω0 であることから

(24)0<γ24ω02<γ2

となるため, 式 (23)の正負がどちらであっても, pは負になる:

(25)p=γ2±γ24ω02<0
(26)p1=γ2+γ24ω02<0(27)p2=γ2γ24ω02<0(28)p1p2=2γ24ω02>0

 

したがって,

抵抗力が大きい場合の一般解 (過減衰) :

(29)x(t)=C1ep1t+C2ep2t   (C1, C2:)

が導出できた.

p1, p2がともに負の実数のため, この解は振動せずに減衰する. したがって, この解は 過減衰 と呼ばれる.