「最近腹の立ったこと」

   西川伸一  * クルマ社会を問い直す会会報『クルマ社会を問い直す』第11号(1998年3月30日)

怒りは社会変革を目指すパワーの源ですので、最近腹が立ったことを紹介して旅立ちのご挨拶(3月末より渡英します)に代えさせていただきます。
 イギリス暮らしに備え、経験者にお話をうかがう機会がありました。「家族は同行するの?」という問いのあとに、きかれたのが「クルマ乗るんでしょ?」私「いいえ免許もってません」予期せぬ解答に会話がとぎれました。
 一拍おいてその後は、クルマがないといかに生活が不便か、どうして免許をとらないのか、まだ時間があるから免許を取りなさい、さらにご親切なことにどこそこの教習所なら早くとれる等々の説得。ウルセー!と怒鳴りたくなりましたが、大先輩にそんな不作法はできません。この話題が終わるのをひたすら待ちました。やれやれ話題転換。ゆっくりビールを飲んでいると、話題がまたクルマに飛び火。やれ免許とれの集中砲火。これって、セクハラたぐいのハラスメントじゃないの。
 未婚者に早く結婚しろと冷やかしたり、子どものない夫婦にまだかとせかしたりするのが、舞神経なハラスメントであることは、もう常識でしょう。結婚しようが、子どもをもうけようがその人の人生観であって、大きなお世話です。クルマについても同じこと。その場で、主義として免許をとらないことを説明すべきなんでしょうが、場の雰囲気を考えて、「あんたには迷惑かけないよ」と一喝したくなるのを必死でこらえています。
 こうしたいわば脱クルマ・ハラスメントに遭遇したときの撃退法として、妙案をご存じの方はお助け下さい。


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