研究室希望者向けのガイド


当初中村研究室が立ち上がったときには,博士前期課程(いわゆる修士課程)大学院生のみの募集であったことから,博士前期課程志望者向けにガイドを書いてきました. 2020年に記載を全面改訂し,学部生から博士後期課程志望者までを対象として,中村研進学ガイドとしましたが, その後,研究室としてさらに変わってきた部分があります.また,学部生にとっての研究室選択のための情報も必要と考えています. そこで,研究室志望に参考となる情報である研究テーマや進め方などについて記載をします.

なお,中村研OBの下村さん(2021年博士前期課程修了)が学部時代に Meiji Now で書いてくれた研究室紹介も参考になるかと思います.


研究テーマについて

全志望者共通

本研究室では,実現象における未知の問題や解決が必要な問題に対して,主にデータ分析の立場から答えを与えるための研究をしてもらいます.対象は問いません. 下記の「過去の学生のテーマ例」の通り,対象は多岐にわたります.

データ分析は,「モデリング」「数値計算」「結果の解析」のいずれのパートも,対象によって様相が大きく変わる,奥の深い世界です. そのため,対象に対する深い興味・理解と,分析手法の数理的な裏付けが必要になります.研究を進める際には,これらの点を意識しながら進めてもらいます.

また,統計科学・データサイエンス(機械学習含む)に関係する理論的・数理的な研究も歓迎します. ただし,理論的な研究の場合にも,必ず現実との接点について意識し,何らかの解析をしてもらいます. これは,統計科学・データサイエンスの理論は,実際のデータ解析の問題から派生したものであって,置くべき仮定などは現場の状況と密接に関係するためです.

中村研究室の特徴は,モデル化するにあたって課題となる「不確かさ」に留意しながら,課題解決のための「統計的モデリング」や「解析手法」に正面から挑む点にあります. 解析手法そのものも当然大切ですが,それ以上に,「現実の現象をいかに適切にモデル化するか」や,「適用手法の実現象解析における限界の見極め」など,本質を見抜く点を重視しています. そのため,研究において必要になった内容については,統計・データサイエンス以外の知識も学びます.その内容は, 数理モデル,最適化,信号処理,情報科学,オペレーションズ・リサーチ,数学,物理学,経済学,言語学,科学哲学など,研究内容次第で多岐にわたります.

学部生向け

基本的に,各人の興味がある現象に関するデータ分析の研究を進めてもらいます. 具体的な現象・対象については,学部生については自由に考えてもらうことにしています. 統計・データサイエンスの理論的な研究を進めたいということでもかまいませんが,何らかの解析は必ずしてもらいます.

また,データ分析をやりたいがテーマを絞りきれないので,中村研の研究テーマでまずは進めたいという学生も,もちろん歓迎します. 中村研の研究テーマを希望する学生については,話し合いの上で,研究室で主に進めている応用テーマか理論研究を進めてもらいます. ただし,研究内容に興味を持てることが必要で,受け身でいるようではだめです.

なお,データ分析関係以外の研究でも,応用数理的な研究については指導できる場合があるので,そのような希望を持つ場合には相談してください.

全員,最終的には卒業論文を書きます.例年1月末が締め切りです.また,卒業研究発表会を他研究室と合同で開催しています.

博士前期(修士)課程志望者向け

学部生と同様,応用・理論問わずデータ分析に関わる研究テーマを志望する学生を受け入れます. ただし修士レベルでは,各自で進めなければならない内容が格段に増えます.また,何らかの新しい知見などの成果が必要です. 研究室を志望する4年春の時点では,研究を始めたばかりでなかなか難しいかもしれませんが,自発的に研究を希望する分野の基礎知識を深めた上で,2年間の目標と計画を立てるよう努力してみてください. ミスマッチを避けるためにも,事前にテーマについての相談があると良いです. ただし,テーマやおおよその内容,必要な知識についての相談はしますが,出願時に提出する具体的な計画書の中身については,私は試験の一部と考えていますのでコメントはしません (もちろん,教員によって様々な考え方があって,良い悪いという話ではなく,あくまで私がそのような考え方で対応しているということです).

なお,データ分析関係以外の研究でも,応用数理的な研究については,内容によっては受け入れられる場合があります. 過去には,粒子法シミュレーションの研究を進めた大学院生がいます. このような場合には,受け入れ可能かどうかの事前相談を必ずしてください.

他大学から中村研究室の博士前期課程を志望する場合

本研究室を志望する場合,上記に書いたとおり,「興味ある対象のデータに触れて解析をする意欲」が必須であることに加え, 「大学教養レベルの線形代数,微積分,確率統計の理解」と「プログラミング言語を用いた簡単な数値計算の技術」が必要になります. プログラミング言語は何でも良く,これまで所属した院生は,Python, R, C, Matlab, Mathematica とさまざまでした.

(将来の)博士後期課程志望者向け

博士後期課程にて中村研究室を志望しようと考えている場合には,既に何らかの接点がある場合がほとんどだろうと思うので, ここでは主に,博士後期課程が将来の進路の視野にある人向けに記載します.(なお,これまで接点がなかった場合でも,分野的に私のところが選択肢に入りそうな場合には,遠慮なくご連絡ください.)

博士後期課程の院生は,前期課程までで研究の基礎はできているはずなので,基本的には細かい進め方について指導することはありません. 一方で,博士の学位取得後は,大学・企業を問わず自立した研究が可能な者としての活躍が求められます. そのため,研究内容や進め方について,さまざな観点での「アドバイス」はしますが, 特に研究内容については,対等な研究者として議論します.

研究内容については,私自身が専門とする時系列・時空間解析やその周辺(データ同化含む), ベイジアンモデリング,モンテカルロ推論といったあたりの内容での志望であれば,問題なく受け入れができることが予想されます. また,より広義の統計的モデリングを背景としたデータ解析の場合でも,受け入れは可能で, 国内でも他にあまり良い受け入れ先がないケースもあるかもしれません. そこからさらに外れる場合には,他の研究室の方が良い可能性が高いと思います.

ただし,研究者としての考え方の相性も重要です,上記に書いたことは相対的なもので, 研究分野が時系列だから大丈夫というわけでもないですし,外れていてもOKの場合もあると捉えてください.


過去の学生のテーマ例

学部生

修士院生


研究室について

研究の進め方

原則,週1回の打ち合わせ+全体ミーティングという形で進めていきます(状況により変動します). 各自で自律的に研究を進めてもらい,毎回の打ち合わせ時には,研究を進める上での課題の確認や解決のための議論,その後の方針の検討をします. もちろん,研究室配属直後にいきなりそのような形で進めるのは難しいので, 進め方について指示をする段階もあります.しかし,卒論を書く頃には自律的・主体的に進められるようにします. また,研究内容や状況よってはこちらから具体的な指示が必要な場合もあるので,そのような場合には指示を出します.

その他に,グループでの勉強会などを進めている場合があります.

外部発表について

学外での研究成果の発表を推奨しています.学部生の段階では学外での発表までいくのは難しい場合が多いですが,一定の成果が出た学生については, 学会での成果発表もしています.これまでに,学部生の段階で発表にて受賞した学生も複数います. 修士以上の院生については,成果が出たところで積極的に発表してもらっています.

その他参考リンク


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