まず学校歴の前例主義をやめよ

   西川伸一  * 執筆日2002年8月22日/朝日新聞「声」に投稿→不採用

 今月19日に人事院は02年度の国家公務員1種採用試験の合格者として、前年度より23・5%増の1615人を発表した。とはいえ、彼らは採用候補者にすぎない。採用者を決めるのは各省庁である。今年度の発表数は、各省庁の採用予定数の2・5倍という。

 はたしてこの合格者増が、昨年12月に閣議決定された公務員制度改革大綱がいうように、「多くの候補者から人物本位で採用できるようにする」ことにつながるのか。私は悲観的だ。

 もう6年前になるが、私の勤務する大学で人事院の職員を招いて懇談会が行われた。そのときの人事院側の発言が忘れられない。「採用実績のない大学から採るのは二の足を踏むようだ」と採用する各省庁の本音が明かされたからである。

 これでは採用者は永遠にごく一握りの特定の大学出身者に限れれてしまう。ここにも悪しき前例主義がはびこっている。

 ちなみに、私のゼミの昨年度のある卒業生は、01年度の1種試験法律職に合格し、その席次は合格者310名中の48番であった。しかし彼はどこの省庁からも採用されなかった。

 本当に人物本位の採用を実現するためには、まず採用側の意識改革が不可欠である。大臣よ出番だ。


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